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魂の叫び~響け、届け。~
笑顔の行方
『いくち0424』
さんのサイトのキリ番
8888
を踏んで、
リクエストして書いて貰いました(≧∇≦)
「リクエスト受け付けるよ?」
と言われた私は、迷わず
「アスキラで!!(笑)」
即答。
「どんな感じの話がいい?」
との質問に、
「いつも嫉妬に燃えるのがザラだから、今度はキラに妬いて欲しい!」
と注文しました!
そして、出来上がったのがこちらです。
(
お持ち帰りしないで
下さいね!私の
宝物
なのです♪)
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
笑顔の行方
「キラ・・・。」
僕・・・・?
僕を呼んでるのは・・・?誰?
「キラ・・。」
アスラン?
僕ね、僕を呼ぶアスランの優しい声が好きだよ。
ね、もっと呼んで。
「キラ。」
「・・・ん、もっと・・。」
「キ~ラ。」
ふわり
と僕の頬に柔らかなぬくもり。
「・・・・ん・・?」
そのぬくもりに誘われるように、重いまぶたがゆっくりと開いていく。
「目が覚めた?キラ。」
最初に見えたのは僕を見下ろす翠の瞳。
あぁ、僕この目が大好きなんだ。
優しく優しく僕を見つめる。
「ア・・・・スラン?」
「おはよう、キラ。」
ようやくはっきりと見え始めた視界は、僕の居るベッドに腰掛けているアスランを捉えた。
窓からはまぶしい光。
朝・・・なんだ・・。
・・え?・・・・朝??
「わあぁ!ごめん!アスラン!!今日評議会だよね!?」
ベッドから飛び起きて、キッチンへ向かおうとする僕の手をアスランが掴んで引き止めた。
「キラ!ちょ、ちょっと落ち着いて。」
「わわっ!」
バランスを崩した僕は、ベッドに腰掛けたままのアスランの腕の中に、あっさりと納まってしまった。
「キラ。おはよう。」
アスランの柔らかい唇が僕のおでこにそっと触れる。
僕を包むアスランの温もりが、薄い布越しに僕に伝わる。
「おはよう。アスラン。」
また眠りに引き込まれそうな、この安心感。
「キラ、朝食出来てるよ。」
僕の頭上から聞こえるアスランのその言葉に、僕がすっかり寝坊してしまったことを思い出した。
「あっ!ごめん・・・・。起きられなくて。今日は評議会だったのに、忙しかったでしょ?ごめんね・・。」
「いいんだよ。キラこそ夜更かし苦手なのに、夕べは遅くまで仕事してたんだから、疲れただろ?気にすることは無いよ。」
アスランの手が優しく僕の髪を鋤く。
顔を上げると、微笑を湛えた翠の瞳が僕を見ていた。
そして、そっと触れるだけの口付けを落とすと、僕の肩を抱いたまま立ち上がった。
「ご飯、一緒に食べよ?」
「うん。」
食事を済ませ、身支度を整えたアスランが玄関へ向かう。
「今日はそれ程遅くならないと思うから。4時くらいには終わるはずだ。」
その後ろをついていく僕。
「うん。」
「キラもクライアントに会うのは、午後だろ?」
「うん。そうだよ。一度会社に顔出してから、相手先へ向かうんだ。」
「そっか、気をつけろよ。」
「うん。」
「じゃ、行ってくるよ。」
アスランは僕の頬に口付けて、玄関を出て行った。
「行ってらっしゃい。」
その後姿が見えなくなるまで見送って、食事の後片付けを始める。
本当はアスランの収入だけで、僕たちの生活は充分成り立っていく。
でも、アスランにばかり頼るのは、なんだか申し訳なくて。
プログラムの腕を買われた僕は、コンピューターソフト会社の非常勤務プログラマーとして働いている。
今日は、出来上がったプログラムをお客さんに届ける日だ。
けどそれも、約束の時間は午後。
それまでに掃除も洗濯も済ませておこう。
僕に出来ることなんて、それくらいなものだから。
アスランは僕をいつだって気遣ってくれて、優しくて、僕が欲しいと思っているものは何でも与えてくれる。
でも、僕は・・・・・
アスランに何もしてあげられない。
だからせめて、なるべく朝食は僕が作って、掃除や洗濯をして、ちょっとだけど仕事をしてお金を稼いで。
少しでもアスランの負担にならないように、頑張ろうって思う。
だから、今朝は失敗。
アスラン、今日は朝から評議会だったのに、朝ごはんまで作らせちゃって。
アスランに負担はかけたくないのに・・・・。
「よし、じゃ、洗濯だ。」
食器の後片付けを終えて、今度は洗濯に取り掛かる。
とは言っても2人分。
それ程手間も無い。
アスランのシャツのポケットに何も入っていないかチェックしていると、
「何?これ。」
一枚の紙切れが出てきた。
そこには11桁の数字が書いてある。
「携帯番号・・?」
見たことの無い番号。
僕のでもアスランのでもない。
ラクスでもカガリでもなければ、イザークさんやディアッカのでもない。
「誰・・・の?」
言いようの無い不安とアスランに対する疑心が、僕の心で頭をもたげる。
きっとなんでもない。
仕事の関係者の電話番号だよ。
大丈夫、大丈夫。
「あ・・・・、洗濯やっちゃわなきゃ。」
その紙切れをポケットにしまい、もやもやした気持ちを吹っ切るように、次々と家事をこなした。
でも、その気持ちは晴れることは無く、お昼時になっても食欲は出なかった。
ほんとは、こんなのイヤだ。
アスランに対してこんな気持ちを持つなんて・・・。
でも・・・・。
「ありがとうございました。」
「こちらこそ。早く仕上げてくれて助かりました。」
「何か不具合がありましたら、いつでも会社へご連絡ください。」
「はい。ありがとうございました。」
「失礼します。」
午後3時。
以来のあったプログラムをお客様に届けた。
30分ほど簡単なシステムの説明をして、客先を後にした。
この後は特に予定は無い。
午後4時には評議会も終わると言ってたっけ。
評議会のビルは幸いにもここから近い。
「迎えにいこうかな?」
初夏に調整されたプラントの季節。
作り物の太陽なのだから、もっと快適にしてくれればいいのに、本物みたいに容赦がない。
「暑っ。」
照りつける人口の太陽の下、10分ほど歩いて評議会のビルの前に着いた。
「まだ時間があるな。」
そのビルの玄関ロビーが見える位置にある喫茶店に避難を決めた。
「いらっしゃいませ。」
窓際の席に座る僕に、にこやかな笑顔のウェイトレスさんが冷たいおしぼりと水を運んできてくれた。
「アイスコーヒー。」
「かしこまりました。」
端的に注文だけを告げ、冷たいおしぼりで手のひらの汗を拭った。
氷水で冷やされ、表面いっぱいに汗をかいたグラスを手に取り、その冷たい水を渇いたのどに流し込む。
「ふぅ~。」
冷たい水が体の中を流れていく感覚を楽しみながら、窓の外へ目をやる。
「まだ、終わらないみたいだね・・。」
愛しい人を待つ時間は、ゆっくりと流れていく。
店内のざわめきも、流れるBGMからも切り離され、僕が想うのは君の事だけ。
君に会えるまでの、1分1秒がとても長い。
「お待たせいたしました。」
明るい声に現実へと引き戻される。
僕の注文したアイスコーヒーと伝票がテーブルの上に置かれ、
「ごゆっくりどうぞ。」
と、ぺこりと頭を下げてウェイトレスさんはカウンターの中へ戻っていった。
時計を見ると5分も経っていなかった。
カラン・・・
グラスにストローを挿し込み、クルリと回してみる。
カラン、カラン・・・・
涼しげな音を立てて、氷がグラスにぶつかる。
ストローに口を付け吸い込むと、香ばしい苦さが口の中に広がった。
早く出てきて。
でないと、このグラスすぐ空っぽになっちゃうよ?
少しずつ少しずつ、ほろ苦い液体を流し込みながら、窓の外をじっと見つめる。
それもグラスの底を尽きかけた頃、ビルの玄関から評議会の制服に身を包んだ人々が姿を現し始めた。
その中に赤服をまとう愛しい君を探す。
「あ・・。」
アスラン、見つけた。
グラスの液体を一気に飲み干して、伝票を手にした。
立ち上がろうとしてふと外に目をやると、他の評議員に囲まれて雑談をしているらしいアスラン。
「もう少し・・・かな?」
浮かしかけた体を、また椅子に預ける。
テーブルに頬杖をついて、アスランの様子を眺めている。
「どんな話してるの?」
時々困ったような笑顔を見せる。
飲みに行こう・・・なんて誘われているのかも?
10分近くその様子を眺めていると、バラバラとそれぞれの方向へ皆行ってしまった。
1人、そこに残るアスラン。
「もういいよね。」
今度こそ、と又伝票を握ったとき、チラリと腕時計を見るアスランを視界に捕らえた。
「・・・アスラン?」
アスランは周りをキョロキョロ見回している。
それから1分も経たないうちに誰かが歩道を走ってくるのが見えた。
その人物に名前を呼ばれたのか、そちらに視線を向けるアスラン。
それは、アスランよりも小柄な、きっと僕よりも少し小柄な黒髪の少年。
息を弾ませながら、自分へと向き直ったアスランに輝くような笑みを見せる。
「誰・・・・だろ?」
ドクン
心臓がはねる。
僕は喫茶店の窓から、食い入るように2人を見ていた。
互いに笑顔で会話を交わす二人。
何を話してるの?アスラン。
そんなに楽しそうに・・。
それはさっき評議員の人たちと会話していた時に見せた笑顔とは違う、僕の見慣れた優しい笑顔。
その微笑みは、僕にだけ見せてるんじゃないの?
そして、アスランは満面の笑みでその少年の頭をクシャっと撫でた。
アスラン・・・・。
君のその手は、僕のためだけにあるんじゃないの?
しばらくその場で話をしていた二人。
その後、アスランに促されるように少年は駐車場へと向かって歩き始めた。
その隣には、アスラン。
アスラン・・・・その人は・・・誰?
ふと今朝ズボンのポケットにしまった紙切れのことを思い出した。
ポケットに手を入れ、その紙切れを取り出す。
これは、もしかして、彼の携帯・・・?
アスラン、僕は・・・・君の、枷?
どうやって家まで帰ったのか、はっきりとは覚えてない。
でも、玄関を開け、部屋に入った僕は、なぜだかとても冷静だった。
アスランはまだ帰っていない。
「晩ご飯、作らなきゃね。」
今日はロールキャベツにしよう。
アスランの大好きな、ロールキャベツに・・・。
アスランが戻るまでに、洗濯物をたたみ、お風呂にお湯を張って帰りを待った。
アスランが帰っても、今日のことは何も言わない。何も聞かない。
アスランが言わないのなら、僕は聞かない。
もやもやしたこの気持ちも、きっとそのうち忘れられるから。
「ただいまー、キラ。」
玄関のドアが開く。
「お帰りなさい!」
僕はいつものように、アスランを迎える。
「ご飯、出来てるよ。お風呂も入れるし、どうする?」
勤めて明るく、言ったつもりだった。
「キラ?どうした?疲れてるのか?」
なのにアスランはわずかな僕の変化を見逃さない。
「なんで?全然そんな事ないよ。」
「そうか・・?」
「今日ね、ロールキャベツ作ったんだ。好きでしょ?アスラン。」
「あ、あぁ。じゃ、それは楽しみに取っておいて、お風呂にするよ。今日暑かったから。」
僕は会心の笑顔で言えた、と思う。
でもアスランは、半信半疑の笑顔で答えた。
「じゃ、食事暖めとくね。」
心配げに僕を見るアスランをその場に残し、僕はキッチンへと向かった。
「ご馳走様でした。」
「おいしかった?まだ母さんのにはかなわないけど。」
「おいしかったよ、キラ。ありがと。」
「そ?良かった。」
なるべく自然な笑顔で応え、食器の片づけを始めた。
「俺も手伝うよ。」
「え?いいよ。アスランは疲れてるんだから。」
「でも。」
「いいって。」
お互い同時に同じ皿に手を掛け、指先が触れ合う。
「あ・・」
カチャン
僕が慌てて手を引いてしまったせいで、テーブルに当たった皿が音を立てる。
「キラ・・・?」
アスランが心配げに僕の顔を覗き込む。
「あ・・・だ、大丈夫だから。ちゃちゃっと済ませるからさ。アスランはのんびりしてて。ね。」
「あ、あぁ・・。」
納得いかない・・という顔でアスランは、しぶしぶリビングのソファーに腰を下ろした。
動揺することなんて無い。
アスランが彼のことを話さないなら、きっとなんでもないんだから。
片づけを終え、僕はリビングへ向かった。
僕を見つけたアスランは、待ってましたとばかりに僕のほうへ歩いてきた。
「どうしたんだ?キラ。今日お前おかしいぞ?」
「そんな事・・・無いよ?」
「キラッ!」
アスランの両手が僕の肩を掴む。
その瞬間、あの少年の頭を撫でていたアスランを思い出した。
「やっ!」
僕は、反射的にアスランの手を振り払ってしまった。
「キラ・・・・」
驚いたように僕を見るアスラン。
「ご、ごめん。僕やっぱちょっと疲れてるみたい。お風呂入って、寝るね?」
僕はすぐさま踵を返し、リビングを後にした。
「キラッ!!」
アスランは呼び止めたけど、僕は振り向かなかった。
だって・・・今アスランに触れられたら問い詰めちゃうよ・・?
「あの子は誰?」
って・・・。
お風呂から出た僕は、お休みも言わず寝室に入った。
二つ並んだセミダブルのベッド。
窓際にある僕のベッドに体を横たえた。
「アスラン・・・。」
目を閉じると、あの光景がよみがえって来る。
アスラン、僕はここに居ていいの?
ガチャ
ドアの開く音。
アスランが部屋に入ってきたみたいだ。
僕は寝た振りを決め込むことにした。
「キラ?」
呼ばないで。
「寝てるの?キラ。」
僕の大好きなその声で、僕を呼ばないで。
ベッドが少し沈み込んで、アスランが腰掛けたのが分かる。
だめだよ、アスラン。
傍に来たら。
「キラ・・。」
アスランの暖かい手が、僕の髪を鋤く。
「いやっ!」
フィードバックするあの場面。
彼の髪を撫でた、アスランの手。
僕は体の向きを変え、ブランケットを頭までかぶった。
「キラ!どうしたんだ?何があった?」
いやだ、いやだ、いやだ!
その手で僕を触らないで。
「キラ!」
ブランケットはアスランの手であっさりと取払われた。
「やだっ!」
僕のもやもやした気持ちも、もう抑えが利かなくなっていた。
「どうした?キラ!なに怒ってる?俺が何かしたのか?」
ベッドに起き上がって両手でアスランを突き離そうとした僕の手を、アスランの大きな手が捕らえる。
「ヤダっ!触らないで。彼に触れた手で僕に触らないでよ!!」
「キラ・・・・。お前なに言って・・?」
「アスランのシャツのポケットに携帯の番号を書いた紙切れ、入ってた。誰の?ねぇ、誰の?」
「キラ、お前・・。」
「評議会の後、話しをしてた彼のなの?あの子は誰?誰っ!?」
「キラ・・・お前、来ていたのか?」
こらえきれない涙が、頬を伝っては落ちていく。
「あんな笑顔、僕にしか見せないと思ってたのに。アスランの手は僕のためだけにあるんだって、思ってたのに!!」
「キラ、落ち着け。」
両手を拘束されてもなお、振り払おうともがく僕を、アスランが両手で抱きしめた。
「離して!アスラン!!なんで、僕に何にも話してくれないの?僕が邪魔?僕が居るとアスラン、自由に何も出来ないの?僕は重荷?僕はアスランの枷なの?僕は・・。」
僕の言葉は途中で途切れてしまった。
アスランの唇で塞がれたから・・・。
「キラ!何要らないこと考えてるんだ!?」
「だって、だって僕・・・。いつもアスランにしてもらってばかりで、僕は何にもしてあげられない。僕が居るから、アスラン何も出来ないでしょ?ホンとは僕なんかより、もっとアスランにふさわしい人が・・・。」
「キラッ!!」
低い声でアスランは叫んだ。
その目は真っ直ぐに射抜くように僕を見ていた。
「余計なこと、何も考えられないようにしてやる。」
「ア、 アスランッ!」
のしかかるようにアスランに体重をかけられ、僕はベッドへと仰向けに倒れた。
「・・ん・・ふ・・・ぁ・・。」
すぐに重なる唇。
熱い舌が、僕の口内を犯していく。
「や・・・・だ。アス・・ラン・・・。」
「お前が嫌がってもやめない。お前がちゃんと俺の元に戻ってくるまでな!」
衣服を剥ぎ取られた僕の上に、アスランの逞しい体が重なる。
温かな唇が、僕の体に紅い印を残してゆく。
「あ・・・アスラ・・・ン。」
「キラ・・・・。」
切なげに僕を呼ぶアスランの声。
苦しげに僕を見つめるその瞳。
僕のせい?
僕がアスランを悲しませているの?
「キラ・・。俺を見て。」
「アスラン・・・?」
翠の瞳には僕だけが写っていた。
「お前だけを、愛しているよ・・。キラ・・。」
優しい声。
その声が僕を呼び、温かい唇が僕の心を溶かす。
「アスラン・・・でも・・・僕・・は・・・。」
頬を伝う涙を、アスランが唇で拭う。
「俺には何もやましい事は無い。俺にはお前しか居ない。お前しか要らない。」
「アスラン!」
僕を見下ろすアスランの首に、腕を巻きつけた。
「僕、ここに居ていいの?アスランの傍に、居てもいいの?」
「バカだな?キラは・・。」
アスランはクスリと笑う。
「俺が居るところが、お前の居場所だろ?」
耳元で囁く、甘い声。
「アスラン・・・」
僕の瞳から溢れる涙は、もう悲しみの色じゃない。
僕の居場所。
それは、君の居る場所。
僕はそこに帰ればいいんだね?
「アスラン・・愛・・・してる・・。」
「キラ・・キラ・・・。お前だけ・・・愛してる・・。」
僕たちはひとつになり、熱い熱を放った。
「お帰り、キラ。」
「ただいま、アスラン。」
愛しい人の腕のなかで、目を閉じる。
アスランの指が僕の髪を鋤く。
「もう、逃げないの?」
クスクスと笑いながら、ちょっとからかうようにアスランが聞く。
「もぅっ!」
わざとふてくされてみせる。
「シン・アスカって言うんだ。」
「え?」
唐突にアスランが話し始める。
「あの子?」
「そ、キラがヤキモチ妬いた子。」
アスランは面白そうに僕を見ている。
「ヤキモチじゃない!」
「そうか?」
クスクスとアスランはまた笑う。
優しい笑顔。
あの時も、こんな笑顔だった。
「アスラン、楽しそうに笑ってた。」
「え?シンと?」
「・・・うん。」
視線をそらせた僕のあごに手を当て上を向かせると、アスランの唇がそっと僕の唇に重なった。
「あの時、どんな話してたと思う?」
「わかんない!そんなの・・。」
「お前のことだよ。」
「え?」
僕のこと・・・?
なんで?
「シンは今年アカデミーを卒業したザフト兵だ。俺と同じ赤服。」
「じゃあ、アスランの後輩なんだね?」
「あぁ。そして、お前に憧れてるんだってさ。」
「えぇっ!?」
それは予期せぬ言葉。
僕に憧れ・・・なんて。
「俺と一緒に居るところを何度も見かけたんだって。フリーダムのパイロットだったんだって話したら、一度会わせてくれって煩くって。」
じゃあ、あの笑顔は・・・?
僕の話をしてたから?
「お前の話ばっかりするから、シンの奴。俺の顔も緩みっぱなしだっただろ?」
僕の心を見透かしたような言葉を言って、ばつが悪そうに苦笑いを浮かべるアスラン。
「そっかぁ・・・。」
自然と沸いてくる笑顔。
あの時のわだかまりが、嘘のように溶けていった。
「明日、休みだろ?何か手土産もって遊びにいきたいから、お前の好きなもの教えてくれって。」
「それに付き合ってたの?」
「うん。」
「なんだー。ヤキモチ妬いて損した。」
「あ、やっぱ妬いてたんだ!」
「あっ!」
語るに落ちてしまった僕。
でも、もういいんだ。
君の微笑みの行く先を辿れば、僕に繋がってるって、分かったから。
もう、何も怖くないよ。
明日彼がやってきたら、いっぱい話をしよう。
戦争のことも、アスランのことも、僕のことも。
彼のことも、いっぱい聞くんだ。
僕に憧れるなんて・・・変わり者だね?
まぶしい朝日に包まれて、彼はやってくるんだ。
ピンポーン。
「はーい。」
ガチャ
「あ、あの、僕シン・アスカって言います。はじめまして!」
真っ赤な顔でケーキの箱を僕に差し出す、可愛いお客様。
「はじめまして、シン君。どうぞ。」
「わざわざキラが迎えに出なくてもいい!」
リビングから不機嫌そうに顔を出すアスラン。
あれあれ?
アスラン、妬いてるの?
昨日のお返しに、ちょっぴり妬いてもらうのもいいかもね?
「さ、シン君。こっちへどうぞ。お茶入れるね。」
「あ、は、はいっ!」
シン君の腕を引いてリビングに案内する僕を、憮然と見るアスラン。
「キラッ!」
ごめんね?アスラン。
でも、大丈夫だよ。
君の笑顔は僕に。
僕の笑顔は君に。
僕たちの笑顔の行方は、ずっと変わらない・・。
Fin
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いくちゃん、私のリクエストに応えてくれてありがとう!
末広がりの8888のゾロ目に、二人の愛も留まる事を知らないぜ!!
やっぱりキラの隣にはアスラン、
アスランの隣にはキラ、だよね!!
私達もそんな二人でいれますように(^^)
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