2016年09月30日
0.01秒で90kmに!? カメレオンの舌はジェット機より速く伸びるってほんと?
フシギな動物の代表格である「カメレオン」。舌を伸ばしてエサを捕らえるのは有名ですが、伸びる速さはジェット機以上なのはご存じでしょうか?
カメレオンの舌には骨があり、周りを取り囲んだ筋肉がスプリングのように伸び縮みする仕組み。「発射」するような構造なので、目にも止まらぬ速さでエサをとることができるのです。ジェット機の急降下で生じる加速度はおよそ10G(ジー)なのに対し、カメレオンの舌は250G以上、機械を超える生き物なのです。
■100分の1秒で最高速
カメレオンは周囲にあわせて色を変えるだけでなく、舌を伸ばしてエサを捕まえるのはご存じでしょう。最近の研究によると、最高速度は時速90kmにも達することがわかりました。全力疾走するチーターが120km/時前後ですから、カメレオンの舌は動物界最速とはいえません。ところが「加速度」ではダントツ、ジェット機をも超える生き物だったのです。
g(ジー)で表される加速度は速度の変化とかかった時間で計算され、速度差が大きく時間が短いほど値が大きくなります。電車やクルマが急加速すると、乗っているひとがバランスを崩したり、シートに押しつけられるような感じを受けるのもこのためで、日常生活で感じられる加速度をあげると、
・エレベーターの停止時 … 0.1〜0.2G
・クルマの発進時(通常の加速) … 0.1〜0.4G
・クルマの急ブレーキ … 0.7G
・ジェットコースター(最大) … 4〜5G
程度といわれています。非・日常的なところでは、急降下するジェット機が10G、一瞬で停止するクルマの衝突事故では100Gを超えることもあり、大ケガの原因になっているのです。
対してカメレオンの舌は、
・0.01秒で最高速度に達する
・最高速度は時速90km
と、速度もさることながら、わずか100分の1秒と短時間でトップスピードになるため加速度はダントツ、この2つの値で計算すると254G、最大で260Gを超えることがわかったのです。
■縮めた筋肉が速さの秘訣
カメレオンの舌は、どうして速く伸ばせるのでしょうか? 捕食を「舌」にゆだねる以上、ゆっくり伸ばしていてはエサを取り逃がすこともあり、カメレオンは生きていかれません。そこで「発射」できるよう、独自の構造に進化したのです。
人間の舌はおもに筋肉から成り立っているのに対し、カメレオンは、
・中心に1本の骨
・骨の周囲に筋肉
の構造で、普段は筋肉を縮めて口の中に納め、ロックされた状態になっています。エサを見つけると舌が届く距離まで近づきロックを解除、縮めた筋肉が一気に伸びるため、高速で伸ばすことができるのです。
「伸びる」という表現は決してマチガエではありませんが、縮めたスプリングを解放するような仕組みですから、「発射」と呼んだほうがわかりやすいかもしれませんね。何度も発射すると舌が筋肉痛になりそうですから、一発で食事にありつけることを願いましょう。
・カメレオンの舌は、100分の1秒で時速90kmに達することが判明
・時間と速度の差をあらわす「加速度」は250〜260G
・普段は筋肉を縮めてロック、獲物を見つけるとスプリングのように飛び出す