犬の十戒



動物を飼っている全ての方に・・・。

私自身6年前までパピヨン(♂)を飼っていました。

おやっさん

うちの母が偶然入ったペットショップで
そのパピヨンに「ボクを連れて帰って~」っと目で訴えられたらしい。(笑)

うちにきて間もない頃は手のひらに乗るほど小さく
生きてるのが不思議な生き物だった。
口の周りが泥棒のように黒かった事からその名を
『おやっさん』と名付けられ本人は さぞかしありがた迷惑だった事だろう。

大きく成長しても体重はわずか3㎏に満たず
10歳を迎えるまでは病気知らずで来ていたものの
10年目を越えた辺りから痙攣を起こして
口から泡を吹いて倒れる事が多くなった・・・。

近所の町医者の獣医に診せても
「抗てんかん薬」をくれるだけ。
痙攣が起きるとチアノーゼも起こし舌が紫色になる。
いつおさまるのか、いつ起きるのか、なぜ起きるのか、
いつ意識が戻るのか、解らない日々が始まった。

1年を過ぎても突然の痙攣は止まらず、ひどさを増す一方だった。
夜中だろうが、朝方だろうが時間構わず来る私を 不憫に思ったのか
近所の獣医さんが 東大の獣畜産病院を紹介してくれた。

ここは文京区にある あのかの有名な 東大の中にある獣医。
人間顔負けの設備、入院施設の充実、なにをとっても
申し分なかった。

症状に合わせたえさの調合、購入、薬の調合、ここで
全ての事が事足りてしまう。
当時、動物保険に加入していなかったため
決して安くはないけれど、今はいくらかかったとしても
健康が後からついてくる!
そう信じてもいなければさすがの私でもきっと
通いきれなかったでしょう・・・。

都内だけに留まらず、埼玉、横浜、茨城、千葉などの近県から
通う人も少なくなかった。
治す病気は違っても「治してあげたい」その思いはみんな一緒だった。
人間おなじ目的を持つと 自然と仲良くなるスピードが速くなる。
いろんなワンちゃん、猫ちゃんたちとその飼い主の方と お友達になれた。
1年も通っていれば誰が何曜日の何時ごろ来るのか顔ぶれで
解るようにさえなっていた。

東大獣畜産病院は言わば犬猫の大学病院。
待合室で待ってるとアナウンスが入り
「○○さ~ん、○○ベスさ~ん2番診察室へお入りください」と
飼い主の苗字+ペットの愛称で名前を呼ばれ診察室に入る。
しまった!こんな事になると思ってもいなかったから
勢いで「おやっさん」と名付けた事をこんなところで
後悔するハメになる。

ところがどうだろう。名前と風体のそぐわない事この上なく
「あの子が「おやっさん?(笑)」などと結構評判は上場。
だれかれ構わず愛想を振り撒くのが得意のおやっさん。
待合室ではある意味有名で人気者だった。

おやっさん


ともすればただつらいだけの待合室が多少でも
笑顔を引き出すきっかけになれたのだから
これはもうおやっさんに感謝する以外ない。

東大での検査の結果は
「心臓の弁が逆に向かって開いているために一種の酸欠が引き起こす痙攣」
心臓自体に疾患があるのと10歳を越えてるため体力的な問題から
手術は不可能。
今の現状より悪化させないように経過観察するしかなかった。
もちろん心臓に負担を掛けさせないために薬もない。
えさはささみを湯がいたものと病院で出してくれるえさだけ。
それでもおやっさんは元気なうちは毎日きれいに食べてくれた。

動物の寿命は人間の寿命よりもはるかに短い。
そんな事は飼う時から解っていても「そのとき」が
近づくとオロオロしてしまう・・・。

1週間、痙攣が止まらなかった。
鼓動も早くなり心臓への負担が何よりも心配だった。
急遽、東大へ入院させる。
一応24時間看護となってはいるが実際のところは
2時間から4時間おきに見回りに行ってその時点で
変化がなければ次の見回りまではそのままになってしまうと
説明を受けるが、それでもうちにいるよりは まだ安心かと思われた。

毎日、朝晩会社の行き帰りにおやっさんを見舞うが
刻一刻と・・・というのはこうゆうことを言うのか・・・と
思うほど、日増しに衰弱していく。
入院して3日目にはとうとう意識もなくなってしまった。

点滴、心電図、痙攣が起こるたびに打たれる注射。
全てが拷問のように見えた。

「こんなに苦しんでるのに・・・」

「ここまでしてまで・・・」


おやっさんを助けたい一心で始めた治療だったけど
どうなんだろう・・・?
「生きてる」っていう状態とは程遠いような気がする・・・。
延命治療で「生かされてる」って感じ。
この子がもし口を利けたなら この治療を望むだろうか・・・?
こんなに苦しい思いまでして 生きてることを望むだろうか・・・?
天命までは人が手を加えるものじゃない・・・。
でも・・・もしかしたらまた元気になるかもしれないんだし・・・。

答えのない自問自答の毎日だった。

意識がなくなって3日後、私は決意した。

・・・・・「安楽死させてください」・・・・・

苦渋の決断だった。
1週間私もほとんど不眠不休でおやっさんの看病をしてきた。
私自身の体力も精神的にも気力もすでに限界に来ていた。
替われるものならば替わってあげたいのに、
ただ、見守る事しかできない自分にも腹が立つ。
目の前で、おやっさんが苦しそうな息をする。
これ以上、苦しませたくなかった。
だからと言って殺したくもないけれど
でもこれ以上この状態が続けば、おやっさんがあまりにも
かわいそうに思えて仕方なかった。
小さいからだで、苦しみながらも生かされつづけてる現状が
あまりに不憫でならなかったから・・・・・。

その時に先生が
「この子の名前を呼んでみてあげてください」 と。
「おやっさん、おやっさん! おやっさん!!」何度も何度も呼ぶ。
もしかしたら 匂いで解るかもしれないと鼻をさすり、
もしかしたら 感触で解るかもしれないと足を握り、背中をさすり・・・
もしかしたら 届くかもしれないと何度も何度も名前を呼んだ。

もう、意識などなかった。目も開かなかった・・・。
だけど、尻尾だけが力なく動く。
私の呼びかけに反応するようにパタン・・・パタン・・・と小さく。

「この子はね、今必死に生きようとしてるんですよ。
あなたの呼びかけに 答えようとして必死にね」


おやっさん

私の決断はこのとき変わった。
この子が生きようとしてる限り私はそれを支えようと。

いくら設備の整ってる大学病院でも、どんなに進んだ医学でも限界はある。
「最善は尽くしました。あとは本人の気力次第ですが
もって3日でしょう・・・」と命の期限を告げられる。

ここにこのまま置いといてもきっとこの子が寂しがる・・・。
せめて最期ぐらいはお気に入りの場所で・・・。

全ての装置を外してもらいおやっさん2週間ぶりに我が家に帰る。

それから3日後おやっさんは静かに私の手の中で旅立ちました。

亡くなる前の日、藤の花が散る間際に最後の力を振り絞って
きれいに咲き乱れるように、おやっさんも一瞬ですが
意識がパッと戻り ちょうど、私が手にしてた肉を本能的に食べました。
最後の断末魔だったのかもしれません。
それを最後に再び目を開けることなく最後に大きく息を吸って
それっきり・・・・・。

不思議と涙は出ませんでした。
悲しいとか寂しいとかっていうのはごく最近になってからの方が
強いかもしれません。
その時はむしろ長い間苦しさと戦ったおやっさんを誉めてあげたくて
「お疲れ様」「よく頑張ったね」の言葉しか頭になかった。

おやっさんがいなくなってからいろんな事が頭をよぎる。

私はおやっさんにとって良い飼い主だっただろうか・・・?
あの子が求めてるだけの愛情を残らずかけてあげられただろうか?
こんなことになるんだったら、おやっさんの好きだった食べ物
意識があるうちに食べさせてあげればよかったかな。
いろんなところに連れて行ってあげたかったな・・・。
あんな小さな事でおやっさんを叱りすぎたよな・・・。
あの子はうちにきて幸せだっただろうか・・・?

でもあぁしてあげればよかった、こうしてあげればよかった・・・と
思う通りにしてあげたとしても 今度はまた違う後悔が生まれるような気がする。
「充分」なんてことはないんだから・・・。

1つだけはっきりと解る事は

『おやっさんの飼い主になれて幸せだった』

こと・・・・・。

どんなに辛い事があってもおやっさんだけは変わらず私のそばにいた。
家に帰れば疲れも吹っ飛ぶくらいの喜びようで温かく迎えてくれた。
出かけるときは後ろ髪引かれすぎて前からハゲるんじゃないかと思うほど
切ない目で送り出してくれた。

私のそばにいつもおやっさんがいた・・・・・。

話は脱線するけど、以前、おやっさんが脱走した時に、
そこらへんの保健所に足繁く通った。
似た犬が捕獲されたと聞くたびに3つ隣の区まで
片道1時間もかけて飛んでいった。
そのとき目にした光景が忘れられない。
番号のついた部屋(檻)に何頭かの犬が入れられている。
どの犬も怯え、震え、えささえ食べてない様子。
あの犬たちの何かを訴えるような目・・・・・。
7.6.5.4.3.2.1。
番号は命のカウントダウン。
1の次に「生(せい)」はない。

母がおやっさんを選んだ時に「ボクを連れて帰って」と
目が訴えてたと言ってたのを思い出す。

出来る事なら、そこにいる犬たちを 1匹残らず連れて帰りたかった・・・。

子供の情操教育のために・・・。
1人で寂しいから・・・。
庭付き一戸建てを買ったから・・・。

いろんな理由で犬や猫を飼う機会はあるでしょう。

でも、これだけは忘れないで欲しい。

動物も生き物なんだ

という事。

大きくなったから。
えさ代がかかるから。
病気を良くするから。
引っ越すから。

いろんな理由でペットを手放す人が増えている。

でも、どうか忘れないで・・・。

飼っている動物には  「あなた」  しかいないという事を・・・。

おやっさん

「犬の十戒」はそれを再認識させてくれます。
動物を飼ってる全ての人に読んでもらえたら・・・。
と思ってリンク張りました。
こちらから↓お入りください。

犬の十戒

↑1月の初めに確認しましたところ、ただいまこちらのサイト↑
は、無期限の停止状態に入っております関係で、リンク先が
デッドリンクとなっております。

↓そこで、よりさんが、作ってくれましたぁ!↓
(よりさん、どうもありがとう♪(T人T))

犬の十戒




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