【不眠症カフェ】　Insomnia Cafe

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2007.06.27

牛肉ミンチ偽装事件

(10)

テーマ：考えたこと　想い出したこと　読んだ本(435)

カテゴリ： 🔴 【ニュース・時事・政治・経済・社会】

●　この田中社長は、余人を持って代えられない程の創造力のある人物で、単なる牛肉ミンチ偽装のみならず、可能と思われるあらゆる偽装・インチキを考え出している。
なかなかの人物である。
食品偽装界のエジソンと賞賛してもいいかと思う。
このような悪事を創業当時から長期にわたって、多品目にわたって、その強力な独裁力を武器に部下を完全に掌握し、悪事の機密漏れも最小限に抑えて実行してきたことも偉い。

罪悪感が感じられないと非難されているが、もし彼が罪悪感を一般人並みに持っていては、こんな「偉業」は達成できなかったと思う。
彼はほとんど罪悪感を感じることなく、創造のよろこび、資産が増えるよろこびに、うちふるえながら、幸福な日々を送ってきたのだと思う。
うらやましい人生である。

●　とはいえ、私の感じるところでは、この類のインチキは、まだ一般には露見していないだけで、食肉業界に限らず大なり小なり、いろんな業界でありうることだと思う。

私は、欧州にいるころ、「家庭料理以外の「ハンバーグ」を食べるときは、ある種の覚悟をしておいた方がいい」とアドバイスを受けたことがある。
ご存じの通り、ハンバーグとは、牛肉ミンチ主体の料理である。

「ミンチというものは、使っている牛肉の品質もさることながら、牛肉以外のものが混入されていてもわからないしろもので、食肉屋は処分するレベルの肉をミンチにすることが多い」ということらしい。

私は、東欧ポーランドの「貧民レストラン」が好きで通っていたという変わり者だったのだが、そこで最も美味だったアイテムのひとつに「コトゥレットゥ・ミローネ」というものがあり、これはマッシュポテト入りの牛肉（と信じたい）ミンチ入りのハンバーグ・コロッケである。

この貧民レストランとは、私が勝手に名付けたもので、「本名」？はちゃんとあって「ミルク・バー」という。
ポーランドでも一般人はどちらかというと敬遠する類のレベルのレストランで、主に年金生活者、低所得者、学生などが、政府補助のクーポン券などを持って食べに来る格安な場所である。

私の味覚が変わっているのかもしれないが、外国人用のホテル内のレストランや、市内の高級レストランの味は、どこかよそ行きで、濃すぎてあまり好みではなかった。
それに対してこの貧民レストランの味は、かざらない、こってりしすぎない「家庭の味」で、実に素朴な美味なのである。

東欧の短い夏に、フランスのカフェテラスのように街路や芝生にせり出したテーブルで食するのも楽しかったが、厳冬の吹雪の中、雪をかき分けながらこの貧民レストランの二重ドアを開けて中にはいると、貧民レストラン中に温かいスープの湯気がたちこもっていて、それだけで幸福な思いがした。
まるでロシアの作家、ゴーゴリの世界のようである。

また、話題が一人歩きしてしまったが・・・、
私はうかつにも、この貴重なアドバイスをわすれたまま、牛脂でこんがり揚げられたこの貧しいコロッケの美味に夢中になったという、暗い過去があるのだ。

しかし、ミンチだけが容疑者ではない。
ソーセージも、食肉がその原状そのままのものではない。
一度ミンチに近いものになってから、腸に詰められ、「腸詰め」になる。

それから・・・、
一度テレビを見ていたら、在米の日本人ジャーナリストが、「アメリカで気をつけたい10箇条」みたいなことを講釈していた。
その内容はほぼ全部忘れてしまったのだが、ひとつ印象的だったので覚えていることがある。

「アメリカでトマトケチャップは買わないこと」というのである。
他の「してはいけない」9条については、彼は具体的な根拠を例示して説得力のある説明をしていたのだが、「トマトケチャップを買ってはいけない」条文になると、その部分がスキップされてなにも放送されなかったのだ。
恐らく、一部の食品メーカー・スポンサーからのストップがかかったのだと思う。

考えてみたら、トマトケチャップも、あの色と臭いで、１００％トマトから生産されているものと信じてきたが、はたしてどうなのか？
やろうと思えば、なんでも「混入」できそうでこわい。
キャベツでは、色が足りないから牛の血を混ぜる・・・などのテクニックもあるかもしれない？

昔、欧米あたりで伝えられた猟奇事件で、肉屋の主人が長年にわたって人を殺しては、その人肉を店頭で販売していたというなどというのが、かなりあった。
人肉そのままでは露見するので、笹身にしたか？または、やはりミンチにしたのではないだろうか？

その点、古代中国は大胆で、肉屋の店頭で「二本脚の羊」という建前で、人体が堂々と吊り下げてうられていたという。
工場の石臼で「人間つみれ」を作って売っていたし、中島敦「弟子」で孔子の弟子の子路が塩漬けにされてしまったことが書いてあるそうだ。

そう言えば、ロックフェラー三世がニューギニアで、原住民に食べられてしまった事件もあった。
彼等に言わせると「白人の肉は、石けんの匂いと味がする」ということだが、私の経験から言っても、英国人は石けんのような体臭の人が多い。
と言っても、英国人を食べた経験は「まだ」無い。