この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
広告
posted by fanblog
2018年08月21日
業界内の競争でうまれた「事実上の標準」
普及すればするほど便利になっていく
例えば電池や電球は、
どこのメーカーのもでも
規格さえ合っていれば使用できます。
この場合は JIS(日本工場規格)という
標準が定められているのです。
このような公的な標準化機関が定めた標準を
デジュール・スタンダードと呼びます。
その一方で、かつての家庭用VTRのVHS規格のように
業界内で規格間の競争があり、
ソニーの ベータマックス規格と
日本ヴィクターの VHS規格が
他の企業を巻き込みながら競争を展開し、
1980年代にVHS規格が事実上の基準、
ディファクト・スタンダードになった例もあります。
業界標準が出現するのは、
その標準を使うユーザー数が増えれば増えるほど、
個々のユーザーが得られる便益が高まっていく
ネットワーク外部性が働いているからです。
実際VHS規格が普及してくると、
レンタルビデオ屋に並ぶビデオは
VHS規格のものばかりになり
録画したビデオの交換も
VHS規格でないと不便でした。
ネットワーク部外性も働くので日本の場合には、
100万台売れたら一気に普及すると
経験則のように言われますが、
これを クリティカル・マスと言います。
世帯普及率で2〜3%といったところです。
何をどこまでオープンするか
オープンしすぎで失敗したIBM
家庭用VTRでVHS規格が
デファクト・スタンダード
もう一つ大きな理由があります。
実は、日本ビクターはソニーと比べて市場地位が
低かったので、VHS規格を オープンにしたのです。
具体的にいえば、
他企業に規格の情報を無償で公開し、
普通なら門外不出の試作機まで、
他社に無償で貸し出しました。
他社はこのこのことがあったので、
VHS規格のVTRを作るのが容易になりました。
しかし規格はオープンにすればいい
というものではありません。
例えばウィンドウズパソコンは
IBM-PCの系列に属しますが、
これはパソコン参入に出遅れたIBMが、
パソコン市場に参入する際、
1981年に発表した規格です。
IBMはこの規格情報を積極的に
オープンしただけではなく、
部品の調達までオープンにしてしまいました。
そのおかげで、部品を買い集めてくるだけで
容易にIBM-PC互換機が作れるようになり、
多くのIBM-PC互換機メーカーが
パソコン市場に参入してきました。
その結果、IBM-PCはデファクト・スタンダードになり、
部品調達のオープン化で、
プロセッサを作るインテルや
OSを作るマイクロソフトは急成長しました。
しかし、IBM自体は2004年にPC部門を
レノボに売却してPC市場から撤退しました。
2018年08月22日
情報を移動するのにはコストがかかる
問題解決は「情報を持つ場所」で行うのがよい
製造現場と比べれば、製品開発は 問題解決活動でしょう。
では製造現場と離れたば場所で
製品開発をできるのでしょうか。
例えば自動車産業のように、
組み立てメーカーと部品メーカーに
分かれている場合です。
日本では、もともと部品の開発は
自動車メーカー側で行われ、
図面を部品メーカーに渡していました。
つまり、 貸与図方式だったわけです。
ところが部品の開発には、
どうしても部品を製造する
メーカー側の情報が必要です。
図面のようなものは簡単に移転できますが、
複雑であったり、製造ノウハウのような
暗黙知だったりする場合には
情報粘着性があるために簡単に移転できません。
移転してメーカー側で問題解決するよりは、
情報のある部品メーカー側に
開発側を移したほうが効率的と言えます。
開発段階から製造しやすい設計にする
デザイン・フォー・マニュファクチャリングも
容易になります。
こうして、 承認図方式にして、
製造と開発を一括して部品メーカーに
アウトソージングするようになったわけです。
もっとも、マサチューセッツ工科大学の
フォンヒッペル 氏は情報粘着性を
情報移転コストと定義したので、
これではトートロジーです。
後に スズランスキー 氏は、
情報移転の際の イベントフルネス(波乱度)で
情報粘着性を測定しようと提案しました。
複数の開発工程を同時並行で進める
リード・タイムの短縮化につながる
一般的に、製品開発は、いろいろな活動が順を追って
逐次行われているものだと思われがちです。
これを シーケンシャル・エンジニアリングともいうのですが
『 製品開発力 』によれば日本の自動車メーカーの
製品投入までにかかる リードタイムが
欧米のメーカーに比べるとずっと短く、
それは製品開発活動がかなり同時並行して
行われているからだと分かりました。
これを コンカレント・エンジニアリングと言います。
更に、シーケンシャル・エンジニアリングだと、
例えば、設計図面が完成してから、
実際に工場で生産を始めると
作業がしにくかったり、
新しい設備が必要になったりと
製造が難しいことが判明し、
結局、設計をやり直すというようなことが起こりえます。
開発段階から製造しやすい設計にする
デザイン・フォー・マニュファクチャリングを
考えるのであれば、
もっと早くから生産準備を始めて
設計者が設計している最中からやり取り
していればよいわけです。
このように、起こりうる問題を、
できるだけ早い段階から洗い出して、
できるだけ早期に解決する事を
フロント・ローディングと呼びます。
トヨタではSE活動と呼ばれている活動になります。