難聴には基本的に2つのタイプがあります。1つは、外耳や中耳に障害があるという理由で音が伝わらない場合に起こる「伝音性難聴」です。多くの場合、手術や薬で治療することができます。
最も一般的なタイプの難聴である「感音性難聴」は、内耳や聴覚神経が本来の働きをしなくなることで起こります。第3のタイプである混合型難聴もありますが、これは他の2つの難聴を組み合わせたものです。
感音性難聴は、薬物治療や外科的な治療ができませんが、ほとんどの場合、補聴器を使ってケア・改善することができます。
補聴器で難聴を改善することができます
補聴器は、過去100年ほどの間、聴覚ケアが必要な方のために音を増幅する最良の方法でした。もちろん当時の補聴器は周囲すべての音を増幅してたので、その評判は良くありませんでした。
しかし、今日の最高の補聴器は全く別の話です。補聴器には多くの技術が搭載されており、人の声や話し声のような大事な信号や音と、聞き取りにくく不快な音である「ノイズ・騒音」を区別することができます。そして、聞きたい音を瞬時に自動的に増幅し、聞きたくない音を抑制することができます。
そして、今では業界を超える最先端技術であるモーションセンサー(ジャイロセンサーと加速度センサー)とAI(人工知能)を搭載した最新補聴器まで登場するようになりました。
耳から外せば、自動で感知して節電モードにしたり、補聴器をタップするだけで環境に合わせて自動で調整してくれるエッジコンピューティング技術を搭載したものまであります。
このように補聴器は今、賢くなってきているのです。
さらに、経験豊富な補聴器専門のプロフェッショナルの手にかかれば、補聴器はさらに賢くなります。なぜなら、補聴器の専門家は、あなたが苦手とする特定の周波数、強度レベル、環境に合わせて補聴器を微調整することができるからです。
手短にまとめていうと、、、
加齢によって難聴になってしまうと、以前のような聞こえ方を取り戻すことはできません。しかし、補聴器でケア、補助したり、改善したりすることはできます。多くの初めて補聴器を装用する方に聞いてみると、「長年装用していなかったことを考えて、どうして早く考えることができなかったのか、何が足りなかったのか」と話す方が実に多いのです。
マスクにも邪魔にならない補聴器
コロナ禍で大好評いただいている、世界でスターキーだけが実現する(2021年3月4日現在)充電式耳あな型補聴器を着ければ、「これで間違いない」と感じていただけることでしょう。
取り扱いが簡単・便利な充電タイプは、わずらわしい電池交換、定期的な電池購入も必要なく、補聴器が届けるサウンドに集中できるので、これから補聴器を使い始める方にとっても最適です。充電タイプなので通常の補聴器よりも密閉性が高く、iPhoneなどと同じIP67の国際保護等級も取得しており、サビにも強いです。伝音難聴は手術で改善するケースもある
伝音難聴は、外耳や中耳になんらかの障害があることで起こります。外耳道炎、急性中耳炎などでは一時的な症状である場合も多く、薬物投与などで改善することが多いです。
一方、滲出性中耳炎、鼓膜穿孔(慢性中耳炎)や耳硬化症などでは手術で改善することもあります。治療が難しい場合でも補聴器を装用することで適切な音を内耳に届けられれば、問題なく聞こえることも多いです。耳鼻咽喉科を受診してください。
感音難聴は補聴器を装用することが大切である
感音難聴は、内耳、蝸牛神経、脳の障害によって起こります。急性に生じる突発性難聴などや慢性的に生じる騒音性難聴・加齢性難聴、生まれつきの先天性難聴などがあります。急性難聴は早期の薬物治療等で改善することもあります。また騒音性難聴は予防が重要になります。加齢性難聴などは現在は治療は困難ですが、補聴器で聞こえを補うことで、認知症予防、生活の質を改善させることができます。また、重度難聴の方には人工内耳手術を行うことで聞こえが戻る可能性があります。
混合性難聴は症状に応じた治療を選択する
混合性難聴は、伝音難聴と感音難聴の2つが合併した難聴です。伝音難聴と感音難聴のどちらの症状が強いかは個人差があるため、症状に応じて各種治療や補聴器などを使用します。目次
突発性難聴とは
突発性難聴の症状
突発性難聴の原因
突発性難聴の診断・検査
突発性難聴と区別すべき難聴
突発性難聴の治療はスピード勝負
突発性難聴と仕事
まとめ
1月
2月
突発性難聴とは
出典:amanaimages
突発性難聴とは、左右の耳のいずれかが突然聞こえづらくなる疾患です。ごくまれに両耳に症状が出ることもあります。
難聴は大きく次の2つに分類されます。
伝音難聴
音を伝える部位に異常が起こる難聴を指します。耳の鼓膜から奥の部位「中耳」で異変が起こりやすく、難聴原因が特定しやすいのが特徴です。
感音難聴
集められた音を脳でキャッチするまでの機能に異常が起こる難聴を指します。耳の一番奥の部位「内耳」や聴神経、大脳で異常が起こりやすいとされています。聞こえが悪くなる原因は不明のものが多いです。
突発性難聴は「感音難聴」の一つです。感音難聴の多くは聴力の回復が困難ですが、突発性難聴の場合には早期に適切な治療を行うと、聴力の回復が期待できる疾患です。
働き盛りの40〜60代の人に多くみられますが、幅広い年代で起こりえます。昨今では芸能人で突発性難聴と診断されたことが話題になることもあり、病名を見聞きしたことがある人もいることでしょう。
参考
厚生労働省e-ヘルスネット「突発性難聴について」
突発性難聴の症状
出典:amanaimages
突発性難聴の場合には、難聴は前触れなく現れます。聞こえが悪くなる周波数領域も、聞こえの程度も人によりまちまちです。
難聴以外には、めまいや耳鳴りといった症状が現れることもあります。めまいは難聴と同時に出てくる場合があります。また、耳鳴りは難聴と同時に起こる場合も、難聴の後遺症として残る場合もあります。
突発性難聴の場合には、いったん回復すれば原則として繰り返すことはなく、難聴の症状は一度しか起こりません。ただ、治療が遅れると聴力の回復が難しくなるため、症状に気づいた段階で、早めに耳鼻科を受診することが大切です。
株式会社くすりの窓口一同
1. 当コラムに掲載されている情報については、原則として薬剤師、医師その他の医療及び健康管理関連の資格を持った方(以下「薬剤師等」といいます)による助言、評価等を掲載しております。当社自身でも掲載内容に不適切な表記がないか、細心の注意を払って確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。あくまで、読者皆様ご自身のご判断にてお読み頂き、ご参考にして頂ければと存じます。
2. 当コラムにおける一般医薬品に関する情報は、読者、消費者の方々に適切な商品選択をして頂くことを目的に、薬剤師等に対して当社より課題、テーマを提示の上、執筆を依頼しております。主眼は、商品より成分であり、特定の商品に関する執筆を依頼しているわけではなく、また特定の医薬品製造事業者等(以下「メーカー等」といいます)からの販売又は紹介に関する対価が発生するものではありません。
3. 当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。当社は、掲載されている情報を予告なしに変更、更新する場合があります。
4. 前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任も負うものではありません。
1.突発性難聴はどのような病気?
突発性難聴は急激に聴力が低下することが特徴の病気です。いつ、どこで発症したかがはっきり分かるくらい急激に聴力が低下します。音が聴こえづらくなることはもちろんのこと、耳鳴りや頭痛、吐き気といった副症状が生じることもあります。
聴力の低下がはっきり分かるため、発症を自覚しやすいことも特徴の一つです。ただし、どの程度聴力が低下するかは個人差があります。軽度の聴力低下からほとんど聞こえないくらいの重度の聴力低下、耳鳴りが大きいなど症状には幅があります。
突発性難聴は自分で耳の不調に気づきやすいため、早期に病院で診察を受けやすい病気です。突発性難聴は早期発見・早期治療が基本となる病気で、早めに治療すればするほど予後が良くなります。なるべく発症から48時間以内に病院で診察を受け、治療を開始していきます。
反対に発症してから時間が経てばたつほど聴力が元に戻りにくくなります。48時間以内で病院に行くのが難しければなるべく一週間以内、遅くとも二週間以内には病院へ行くようにしましょう。1か月以上経過してから病院に行ったとしても治療の効果が薄く、聴力はほぼもとに戻らないと考えられています。
突発性難聴の治療の基本は「薬」になります。病院に毎日通院する時間がない人でも治療を受けることができます。症状の度合いや患者のライフスタイルによっては病院に通院して、服薬ではなく点滴を用いることもあります。次の項目ではどのような薬を治療に用いるのか見ていきましょう。
2.突発性難聴の治療薬
プレドニン錠(ステロイド)
突発性難聴を治療する際に基本となる薬剤です。突発性難聴自体の原因が特定されていないため、機序は不明ですが何らかの原因により生じた内耳の炎症を抑えることで治療効果を発揮すると考えられています。
最初にプレドニン錠を多めに服用し、徐々に服用量を減らしていきます。基本的にプレドニン錠を7日間服用します。ステロイドと聞くと副作用が心配になる人もいるかと思いますが、突発性難聴の治療期間である7日程度では重大な副作用が生じることはほとんどありません。
ただし、プレドニン錠を服用することで血糖値が上昇することがあります。糖尿病の既往がある人はプレドニン錠の服用で症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。突発性難聴の診療科は耳鼻科ですが、糖尿病患者の場合は耳鼻科と内科が連携を取りつつ治療にあたります。また、妊娠中の人もプレドニン錠の服用には注意が必要です。その場合は耳鼻科と産婦人科で連携を取りつつ治療にあたります。
メチコバール錠(ビタミンB12剤)
必須ビタミンであるビタミンB12を補給するための薬です。ビタミンB12自体が水溶性ビタミンのため、
過剰に摂取しても尿とともに体外へ排出されるため副作用はありません。ビタミンB12は末梢神経を正常に保つためにビタミンです。難聴や耳鳴り、頭痛などに効果があると考えられているため、突発性難聴治療時にプレドニン錠と組み合わされて使用されます。
アデコスホーワ腸溶剤、カルナクリン錠(血流改善薬)
脳の血流を改善させる薬を服用することで、内耳の血液循環を改善させます。
耳鳴りやめまいなど突発性難聴の副症状を治療するのに有効です。
突発性難聴の症状に合わせてこれらの薬を組み合わせたり、点滴にしたりして治療を行います。治療期間は副腎皮質ホルモン薬の服用期間に準拠します。通常は1週間から10日程度で治療が終了します。
ただし、治療薬を適切に使用したからと言って確実に突発性難聴で低下した聴力が元に戻るとは言い切れません。
突発性難聴は全発症者の1/3で聴力が元通りになり、1/3で聴力の低下や耳鳴りと言った後遺症が残り、1/3で聴力が元に戻らないとも言われています。やはり発症してから治療を開始するまでの時間が短ければ短いほど、聴力が元に戻りやすいため早期治療を心がけましょう。
3.治療薬以外の生活習慣のポイント
突発性難聴はウイルス感染説と内耳循環障害説の2つが有力な原因と考えられています。
ウイルス感染説は突発性難聴を引き起こす何らかのウイルスに感染することで、内耳循環障害説は内耳の血流に障害が起きることで発症すると考えられています。
ウイルス感染説は免疫力を高めることで、内耳循環障害説は血流を改善させることでそれぞれリスクを低減させることが可能です。
日常生活の中では以下のようなポイントに気を付けるようにしましょう。
・ストレスを溜めない
ストレスが過度に溜まると免疫力が低下したり、血流が悪化したりしてしまいます。適度に発散してストレスを溜めないようにしましょう。スポーツや入浴、趣味などなんらかのストレス発散手段を作っておくとよいです。
・十分な睡眠を取る
睡眠時間が足りないと人はよりイライラしやすいようになってストレスが溜まりやすくなってしまいます。
睡眠不足を実感している人は十分に睡眠を取るようにしましょう。適切な睡眠時間は人によって異なりますが、最低でも6時間は睡眠時間を確保することが重要です。
・高脂質な食生活を避ける
高脂質な食生活は血流の悪化の原因となります。内耳循環障害説が直接的な突発性難聴の原因ではないとしても、内耳の血流が悪化すれば耳の機能にも影響します。
揚げ物やファストフードばかりの生活を改善して、野菜をたっぷり食べるようにしましょう。
4.まとめ
突発性難聴の治療の基本は「薬」によるものです。特に中心となるのは副腎皮質ホルモン薬で、内耳に生じた炎症を鎮めることで突発性難聴の治療に効果的であると考えられています。そのほか末梢神経に関わるビタミンB12剤や血流改善薬を用いて突発性難聴を治療します。
薬を用いた治療で確実に突発性難聴が治るわけではないことには注意が必要です。早期治療を行えば行うほど、治療の効果が高くなるため、難聴に気づいたらすぐに病院に行くようにしましょう。
最も一般的なタイプの難聴である「感音性難聴」は、内耳や聴覚神経が本来の働きをしなくなることで起こります。第3のタイプである混合型難聴もありますが、これは他の2つの難聴を組み合わせたものです。
感音性難聴は、薬物治療や外科的な治療ができませんが、ほとんどの場合、補聴器を使ってケア・改善することができます。
補聴器で難聴を改善することができます
補聴器は、過去100年ほどの間、聴覚ケアが必要な方のために音を増幅する最良の方法でした。もちろん当時の補聴器は周囲すべての音を増幅してたので、その評判は良くありませんでした。
しかし、今日の最高の補聴器は全く別の話です。補聴器には多くの技術が搭載されており、人の声や話し声のような大事な信号や音と、聞き取りにくく不快な音である「ノイズ・騒音」を区別することができます。そして、聞きたい音を瞬時に自動的に増幅し、聞きたくない音を抑制することができます。
そして、今では業界を超える最先端技術であるモーションセンサー(ジャイロセンサーと加速度センサー)とAI(人工知能)を搭載した最新補聴器まで登場するようになりました。
耳から外せば、自動で感知して節電モードにしたり、補聴器をタップするだけで環境に合わせて自動で調整してくれるエッジコンピューティング技術を搭載したものまであります。
このように補聴器は今、賢くなってきているのです。
さらに、経験豊富な補聴器専門のプロフェッショナルの手にかかれば、補聴器はさらに賢くなります。なぜなら、補聴器の専門家は、あなたが苦手とする特定の周波数、強度レベル、環境に合わせて補聴器を微調整することができるからです。
手短にまとめていうと、、、
加齢によって難聴になってしまうと、以前のような聞こえ方を取り戻すことはできません。しかし、補聴器でケア、補助したり、改善したりすることはできます。多くの初めて補聴器を装用する方に聞いてみると、「長年装用していなかったことを考えて、どうして早く考えることができなかったのか、何が足りなかったのか」と話す方が実に多いのです。
マスクにも邪魔にならない補聴器
コロナ禍で大好評いただいている、世界でスターキーだけが実現する(2021年3月4日現在)充電式耳あな型補聴器を着ければ、「これで間違いない」と感じていただけることでしょう。
取り扱いが簡単・便利な充電タイプは、わずらわしい電池交換、定期的な電池購入も必要なく、補聴器が届けるサウンドに集中できるので、これから補聴器を使い始める方にとっても最適です。充電タイプなので通常の補聴器よりも密閉性が高く、iPhoneなどと同じIP67の国際保護等級も取得しており、サビにも強いです。伝音難聴は手術で改善するケースもある
伝音難聴は、外耳や中耳になんらかの障害があることで起こります。外耳道炎、急性中耳炎などでは一時的な症状である場合も多く、薬物投与などで改善することが多いです。
一方、滲出性中耳炎、鼓膜穿孔(慢性中耳炎)や耳硬化症などでは手術で改善することもあります。治療が難しい場合でも補聴器を装用することで適切な音を内耳に届けられれば、問題なく聞こえることも多いです。耳鼻咽喉科を受診してください。
感音難聴は補聴器を装用することが大切である
感音難聴は、内耳、蝸牛神経、脳の障害によって起こります。急性に生じる突発性難聴などや慢性的に生じる騒音性難聴・加齢性難聴、生まれつきの先天性難聴などがあります。急性難聴は早期の薬物治療等で改善することもあります。また騒音性難聴は予防が重要になります。加齢性難聴などは現在は治療は困難ですが、補聴器で聞こえを補うことで、認知症予防、生活の質を改善させることができます。また、重度難聴の方には人工内耳手術を行うことで聞こえが戻る可能性があります。
混合性難聴は症状に応じた治療を選択する
混合性難聴は、伝音難聴と感音難聴の2つが合併した難聴です。伝音難聴と感音難聴のどちらの症状が強いかは個人差があるため、症状に応じて各種治療や補聴器などを使用します。目次
突発性難聴とは
突発性難聴の症状
突発性難聴の原因
突発性難聴の診断・検査
突発性難聴と区別すべき難聴
突発性難聴の治療はスピード勝負
突発性難聴と仕事
まとめ
1月
2月
突発性難聴とは
出典:amanaimages
突発性難聴とは、左右の耳のいずれかが突然聞こえづらくなる疾患です。ごくまれに両耳に症状が出ることもあります。
難聴は大きく次の2つに分類されます。
伝音難聴
音を伝える部位に異常が起こる難聴を指します。耳の鼓膜から奥の部位「中耳」で異変が起こりやすく、難聴原因が特定しやすいのが特徴です。
感音難聴
集められた音を脳でキャッチするまでの機能に異常が起こる難聴を指します。耳の一番奥の部位「内耳」や聴神経、大脳で異常が起こりやすいとされています。聞こえが悪くなる原因は不明のものが多いです。
突発性難聴は「感音難聴」の一つです。感音難聴の多くは聴力の回復が困難ですが、突発性難聴の場合には早期に適切な治療を行うと、聴力の回復が期待できる疾患です。
働き盛りの40〜60代の人に多くみられますが、幅広い年代で起こりえます。昨今では芸能人で突発性難聴と診断されたことが話題になることもあり、病名を見聞きしたことがある人もいることでしょう。
参考
厚生労働省e-ヘルスネット「突発性難聴について」
突発性難聴の症状
出典:amanaimages
突発性難聴の場合には、難聴は前触れなく現れます。聞こえが悪くなる周波数領域も、聞こえの程度も人によりまちまちです。
難聴以外には、めまいや耳鳴りといった症状が現れることもあります。めまいは難聴と同時に出てくる場合があります。また、耳鳴りは難聴と同時に起こる場合も、難聴の後遺症として残る場合もあります。
突発性難聴の場合には、いったん回復すれば原則として繰り返すことはなく、難聴の症状は一度しか起こりません。ただ、治療が遅れると聴力の回復が難しくなるため、症状に気づいた段階で、早めに耳鼻科を受診することが大切です。
株式会社くすりの窓口一同
1. 当コラムに掲載されている情報については、原則として薬剤師、医師その他の医療及び健康管理関連の資格を持った方(以下「薬剤師等」といいます)による助言、評価等を掲載しております。当社自身でも掲載内容に不適切な表記がないか、細心の注意を払って確認をしておりますが、医療及び健康管理上の事由など、その内容の正確性や有効性などについて何らかの保証をできるものではありません。あくまで、読者皆様ご自身のご判断にてお読み頂き、ご参考にして頂ければと存じます。
2. 当コラムにおける一般医薬品に関する情報は、読者、消費者の方々に適切な商品選択をして頂くことを目的に、薬剤師等に対して当社より課題、テーマを提示の上、執筆を依頼しております。主眼は、商品より成分であり、特定の商品に関する執筆を依頼しているわけではなく、また特定の医薬品製造事業者等(以下「メーカー等」といいます)からの販売又は紹介に関する対価が発生するものではありません。
3. 当コラムにおける情報は、執筆時点の情報であり、掲載後の状況により、内容の変更が生じる場合があります。当社は、掲載されている情報を予告なしに変更、更新する場合があります。
4. 前各項に関する事項により読者の皆様に生じた何らかの損失、損害等について、当社は一切責任も負うものではありません。
1.突発性難聴はどのような病気?
突発性難聴は急激に聴力が低下することが特徴の病気です。いつ、どこで発症したかがはっきり分かるくらい急激に聴力が低下します。音が聴こえづらくなることはもちろんのこと、耳鳴りや頭痛、吐き気といった副症状が生じることもあります。
聴力の低下がはっきり分かるため、発症を自覚しやすいことも特徴の一つです。ただし、どの程度聴力が低下するかは個人差があります。軽度の聴力低下からほとんど聞こえないくらいの重度の聴力低下、耳鳴りが大きいなど症状には幅があります。
突発性難聴は自分で耳の不調に気づきやすいため、早期に病院で診察を受けやすい病気です。突発性難聴は早期発見・早期治療が基本となる病気で、早めに治療すればするほど予後が良くなります。なるべく発症から48時間以内に病院で診察を受け、治療を開始していきます。
反対に発症してから時間が経てばたつほど聴力が元に戻りにくくなります。48時間以内で病院に行くのが難しければなるべく一週間以内、遅くとも二週間以内には病院へ行くようにしましょう。1か月以上経過してから病院に行ったとしても治療の効果が薄く、聴力はほぼもとに戻らないと考えられています。
突発性難聴の治療の基本は「薬」になります。病院に毎日通院する時間がない人でも治療を受けることができます。症状の度合いや患者のライフスタイルによっては病院に通院して、服薬ではなく点滴を用いることもあります。次の項目ではどのような薬を治療に用いるのか見ていきましょう。
2.突発性難聴の治療薬
プレドニン錠(ステロイド)
突発性難聴を治療する際に基本となる薬剤です。突発性難聴自体の原因が特定されていないため、機序は不明ですが何らかの原因により生じた内耳の炎症を抑えることで治療効果を発揮すると考えられています。
最初にプレドニン錠を多めに服用し、徐々に服用量を減らしていきます。基本的にプレドニン錠を7日間服用します。ステロイドと聞くと副作用が心配になる人もいるかと思いますが、突発性難聴の治療期間である7日程度では重大な副作用が生じることはほとんどありません。
ただし、プレドニン錠を服用することで血糖値が上昇することがあります。糖尿病の既往がある人はプレドニン錠の服用で症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。突発性難聴の診療科は耳鼻科ですが、糖尿病患者の場合は耳鼻科と内科が連携を取りつつ治療にあたります。また、妊娠中の人もプレドニン錠の服用には注意が必要です。その場合は耳鼻科と産婦人科で連携を取りつつ治療にあたります。
メチコバール錠(ビタミンB12剤)
必須ビタミンであるビタミンB12を補給するための薬です。ビタミンB12自体が水溶性ビタミンのため、
過剰に摂取しても尿とともに体外へ排出されるため副作用はありません。ビタミンB12は末梢神経を正常に保つためにビタミンです。難聴や耳鳴り、頭痛などに効果があると考えられているため、突発性難聴治療時にプレドニン錠と組み合わされて使用されます。
アデコスホーワ腸溶剤、カルナクリン錠(血流改善薬)
脳の血流を改善させる薬を服用することで、内耳の血液循環を改善させます。
耳鳴りやめまいなど突発性難聴の副症状を治療するのに有効です。
突発性難聴の症状に合わせてこれらの薬を組み合わせたり、点滴にしたりして治療を行います。治療期間は副腎皮質ホルモン薬の服用期間に準拠します。通常は1週間から10日程度で治療が終了します。
ただし、治療薬を適切に使用したからと言って確実に突発性難聴で低下した聴力が元に戻るとは言い切れません。
突発性難聴は全発症者の1/3で聴力が元通りになり、1/3で聴力の低下や耳鳴りと言った後遺症が残り、1/3で聴力が元に戻らないとも言われています。やはり発症してから治療を開始するまでの時間が短ければ短いほど、聴力が元に戻りやすいため早期治療を心がけましょう。
3.治療薬以外の生活習慣のポイント
突発性難聴はウイルス感染説と内耳循環障害説の2つが有力な原因と考えられています。
ウイルス感染説は突発性難聴を引き起こす何らかのウイルスに感染することで、内耳循環障害説は内耳の血流に障害が起きることで発症すると考えられています。
ウイルス感染説は免疫力を高めることで、内耳循環障害説は血流を改善させることでそれぞれリスクを低減させることが可能です。
日常生活の中では以下のようなポイントに気を付けるようにしましょう。
・ストレスを溜めない
ストレスが過度に溜まると免疫力が低下したり、血流が悪化したりしてしまいます。適度に発散してストレスを溜めないようにしましょう。スポーツや入浴、趣味などなんらかのストレス発散手段を作っておくとよいです。
・十分な睡眠を取る
睡眠時間が足りないと人はよりイライラしやすいようになってストレスが溜まりやすくなってしまいます。
睡眠不足を実感している人は十分に睡眠を取るようにしましょう。適切な睡眠時間は人によって異なりますが、最低でも6時間は睡眠時間を確保することが重要です。
・高脂質な食生活を避ける
高脂質な食生活は血流の悪化の原因となります。内耳循環障害説が直接的な突発性難聴の原因ではないとしても、内耳の血流が悪化すれば耳の機能にも影響します。
揚げ物やファストフードばかりの生活を改善して、野菜をたっぷり食べるようにしましょう。
4.まとめ
突発性難聴の治療の基本は「薬」によるものです。特に中心となるのは副腎皮質ホルモン薬で、内耳に生じた炎症を鎮めることで突発性難聴の治療に効果的であると考えられています。そのほか末梢神経に関わるビタミンB12剤や血流改善薬を用いて突発性難聴を治療します。
薬を用いた治療で確実に突発性難聴が治るわけではないことには注意が必要です。早期治療を行えば行うほど、治療の効果が高くなるため、難聴に気づいたらすぐに病院に行くようにしましょう。
タグ: 突発性難聴
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