2018年11月30日
地上のりんご「カモミール」 飲めば死亡リスクが約3割も減少
米テキサス大学の研究グループが、カモミールの摂取とさまざまな病気による死亡リスクを検証した結果、カモミールティーをよく飲む女性は、そうでない女性と比べて、全死因死亡リスクが29%も低くなることが示されたという。
カモミールなどのハーブには多様な健康効果が報告されており、日常的にハーブを楽しむ習慣を持つことで、より健康になることができるかもしれない。
□「地上のりんご」カモミールにはさまざまな効果がある
カモミールはキク科の植物の一種であり、安全で効果的なハーブとされ多くの人々に好まれている。
胃の働きの改善、発汗や消炎作用などがあるとして、古くから薬草として利用されてきた。現在では、ドライハーブにお湯を注いでハーブティーを作り飲むことが多く、ハーブを楽しむことを趣味としている人も多いことだろう。また、カモミールには心身のリラックス作用があるとされ、眠る前にカモミールティーを飲むと気持ちよく眠れるともいわれている。
□カモミールは高齢者の死亡リスクを減少させる!?
テキサス大学の研究グループが、65歳以上のメキシコ系アメリカ人の男女1677人を7年間にわたり追跡調査して、カモミールの摂取とさまざまな病気による死亡リスクを検証した。その結果、女性では病気による死亡リスクが29%も低下することが明らかとなった。
この研究では、なぜカモミールが死亡率を低下させるかまでは分かっていないが、最近の研究では、カモミールが高血糖、胃のむかつき、糖尿病の合併症、気分障害などに有効である可能性が示されている。また、カモミールは古くから、コレステロールを下げる働き、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、血液をサラサラにする作用などがあるともされてきた。
これらの作用が、結果として死亡率の低下に関与した可能性は大いに考えられるが、詳細なメカニズムの解明には今後の研究が待たれる。
□カモミールは女性だけに効く?
今回の研究で、カモミールにより死亡リスクの低下が認められたのは女性のみだった。理由は明らかではないが、研究者が推測するに、これは家庭での男女の役割が関係しているという。
女性は男性よりも家庭で日常的に家事をすることが多く、そのため、食事などで家族の健康を気遣う機会も男性より多くなる。
そのため、古くから家庭の薬として使用されてきたハーブの知識も、全般的にいえば、男性よりも詳しい傾向にあるだろう。そのような背景もあって、女性の方が男性に比べてより頻繁にカモミールを摂取しやすい立場にあり、トータルの摂取量が男性よりも多くなることで、健康効果の影響もより大きくなったのではないかとしている。これはあくまでも推測に過ぎないが、一理あるだろう。
カモミールに限らず、ハーブが多種多様な効果を持つことは知られている。ハーブを趣味の一つとして取り入れれば、楽しみながら健康になることができるだろう。