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マリ・アントワネットを観て

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これはソフィア・コッポラ流の「マリー・アントワネット」というべきである作品だった。それは「歴史に残る悪女マリー」ではなく、等身大のひとりの女性の青春として、様々な逸話を絡めて「マリー・アントワネット」を描いたといえるからである。
それにキルスティン・ダンストは美形というタイプではない。どちらかといえばより庶民的でとてもキュート。こういう映画の設定、脚本からすれば、いい配役だったとともとれる。彼女は表情を大きく崩さず、普通の女性を演じた。「マリー・アントワネット」の今までにある潜在的なイメージは放蕩消費と色恋にまかせ、フランスを好き放題にした感。ここではそのことをあまり感じさせない。マリーが最もマリーとして口火を切ったのは、宮廷内のオペラでの拍手だろう。仕来り的に宮廷内のオペラには皇族は拍手をしないのが通例だったらしく、ここでマリーは自らが拍手をし、見に来ている全員に波及させる。これがルイの共感を呼ぶ。ここが最も印象に残った。
また、オーストリーからフランスへ嫁ぐ旅先への最初の馬車の光景、そして最後にベルサイユを後にする馬車の光景はS・コッポラの映画製作の根幹にあるセンスであり、カメラワークの上手さが光ったところだろう。この監督の真骨頂でもある。全体を通せば期待をというものには結びつかなかったが、ベルサイユを中心に、マリー・アントワネットを中心に映した映像は、真、財の許す歴史だったのだろうと思わせてくれた。



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