NTT-X Store にて、パイオニア製クラスDアンプ「 インテグレーテッドアンプ A-70A 」が送料無料の89,800円で販売されています。3月末の決算セールでも【箱破損】扱いで100,000円台の後半でしたので、ほぼ処分の在庫限りという感じでしょうか。いわゆる定価が203,040円、巷では13万円台で販売されているアンプですので、この価格は安いと思います。発売年は2015年で、PCとは時間感覚が少しばかり違うので、まだ新しいアンプといえます。2012年に前モデルの A-70 が発売されているところからして、そろそろ新しいモデルが登場するのかもしれませんが、ならなおさら半額以下になった本機の価格的魅力は無視できないですね。
本アンプはデジタル入力は搭載しておらず、純粋なプリメインアンプ、ピュアオーディオ用ですので、最近の音楽ソースを考慮すると、DAC 等のコンバーターは自前で用意する必要があります。一方、(アナログ)バランス入力は搭載されているので、バランス接続ができる機種(DAC 等)との接続は、こちらを使うのがオススメです。
本機はピュアオーディオ用としては入門・中初級機になるのかもしれませんが、電源部、パワー部、プリ部を明確に分離した3分割シャーシ構造を採用しているところからして、入門用イコール廉価モデルと安易に連想するのは間違いです。3分割シャーシ構造は、各回路の電気振動による影響を抑えたり、電磁波の干渉を和らげるのに有効なのですが、費用対効果の面から低価格帯モデルでは省かれてしまう贅沢な構造です。信号処理としては、バランス端子から入力された信号を、クラスDの出力段まで外来ノイズの影響なしにフルバランス伝送するようになっており、その回路も左右独立構成です(つまり高級機仕様)。
本製品の最も特徴的なものは、クラスDアンプ(D級アンプ)ということで、よく聞かれるA級、B級、AB級といったリニアオーディオアンプとは違う方式で、アナログ信号をパルス幅変調などの矩形波に換えてトランジスタをオン/オフさせ音を増幅させるものです。D級アンプはモバイル機器や薄型テレビのオーディオアンプとして主に利用されていて、電力効率が良く、回路規模を小型化でき、コストも低く済むという利点があります。一方、音質に関しては、スイッチングなどで発生するノイズの影響を受けやすくて、ひずみが生じやすいのが欠点です。トータル的にリニアオーディオアンプ(A級、B級、AB級)に劣るとされてきたのですが、ここ数年、パワー素子(MOSFET等)が改良されて格段レベルアップしているとのうわさをよく聞きます。果たして本製品はD級を採用して、しかも10万円越えの高級仕様にするとどれほどのものになるのか興味があるところです。回路的、構造的には、パワー部とプリ部それぞれに独立した電源巻き線と大容量電源トランスを搭載したり、真鍮削りだしインシュレーターを採用したり、音響メーカーらしい配慮は忘れていません。実際にハンズのサウンドトラックで試聴してみたところ、迫力のあるハイスピード低音で、しかもクリアというD級らしさはしっかり出ています。高音も楽器がキラキラ解像する綺麗さがあります。女性ボーカルも奇麗に解像しますので、臨場感がよく伝わります。音が解像するということは正直感動モノではあるのですが、あまりに解像してしまいますと、疲れやすいのも事実です。でもさすが音響メーカーというべきか、疲れにくい感じの高音と低音バランスのチューニングがされているのか、疲れやすいという感じは受けず、素直に高い解像感だけが印象的でした。個人的には、低音はよく出すぎている感じも受けましたが、これは試聴するスピーカー、音楽のジャンル等で、受ける感じは違うものになると思います。
バナナプラグにも対応した金メッキスピーカー端子に、ちょっと値の張るスピーカーをつなげれば、高く解像した音質でデータを再生できます。今までの低音の解像感や力強さに不満を感じている方には、ぜひ本機を試聴してほしいと思います。
タグ: NTT-X