【不眠症カフェ】　Insomnia Cafe

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2006.01.05

世の中って、どうしてこんなに不思議なの？

(27)

テーマ：女性について(55)

カテゴリ： 🔴 Ｍ【メモ・サブノート】

「そして神戸」を口ずさみながら？？、悪女ママに指定された喫茶店に着いた。

私は、悪女ママの自宅というかマンションというか、そんな場所に招き入れられるのではないかという恐れ（期待も兼務）を抱いていたのだが、期待？に反してママは持参した手料理というものをそこで手渡してくれた。
「あったかいうちに食べるように」と、わざわざバスタオルにくるんであって、ポン酢のビンまで添えてくれている。

悪女ママらしくないじゃないか。
ちょっと「感動」してしまった。

しかし考えてみたら、悪女ママはこうして私の精神的な外堀を埋めてしまうのかも知れない。
私は悪女ママが悪女だという認識で、なんとか踏みとどまっているのに、こんな風に簡単に外堀を埋められては、内堀もすぐだろうし、二の丸、三の丸も炎上して、私は天守閣にこもるだけの因幡の白ウサギ状態になってしまうではないか。
（どうして因幡の白ウサギが大阪城に出てくるのかというまっとうな質問はしないで欲しい）

しばらく雑談をした。
私が介護をしているのを知って「いい息子ね」という。
そうして何気なく、彼女も離婚した夫の母親の面倒をみて送ったということを話した。
実の母親ではないのに、離婚後に相手の男性の母親と二人で一緒に住んで、面倒を見て、最後を送ったというのだ。
悪女だと思って油断しているのに、また内堀まで埋められてしまったのである。

本丸陥落も間近い。
いかんいかん。
立ち直らなければ。

ふと視線を落とすと、漁網のようなパターンのストッキングにつつまれているママのたくましいおみ足が目に入った。
「あれ！　これ、おもしろいパターンだね」
そう言う理由をつけて私はママのおみ足を触った。

ふだんは女性の身体に触るなんてことは絶対にしない（本当！）紳士の私なのに、ママの美脚に、ついつい指がひきつけられたのである。
これは私のせいではない。
ママの美脚が悪いのだ。
インド人などの召使いがよく説明する「私がお皿を落としたのではない　お皿が落ちたのだ」という明解なロジックである。

ふだんはそんな妄想を描くことなど無い私なのに、ふとママを押し倒したい欲望を感じた。
しかしここは喫茶店である。
押し倒しは、きっと反則技だ。

寄り切りは許されるのかな？
小股すくいはどうだ？

（そーゆー問題ではない！！）

しかし一度現れた妄想は消えない。

キャットウーマン・ママは脚が長くてモデルのような体型だが、ほっそりしていてお尻はヒップアップしているが小さい方だ。
彼女に対しては私はどちらかというとＳの気持ちがある。
（ゴメンね！）

それに反して悪女ママは、容姿からしても女王様タイプで、私の妄想もＭ男のパターンになる。
悪女ママ女王様に（ややこしい）思い切りいたぶられ、いじめられたら快感だろうな～と思う。

しかし、マゾと言っても、鞭でビシビシは痛いから遠慮しよう。

このブーツで踏みつけられたら快感かな？
しかし、このブーツはピンヒールだから、痛いから、これも遠慮しよう。
そうすると残る選択肢は限られてくる。

痛くないマゾは無いのか？

言葉責めはどうだろう？
「お前は薄汚いブタよ！」などと言葉で責められたら、快感かな～？

しかし、私は自分で自分がブタだと思っていないからロジック的に無理があるし、「薄汚いブタ」という言葉が脳内に蓄積して、ワ～～ンと｛ブタ　ブタ」と反響・こだましたら、精神的な後遺症が心配だ。

などと考えた後、ママと別れた。
「本当にありがとう」と重ねて言うと、「大切なお客様だから　商売商売よ！」という。
意外にアッサリした悪女である。

帰路、中華レストランによって、水餃子とブタの耳と・・・、いかん！ブタじゃないか！　・・・それにマオタイ酒を飲んだ。

そこでゆっくりした時間を楽しんでいたら、悪女ママから私の携帯に電話がかかった。
「味はどうだった？」とたずねるのである。
「未だ自宅に帰っていないから味はわからないじゃないか」と答える。
これは私が正しい。
（まあ、正しい正しくないの問題ではないが）

悪女ママはこんな風にせっかちだから、「タイプＡ」の性格だから血圧が高くなったりするんだ。
Ａ型と言っても、インチキ血液型性格判断じゃないよ。
私は水星人でも無いし（関係なし！）

ストレスを強く感じる性格　タイプA行動パターン

しばらくすると、また携帯が鳴る。
ママから電話である。
「途中で友達とバッタリ会って、今飲み屋で飲んでいる　よければ合流しないか？」というのである。
本当は「よければ」という私の自主的判断を残す言葉はなくて、ただの「いらっしゃい」だったのだが。

ママの歩行ロボットである私は、すぐさまママの指示に従って、その飲み屋に急行した。
意志のない人間は、もうそれだけで人間では無くて、すでに限りなくロボってある。（と言うことを考えてどうなる？）

見るとママは初老の女性と飲んでいる。
彼女が出会った「友達」らしい。
ママが私にひれ酒をすすめる。
きらいではないから飲む。
ただし、これは店のお客からの差し入れだと知る。
その他にもビールを差し入れてもらっている。
他にもなにかがあった。
・・・美人の悪女は得である。

ママの友人であるというその初老の女性が、しばらく私を見つめていて、ママに、「すごく男前じゃない？」と耳打している。

私が何度か、ぬけぬけと男前であると書いていることに不快感を感じる方が多いだろうと思う。
それは正しいと思う。
私自身、鏡の中の自分の顔を見ても、男前だなんて決して思わない。

しかし、余命幾ばくもなく、老いさらばえた私としては、女性に男前だと言われると、私自身の生命力が急速に電光石火復活してきて、寿命が延びるような気がするので、しっかりとこれを（これだけを）記憶にとどめておくことにするのである。

私が男前であるか否かという客観的事実は別にして、ママ達が本当にそう思っているかどうか、その真の意図がなにであるかも別にして、彼女たちが私に「男前」と言ってくれるという客観的事実そのものは否定しがたいものがあるのであると思うのである。
したがって、こういう私を許して欲しい。
（長いロジックだな～）

その内に、ママが「私の店に行こう！　彼女がカラオケを歌いたいと言うから、日曜だけれど店を開ける　今日は営業じゃなくてプライベートだから、お金なんていらないから」と言いだしたのである。

私を真ん中に三人で商店街を歩いてママの店に行った。
ママがその初老の女性に「彼の（私の）腕をとりなさいよ！」と言うと、その女性が「好きになってしまうと困るわ」というのである。

オイオイ！
そんな状況じゃないでしょうが？
あなたは初老でしょう？
（私も初老だが・・・）

結局、女性二人に腕をとられながらママの店に入った。
ママはＡタイプ人間だから、店には行ったらカラオケの配線や店の片付けなどをし始めて働き、落ち着かないったら無い。

しばらくして、その女性が歌い出した。
小さな声である。

私は決してカラオケで歌わないのだが、しばらくしてママが私に「歌え」と強引なのである。
「今日はだれもいないから練習よ」という。
そうして古い古いオールディーズの「ヘイ　ヘイ　ポーラ」という曲を選択した。
この曲は「ポーラ」という女性と「ポール」という男性（うそくさい命名だが）のデュエット曲である。

自慢じゃないが私は少々音痴だが、洋楽で英語の歌詞だとちゃんと歌えるという変な人間である。
幼児期からほとんど洋楽・ポップスを好んできたので、こういう変形人間になってしまったのである。
文句がある人は一歩前に出て欲しい。
（出られても困るが）

で、恐る恐る歌ってみると結構楽しい。
ママもものすごく上手で美声である。

初老の女性が少し歌った。
その次にママが歌った。
ママはここから、ちょっと本気で歌い出した。

そのママの歌を聞いて、私はのけぞってしまった。

その美しい歌声、正確な音程、何よりも恐ろしいほどの歌唱力・表現力で、平凡なその曲が、ものすごく大きな世界を持つ、絶唱とも言えるものになっている。
ふだんの女王様タイプからは想像も出来ない、精神世界を展開する。

初老の（くどいが）女性も、目を見開いてあぜんとしている。
それはそうだろう。
私も自分では歌わないがカラオケはずいぶん聞いている（と言うか、聞かされている）。
しかし、これだけの歌唱を聴いたことがない。

元歌を歌っているプロ歌手達の平凡な歌唱と比べて、本当に問題にならないのだ。
どんな歌でも、素晴らしい名曲になってしまう。
エコーがかかっているとしてもスゴイ。

「ママ、すごいよ～」とほめずにはいられない。

この結果、初老の女性はしっぽを巻いて帰って行ってしまった。
ママの歌がスゴイので、恥ずかしくて歌えなくなったのだ。
わかるよ～。

「私はふだんはほとんど歌わないで、ホステスの女の子に歌ってもらっている」
「私が歌うときもお客さんのリクエスト曲だから、ふだんは自分の好きな歌が歌えないの」
そういいながら、悪女ママは、いや名歌手ママは、気持ちよさそうに、歌い続ける。

その内に「あなたとのデュエット曲を練習しよう」と言いだして、デュエット曲を何曲か、一緒に練習させられた。
一曲を何度も何度もかけて、私を指導するのである。
その指導の仕方が、「悪女ママ」とは言えないものになって来た。

とても優しく辛抱強く指導してくれるのである。
私を抱き寄せて、口移しのようにていねいに教えてくれるのである。
私が間違えたり音程が狂ってもけっして怒らない。
怒らないどころか、私をほめてばかりである。
ママの胸に顔を埋めて（ばかりではないが）「この人には、こんな一面もあったのか」という思いで、「感動した！」。

私としても、面白くなって、プレスリーの曲を歌ってみた。
「Love Me Tender」や「Are You Lonsome Tonight」などは、音程も複雑ではないし、英語のセリフがあるからごまかしが利く。
なんだか、楽しくなってきた。

ママの歌には一曲一曲、驚きと感動で、気持ちとしてはスタンディング・オベーションであるが、具体的にはママのほっぺに何度もキスをした。

あまりに感動したので？？「キスをしない？」と聞いたら、「だめ！　お互いの心が開いたら」というのである。

もう、じゅうぶん開いていると思うけれどな～。
それに心は未だでも、身体だけでも開いてくれないかな～。
あ、品の悪いことを言ってしまった。

ママに惚れてしまったかも知れない。
私は今まで、何も自慢するものがないが（かなり自慢したが、あれは忘れて欲しい）、女性の「ふたまた」だけはしなかったのに、初老になってから二股になりそうである。
くやしい。
でも、うれしい。
（どっちだ？）

芸術的な感動に身をまかせているうちに、朝になった。
七時である。
えんえん8時間以上ものセッションであった。
それでも長いとは感じなかった。

朝の街路をママは笑顔で手を振って帰って行った。

また、朝帰りなのに、また、成果無しである。
みんなに、どう報告したらいいのだろうか？
私は狼少年になってしまうじゃないか！