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武器よさらば(1957年版)


ヘミングウェイの有名な自伝的小説の映画化。アメリカ人でありながらイタリア軍に志願入隊したフレデリック(ロック・ハドソン)とイギリス赤十字の看護婦キャサリン(ジェニファー・ジョーンズ)の悲恋を描いたもの。57年、ロック・ハドソンとジェニファー・ジョーンズのコンビでリメイクされた。映画としての良し悪しは別にしてヘミングウェイの原作に忠実と思える。
戦前の日本では原作の「武器よさらば」のタイトルが使えず、「戦場よさらば」のタイトルで公開された。戦争の悲惨さを映画の各所で表現し、露骨なファシズム反乱と戦うために国民義勇軍としてスペインに散じたヘミングウェィの自由と人間を守る精神が根底にあったと察せられる作品。32年のゲーリー・クーパーとヘレン・ヘイズのオリジナル版にも共通する。それは第一次世界大戦での体験をもとにしたと思える題材が多いが(事実ヘミングウェイは自体験小説が多い)この映画、あらすじ的にも乱戦の中での反逆罪の名によるリナルディとヘンリーの逮捕と、リナルディの銃殺、そして度重なる愛度の行く末がキャサリンの死。戦争そのもののリアリティよりもそこに付随した愛と悲しみの方が強く描かれている。あの最後の絶望感は、何とも言い表し難い重さが残る。


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