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2021年08月14日

感想部50「許されようとは思いません」芦沢 央

許されようとは思いません

価格: 649円
(2021/8/10 15:50時点)
感想(0件)




どうも、梅ゆかり母さんです。
感想部「許されようとは思いません」作者 芦沢 央
ジャンル ミステリー
短編集

簡単に説明すると、ミステリー5編です。
本当に、それ以上も、それ以下もない。
ただ、この本を読んでいて、ちょっとミステリー? と首をひねったので、調べてみた。

「ミステリー」と「サスペンス」について
同じような印象を受けるけれど、全く違う視点なんだとかで、
たしかに、ミステリーだと、謎解きをメインとし、立派な探偵がいてこそだが、
サスペンスとなると、どうもドラマチックになりがちだ。
崖の上で犯人が告白するとかね。なんだって、拘置所にいる犯人をわざわざ連れ出して、
白状させるのか不明だし、犯人に背中を見せて、崖縁に立つって、怖いわぁ

という点でも、ミステリーとサスペンスは違うようで、
この本も、ちょうどサスペンスよりな印象を受けた。

なかなか心情をゆすぶるもので、
これはかなり、自己負担が大きいものです。
読んでいて、錯覚率が高い。
読んでいたら「もし、主人公の立場だったら?」と考えたりしないだろうか?
そう考えたときに、「ぜひとも主人公と同じ行動をとるだろう」と思うはずだ。

最初の事故を目撃した男にしろ、
孫大好きなお祖母さんにしろ
姉のことが好きだからこそ憎んでしまった妹にしろだ。

ただ、三作品目のは、ミステリーでもサスペンスでもなく、
いや、そうなのだろうが、まさに「世にも奇妙な~」という話
奇妙すぎるわけじゃないが、オチが……怖い。

五作品目のは、ただただこの表題にもなっているだけあって、
インパクトも、内容の濃さも、他の四作品以上だ。

各短編話を事細かに感想を書くのは野暮なので、
この一冊を通しての感想を書くとすれば、
この作家の心情を誘導する書き方かなかなかだと思う。
上から目線ではなく、「これは……」と絶句してしまうのだ。

面白かった? 面白くなかった? という二択であれば、面白かったよ。
だけど、面白いとは違う。これは、ちょっと違うホラー感を感じるにはいい本。と紹介する。
ぞくっとするような人間の心情ホラーです。
特に、四作目のなんかは、伏線じゃないのに、全く気付かなかった
そして、最後に来て、自分がまんまとはめられていることに気づいた。

これは巧い。
最初の作品の口調などが少々イライラさせられたが、
それもこれも、主人公の性格を映しているのだ。
そういう所も巧い。
だから、あっという間に読んでしまい、そして、
あっという間に、沈んだ。

これは……闇が深い……
「そう? 何書いてたか解らなかった」とか
「全然面白くなかった」
という感想をもったなら、それはそれで幸せなんじゃないかな。
気付いちゃったホラーですよ。
知らなきゃ、気付かなきゃよかったのに。と思うホラー
涼しくはならなかったし、ただただ後味は悪いのっだけど、
ちょっと進めたい、心情サスペンスな一冊です

許されようとは思いません

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