kaiちゃってもいいですか?

kaiちゃってもいいですか?

~第六章~

第6章:あらゆる力

「ほほう、4段目まで上れたのかい?」

100年の木が少し感心するように言った。

そして少年をじっと見つめ思わせぶりに、にやりと笑った。

だが少年は気にならなかった。

 「ケケッ 4段目までだって?まぐれに決まっているさ」

黒ハットがまた現れた。

「チチッ 違うよ、ちゃんと見てきたもの」

今度は白ハット。

「ケケッ 結局体の痛みは消えてないんだろ?」

少年は何も答えずに100年の木に言った。

「僕、また行かなくちゃ」

少年は歩き出し、鳥達の群れの横を横切ろうとしたが、足を止めた。

「あれは、羊かな?」

翼の有無に関わらず羊の群れが空を見上げていた。

人懐っこそうな羊が一頭、少年の前で止まった。

「こんにちは、何をしているの?」少年が羊に話しかけた。

「空を飛びたいのさ」羊が答えた。

「君は翼が無いんだね」少年が言った。

「翼は関係ないんだよ、でも僕達が空を飛ぶのはとても難しいんだ」

「どうして空を飛ばなければいけないの?」

「この世界では空を飛べないとやっていけないのさ」

「でも、僕はあきらめないぞ」羊が言った。

「僕も、あきらめないぞ」少年が言った。

少年は羊と長い時間をかけて話し続けた。

だが、その時間のうちに何頭もの羊が倒れていくのが見えた。

「じゃあ、約束だよ」

少年に続いて羊が言った。

「うん、約束だね」

そうして、二人はさよならをした。決意と共に。

おかしな事に、今日は階段のある場所までたどり着けない。

「道を間違えたのかな?」少年がクックに言った。

その瞬間、突如目の前に扉が現れた。

少年は驚きのあまり、地面に手をついた。

時が流れる。

少年は、あの大きくて低い声のコトバを思い出した。

そしてドアを叩いた。

目の前には、見たこともない光景があった。

「エメラルドの泉に入り、願いを一つだけ唱えよ」

大きくて低い声が辺り全体を包み込んだ。

「ケケッ お前さんの願いはこれだろ?元の世界に戻してください」

「それともこっちか?体の痛みを無くしてください」

少年の片方の耳にだけ、黒ハットの声が聞こえた。

少年は落ち着いていた。

クックにここで待つように言うと、一人泉に向かって歩いて行った。

少年の体が、どんどん泉に吸い込まれていく。

そして立ち止まり、何かを言っているようだった。

やがて、大きくて低い声が聞こえた。

「理解示しものよ、願いは確かに叶えたもう」

少年が戻ってきて、クックにニッコリと微笑んだ。

扉は一瞬にして何処かに消え去っていった。



グリルデガバチョ

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