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May 2, 2005

努力の人

(4)

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今朝５時半オカンはまだ起きてこない。
俺の電話で起こされたのか、のっそりとやって来て
ウーロン茶と目覚めのコーヒーを入れる姿はまだ眠そう。

もくもくと弁当作り、朝食作り
慌てて弁当を１つ持って、娘の支度に自分の部屋に飛んで帰る。
娘を送りだすと俺と息子の朝食をとらせ、
その間はいつもの日課のパソコンを開く。

急に思い出したように振り向きながらオカンは言った。
｢あー、そう言えばデコチから１次審査合格したと連絡が昨夜来てたんだ！！｣

またいつものように何を言ってるんだか伝わらない。
オカンはだんだん昨夜の興奮を思い出したんだろう、みるみる顔が変わって行く。
ほんまおもしろいやっちゃなぁ。

｢あのぉー、あれよ！あれっ！！｣
まったくわからん！

よくよく聞くと、３月のあの家族も友達も巻き込んで挑んだイベントの１次審査に合格したと言う。

｢よかったなぁ。｣
そんな言葉が浮かぶより、どうして今目の前でこんなに興奮している出来事さえも
簡単に忘れてしまえるのか？
本当に理解に苦しむ女である。

天然というより　アホという言葉がぴったりのオカン。
どんくさいと言うか、全く取り柄などない。
家で見せるオカンの姿は本当にそんな形容詞しか浮かばない。
もちろん家事全般１つづこなさせれば出来ないものはない。
ただ、１つの事以外出来ない女なのだ。

そのオカンが今目の前で時々見せる得意げな笑顔を振り撒いている。
目は輝きコロコロと表情を替えながら、饒舌にしゃべりまくっている。

人の１０倍以上の努力をして、やっと人並み以上になれる女。

俺なんかは、大抵のことはきっとこなせる。勉強は別だけど。
スポーツにしても、仕事にしても。
本気を出せばそこそこいける。きっとそんな思いがあるんだろう。

一流ってのは、ほんのひとにぎりしかいなくて、天性のモノを
持って生まれているという人間はもっと少ないのかもしれない。
天才と言われる存在でありながら　まだ努力をしたから超一流と呼ばれる。

オカンは人の１０倍努力してやっと人並み以上。
でも　それで満足できる女じゃないようだ。
努力できる奴はどんどん努力すればいい。面白いじゃん!!
もちろん俺にはそんな元気はないけどね。

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