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2006.01.25

「額に汗して」であればいいのか？

(11)

テーマ：人生について(170)

カテゴリ： 🔴 【ニュース・時事・政治・経済・社会】

この語句を目にしたり、テレビで聞いたりすると、私は何となくムカムカする。
「額に汗して働く」ってのは日本人好みの美徳であり美句だが、こういう使い方をするのを見ると、「ちがうだろう？」と思ってしまう。

農耕民族としての日本人の「ＤＮＡ」が言わせる言葉だと思う。
「額に汗して」とは、あたかも愚鈍で、効率の悪い働き方を黙々とこなす人間、誤解を与える表現だが、江戸時代の農民のような、こそが真実の篤実な人間である・・・がごとき表現である。
（言い過ぎかな）
（農業に知識や知恵が必要ないとは言っていない。ただ、一般的に農民にはそういうイメージが与えられていた）

「IT企業は虚業であり、実業ではない」と言わんばかりの思考である。

一部の職業では、文字通り「額に汗して」働くのが基本であって、それが当たり前だろう。
しかし、ほとんどの職業において、ただ「額に汗して」働けばいいというものではない。

もちろん「額に汗して」には、幅広い意味合いがありうるし、誠実にハードワークをする、真っ当な倫理観を持つ、という意味であれば、それは、その部分に限っては、それでいい。
正しいと思おう。

しかし例えばホリエモンは、「額に汗して」働いたことは無いのだろうか？
ホリエモンは彼なりに、頭脳を振り絞って「額に汗して」働いたのだろうと思う。

もちろん彼の非合法部分を評価してはいけないし、非合法スレスレのグレー部分が大きい事も事実だし、その道義的なものを批判する言葉であれば、納得はする。
だが、それでも従来にはない新しいスタイルの事業を展開した部分は否定できない。

ＩＴ産業イコール虚業ではないのである。
これからは、否応なしにＩＴ産業中心の時代になる。

その趨勢に困惑し、被害者意識を持つ人達が、ホリエモンの成功？をうらやむ人々が、いや、さらに言うと、たぶん言い過ぎかも知れないが、あまり頭脳を意識的に「使う」ことなく、ノホホンと千年一日のごとくマンネリな、あまりやる気のない働き方をしてきた人間が、これもやはり言い過ぎかも知れないが、今話題の大阪市職員の一部の人達のような人達が、「やはりわれわれのように額に汗して働くのが本当だよ」と自己満足をするのであれば、それは間違っているよ。

これからの宇宙船地球号は、間違いなく、近未来に、「人間の居住可能な環境」を失うことになる。
つまり人生絶滅の危機を迎える。
それはほぼ確実とされていて、ほぼ時間の問題である。
これからは本当に、必死で知恵を絞らなければいけない時代を迎えているのである。

「額に汗」なんて表現で満足する、惰性の、創造性のない働き方を、過度に評価してはいけない。

東海道五十三次を、編み笠に草鞋に脚絆でテクテク歩いていればいいというものではない。
テクノロジーを駆使して、新幹線で時間を稼ぐことが出来ればそれでいいし、航空機でもいい。

「真面目で勤勉」の過大評価。
「額に汗して」という表現から、そんな感じを受けて、なんだか無性に腹が立って書いてみた。

真面目で勤勉でも、知恵がなければダメだよ。
そんなことを考えてみるのだけれど、反感を買うかも知れない。

なにしろ「ムカッとした」という感情部分が先だって書きだしたのであり、ここに書いたそれに対する理屈は、後付なのだから。

無難な生き方というものが再評価されるのかも知れないが、「野心」を持たない人間とはつきあいたくないな。
嫌いではないのだ。
魅力を感じないのだ。

仮にその人が本当に素晴らしい人格者でも、「野心」や「冒険心」を持たない人間に私は興味が無いし、魅力的とも思わない。