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2018年06月03日
競争を勝ち抜く基本的な考え方
「コスト・リーダーシップ」「差別化」「集中」
アメリカの経済学者 ポーター 氏は
『 戦争の戦略 』の中で、
とあるべき基本戦略として、
?@コスト・リーダーシップ戦略
?A差別化戦略
?B集中戦略
の3つを上げ使い分けるように主張しています。
戦略ターゲットが特定セグメントだけであれば、
特性の品種・買い手・地域に絞り込んだ
?B 集中戦略を取るべきだとしますが、
トートロジーですね。
戦略的ターゲットが業界全体の時は、
例えば、業界内で最も低いコストを実現できれば、
他社よりも高い利益率を上げることも可能ですし、
他社よりも低い価格で売りさばいて、
他社を市場から駆逐することもできます。
これが、?@ コスト・リーダーシップ戦略です。
ではどうやってコストを下げるのか?
生鮮効率の良い設備を積極的に建設し、
がむしゃらに量産することでコスト削減を
図るというのも手ですが
それだけでは足りません。
零細な顧客との取引は切り捨て、
研究開発・サービス・販売・広告など
のコストを最小限に切り詰めるのだそうです。
なんだかやりすぎのような気がします。
しかし、そもそも基本戦略は
どれか1つを選んで成功させないと、
利益はあがらないとされているのです。
コスト・リーダーシップと差別化は両立しない?
現在は二兎追って二兎得られてしまう・・・
戦略ターゲットが業界全体の時は、
基本戦略の内?A 差別化を取るべきだといいます。
例えばトヨタ自動車だと、
もともと高品質で差別化しているのですが、
更にレクサスだと高級ブランドで差別化しており、
プリウスであるとハイブリッドで
技術的な差別化をしています。
このように複数の面で差別化するのが良い
といわれているのですが、
業界の中でも特異だとみられる何かを
想像しようとするのが差別化戦略です。
もっとも、トヨタに当初のような
戦略的意図があったかはわかりませんが。。。
ただし、?A差別化戦略は、
やるのであればお金がかかります。
研究開発はしなければなりませんし、
サービス・販売・広告にも手は抜けません。
そのため 差別化戦略と
コスト・リーダーシップ戦略は相いれません。
?@?Aを同時に追求すると
「二兎追うものは一兎も得ず」に終わります。
これを スタック・イン・ザ・ミドルといいます。
要するにどっちつがずだと
失敗しますよというわけです。
「まね」立派な戦略だ
模範を防ぐ法的手段も設備されているか
先手必勝とはよく言いますが、ことビジネスにおいて
先発の優位
むしろ後発企業のほうが、
先発企業が苦労して開拓した市場に、
宣伝費やインフラ設備をあまりかけずに便乗できたり、
規格や仕様が統一されてから投資したほうが、
投資効率も良いはずです。
これを 後発の優位といいます。
『 創造的模範戦略 』は 模倣戦略を唱えます。
先端企業のマイクロソフト社も、
OSもワープロも用計算ソフトも
すべてパイオニア企業の模範なわけで
後発企業が模範戦略を取ることで
成功した事例はたくさんあります。
実際、模範する側の後発企業は、
後発の優位をいかした低コスト・低価格を武器に
?@ コスト・リーダーシップ戦略で先発企業を出し抜くのです。
偽物の中国製品が大流通するのは
コスト・リーダーシップ戦略が成功しているからですね。
日本では模範戦略のことを 同質化戦略と
言うこともありますが
同質化することにより競争の軸を価格にするわけで、
同質化戦略と コスト・リーダーシップ戦略
は表裏一体と言えます。
とはいえそうやすやすと模範されては
研究開発としても利益が出ないので、
模範を防ぐための手段を考えなければなりません。
特許から生じる利益を「広く浅く」得る
ありとあらゆる手段で利益を上げる
模範を防ぐ手段としては、 特許権、 著作権、 商標権といった
知的財産権があります。
こうした知的財産権の実施許諾契約・使用許諾契約は
ライセンス契約と呼ばれます。
技術移転、営業秘密の開示を含む契約や
図面等の技術資料の取引なども含まれます。
特許が切れた後も図面については
お金を取ることは可能なのです。
しかも規約だけで権利を守れると考えるひとは
実務の世界にはいないでしょう。
本当に重要な技術であれば100%子会社にすべきですし
それが無理でも提携先に資本参加して取締役や
人も出して権利を守るべきです。
提携という大きな枠組みで考えたとき、
特許から生じる利益の回収方法は実に多様です。
ロイヤルティー(使用料)は、
その1つにしかすぎません。
例えば、技術指導料を取る。
供給する設備や部品の価格に上乗せする。
出資している場合には株式配当としてもらう。
人をお出している場合には、
その人の人件費を出してもらう。
とにかく、ありとあらゆる手段を使って、
広く浅く利益を回収して行くのが、賢いやり方です。
お互いに承諾しあう場合には
クロス・ライセンス契約といいますが、
ロイヤリティーは相殺されてほとんどゼロの場合も多く、
実態は互いに「特許権侵害を訴えたりしません」
という相互不可侵条約みたいになることもしばしばらしいです。