土井中照の日々これ好物(子規・漱石と食べものとモノ)

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2022.04.27
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カテゴリ: 正岡子規
だまされて薄桃色の西瓜哉 (明治29)
 明治28年6月29日、子規は叔父の大原恒徳宛に手紙を送りました。子規は、この時期、日清戦争の取材で中国に渡り、帰りの船で吐血して、神戸の病院に入院していました。6月末になると、子規はようやく小康を取り戻した時期にあたります。
 子規は、わざわざ神戸に見舞いに来てくれた叔父に感謝するとともに、子規の見舞い返しとして「西瓜の奈良漬」はどうかと伺いを立てています。
 拝啓。先日中はわざわざ御来神被下御介抱にあずかり候段、奉鳴謝候。コレラの時といい、今度といい、兎角御厄介に許り相成、逆縁のことに御坐候。昨日は善きつれ有之候故、母様の御帰郷を促し早急御出立被成候。いずれ御滞在中は御厄介と存候。
 来月十日前後につれもあらば、御来神の趣申上置候。御出立後、律より手紙来り候には、同人最早根岸の旧宅に帰り、下女一人探しおる趣に御坐候。さすれば母様にも御安心、ゆるゆる御帰松あるべき様申来候。右母様へ御伝被下度候。親類一同へ西瓜の奈良漬一ケ宛進呈せんと存候処間にあわず残念致候。
 執筆未任心候間、いずれへも御無沙汰仕候。
 夏にさしかかろうという時期のため、傷みにくいものとして子規は西瓜の奈良漬を思いつきました。西瓜の奈良漬には、未成熟の西瓜といえば聞こえはいいのですが、大きくなる前に摘果された西瓜を使います。それを丸ごと酒粕に漬け込んで、熟成させるのです。
「奈良漬」の原型は、1300年以上前の平城京で発掘された長屋王の木簡に「粕漬瓜」と記された納品伝票らしきものがあります。ただ、当時の酒は清酒ではなくどぶろくで、底に溜まる滓のようなものにつけられたのでした。「粕漬」という名前が「奈良漬」に変わるのは、室町から江戸時代のことで、慶長8(1603)年の『日葡辞書』には、「奈良漬は奈良の漬物の一種であり、香の物の代わりに使う」と記されています。一説には、奈良中筋町の漢方医・糸屋宗仙が、瓜の漬物を「奈良漬」と称して販売したためだともいわれています。
奈良漬ノ秋ヲ忘レヌ誠カナ (明治34)
 また、奈良漬では、明治32年7月30日、松瀬青々宛ての手紙で「奈良漬御恵投に預り、ことの他の好味、これがために食すすみ申候」とあり、松瀬青々に宛てて「 拝復。酷暑之候、益々御清勝奉賀候、今秋は御上京相成趣楽く御待申上候、併し御困難之事と今より御案し申候、ほととぎすのためにはこの上なき仕合に御座候。御句沢山に難有く候、また奈良漬御恵投に預り、ことの他の好味、これがために食すすみ申候、露月も今秋は秋田へ帰由申来候、今少し医術修行之上にて帰る方得策と存候、御地近来は俳句非常に隆盛にて、毎日の日本紙上御地の句なき時は無之、時としては過半をしめ居申候、たのしきことに存候、右御礼旁御返事まで 匆々不逞 」と手紙を送りました。





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最終更新日  2022.04.27 19:00:08
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