着信。

高校生の時、当時付き合っていた彼氏とドライブに行った帰り道、ある神社の前を通リ掛かりながら、そこの神社の噂話になった。

「この神社にある公衆電話に出る」

とか、

「ケータイの電波がなくなる場所が1箇所だけあるんだけど、電波がないのに電話が掛かって来て、女の声で、早くここから出て行け、と言われる。」

とか、そんなどこにでもあるような話だったような。

そんな話をしながら、ちょっと行ってみるか~ってコトになり、駐車場へ向かった。

季節は冬。

時刻は確か・・・19時頃だったと思う。

何かあったとしても、この時間なら平気だろう、そんな気持ちで行った気がする。

駐車場に着くと、周りには車が2~3台停まっていた。

けれど車内に人気はなく、静まり返っていて、ちょっと不気味に思えたんだけど。

「電波がなくなる場所があって・・・」

そんな言葉が頭の片隅に残っていたきりは、鳥居からここまで来る間、ずっとケータイを見ていた。

電波がない場所・・・。
それは駐車場のコトだったらしく。

見事に圏外。

電波がなくなるのは嘘じゃなかったんだぁ~。

そんなコトを思いながらふと外を見ると、何となく雰囲気が違う。
気持ち悪い感じっていうか・・・。

噂話を気にして、それが先入観になってた可能性もあるんだけど、それにしても気味が悪い。

「プルルルルル・・・」

一瞬ドキッとした。
突然きりのケータイが鳴る。

ビックリした~。
誰からだろう?
と思って画面を見ると・・・。

・・・圏外だ。

なのに着信音は鳴り続ける。

誰からだろう・・・。
恐る恐る見てみると、今きりの隣にいる、

「彼氏からの着信。」

ん?
おいおい・・・。

「ちょっと、嫌がらせですか?」

いくらなんでも、ちょっと度が過ぎてるだろう。
冗談でも笑えない位怖かった。

すると、彼氏が、

「え?俺今お前に電話なんて掛けてないよ?」

「・・・え?」

慌てて彼氏のケータイを確認する。
すると、発信していないどころか、発信履歴すら残っていない。
しかも彼氏のケータイも、やっぱり圏外。

何で?

彼氏がきりのケータイを鳴らしていないコトはすぐに確認出来た。

だって、・・・

彼氏のケータイを確認している間中、きりのケータイはずっと鳴りっぱなしだったから。

こうなると、電話に出るべきか否か迷う。

どうしよう・・・。

出てはいけない、そんな気がした。
でも、出てみたい気もする。

「プルルルルル・・・プッ」

そんなコトを考えている間に、電話が切れた。
着信時間を確認すると、1分近く鳴らされ続けていたきりのケータイ。

あの時出ていたら、どうなっていたんだろう・・・。
ブルブルッ。








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