アラ還の独り言

アラ還の独り言

2018年03月14日
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テーマ: ニュース(99714)
カテゴリ: プレスリリース
3月7日の中医協で薬価が決まったゾフルーザ錠が本日付で薬価収載されます。

新規作用機序をもつ抗インフルエンザ剤で、1回投与で効果があるとされています。先駆け審査指定の第Ⅰ号でもあります。

最初の抗インフルエンザ薬として世に出たリレンザの時も思ったのですが、抗インフルエンザ薬の薬効は発症期間の短縮です。リレンザの最初のデータでは3日の発病期間が2日になるということで承認されています。

悪化するかどうかを指標にした臨床データは非常に少なく、本当のところ3日が2日になるのに臨床的意味があるのかと思いました。

ゾフルーザ錠の場合にはプラセボに3日に対して1日で有意に勝っていました。イナビル吸入薬に対しては数値的には短くなっていました。

学童、社会人の場合にはインフルエンザに感染した場合には他の人に移さないように休みが与えられます。社会復帰という点では結核と同じように排菌期間の減少が指標になっても良いのですが、これは実際に試験することが難しいので行っていません。

故に社会的な貢献に対しても不明です。

予防効果の試験(ヨーグルトみたいな疫学的な試験ではなく、実際にインフルエンザ菌が浮遊する部屋に薬剤を飲んでから入る試験)は行われていません。タミフルでは実際に予防効果がある事が示されているので、臨床試験を行えば可能かもしれませんが、倫理的には少し問題のある試験です。

べたな言い方をすると、インフルエンザで寝込む期間が3日から1日になる、しかし、身体が動くようになってもくしゃみでインフルエンザ菌をまき散らす可能性に関しては分からない薬です。

もう一つこの薬の特徴としてはアジア人(臨床試験はほとんど日本人)の方が効果がありそうということです。体表面積(実用的に体重)でアジア人でも80kgを域値として効果が下がるので、そちらが効いているのかもしれませんが、臨床試験データでは寝込む期間がプラセボで3~4日程度だったのが非アジア人では7日間と元々インフルエンザに弱いのかもしれません。

薬代の負担は1200円(3割負担)、検査や初診料を加えて3000円ぐらいでしょうか。それでインフルエンザで寝込むのは1日か2日少なくなりますが、学校や会社にすぐ行ってもいいかどうかは分かりません。

薬剤としては新規作用機序を有することから塩野義製薬の開発陣に対して尊敬をします。しかし、この薬が今すぐ必要かどうかは疑問があります。ピーク時の投与予想患者は331万人です。4789×332万=160億円の医療費増加(実際には今の抗インフルエンザ薬の市場が減るのでその分は差し引かれます)の臨床的意味に関して(3日ぐらい寝ててもいいじゃないと言う意味で)疑問があります。

データは​ 審査報告書 ​を参照しました。





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最終更新日  2018年03月14日 09時54分19秒
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