船の墓場と呼ばれている嵐が荒ぶ海峡があった。航海もままならず、海峡に程近い島に住まう人々の交易も不安定であった。何日も落雷と暴風が続き、とうとう島の物資も不足が出始める。
島の人々は話し合い海神に供物を捧げようと決めた。一体誰が供物となるか、皆が押し付け合う中、澄んだ声が一つ。供物に自ら名乗り上げたのは、島の統治者の娘だった。
娘は島一番の美女であったが、白く絹のような肌の大部分を火傷の痕が覆っていた。統治者である父が止めるのも聞かず、娘は献上品である武具を身に着け、海にその身を投げ入れた。
落雷がしばらく続き、その後海峡は安定し穏やかになった。今でも海底には娘と共に海に飛び込んだという大きな槍が突き刺さっており、時折雷鳴が轟くような音が聞こえるという。
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2016年02月03日
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