2013年12月31日
正しい「目薬」のさし方は?
疲れ目、乾き目が気になったとき、朝コンタクトレンズを装着する前など、さっと目薬をさすようにしています。ただ、1日の回数や1回の量、また、点眼方法が正しいのかといつも気になっています。
そこで、眼科専門医でみさき眼科クリニックの院長・石岡みさき先生に、詳しいお話を伺いました。
■点眼後にまばたきをすると、薬液が流れ出てしまう
まずは、目薬にまつわる疑問について、石岡先生にお聞きしました。
1.目薬は1回につき、どのくらいの量をさすのが効果的?
「目薬は、1滴で目に染み渡るように作られているので、1滴で十分です。まぶたの中にためておける薬剤の量には限りがあるので、たくさん目薬をさしてもあふれ出て無駄になるだけです。あふれた目薬が目のまわりのただれを起こすこともあります」(石岡先生)
2.目が乾いたときなど、目薬は1日に何回さしてもいい?
「医師からの指示がない場合には、1日に5〜6回までにしましょう。処方の薬は点眼回数が決まっています。1日に何度も点眼すると、涙の成分が洗い流される、目薬に含まれる防腐剤が目に残って角膜が傷つく恐れもあります」(石岡先生)
3.目薬をさしたあとは、まばたきしないほうがいいって本当?
「目薬をさしたあと、目をパチパチさせると目薬が目の表面全体に届くように思われがちですが、せっかくさした目薬が涙と一緒に目頭の方に集まって流れ出てしまいます。
眼球とまぶたの間には狭いすき間があり、目薬をさすと自然と薬液がすみずみまで行き渡ります。目をパチパチせず、1分程軽く目頭を押さえながら目を閉じましょう」(石岡先生)
4.目薬の使用期限はどのくらい?
「未開封の場合、高温や直射日光を避けて常温で保存していれば、外箱や容器に記載されている使用期限内です。
ただし、一度開封した目薬の場合は、キャップを固く閉めて、涼しい場所に保管し、速やかに使用してください。処方された目薬なら開封後長くて1カ月、薬によっては1週間と短いものもあります。市販の目薬は3カ月を過ぎたら処分することをお勧めします。
古い目薬を使うと、変質した薬液で目の表面に傷をつける恐れがあります」(石岡先生)
5.目薬は冷蔵庫で保管しなければならない?
「市販薬は特に冷蔵庫で保管する必要はありません。容器や外箱に書かれている場所を確認してください。処方の目薬は冷蔵保存が必要なものもあります。
保存は常温でかまいませんが、直射日光のあたらない、なるべく涼しい場所を選んでください。特に、テレビの上や夏場の車内などの、暑い場所や直射日光の当たる場所は避けましょう。
また、冷蔵庫で保管する場合は凍らせないように気を付けてください」(石岡先生)
■目の中のどこかに、目薬を1滴だけさす
続いて、目薬の正しいさし方について、石岡先生に教えていただきました。
1.手や指を石けんできれいに洗う。
2.目薬の先端に触らないようにして、キャップを外す。
3.上を向いて、指で下まぶたを引いて、目の中ならどこでもいいので、1滴を点眼する。容器の先がまつげや目に直接触れないように気を付ける。
4.点眼後はしばらく目を閉じ、約1分、軽く目頭を押さえる。目薬が目のまわりについて、赤く腫(は)れたり、かゆくなったりすることがあるため、あふれた目薬はティッシュなどでふき取る。
5.2種類以上の目薬を使用する場合には、点眼の間隔を5分以上あける。
目薬を上手にさすコツについて、
「頬に握りこぶしを置き、もう一方の手で持った点眼ビン(目薬の容器)をそのこぶしの上に固定させるとうまくさせます。人によっては横になると、さしやすくなることもあるようです。点眼ビンを固定する補助具もあります」
と、石岡先生。
そのほか、目薬を使用するときの注意点について、石岡先生はこう説明します。
「他人の目薬は、菌やウイルスが点眼ビンに入りやすいので使わないでください。市販の目薬で効果がある病気もありますが、点眼して1週間たっても症状が改善しないときは眼科を受診しましょう。そして何も症状がなければ、通常は目薬をさす必要はありません。
目は手入れが必要な場所ではないからです」
これからは正しい使用法を心がけます