物欲☆あんず雨

物欲☆あんず雨

開戦前夜



[開戦前夜]
『湯殿ハプニング』もあったりして「これがホントに大坂の陣を巡る忍びのドラマになるの??」と思うような初回辺りからは、想像も付かない熾烈・過酷な展開になって参りました。
昨日で『伝説の中抜き5話』を通過、本日第18話の放映を終え、我らが「風神の門」も残りは来週分の5話を残すのみ…。

惨事の現場・相州屋から分銅屋へ戻った才蔵ら、慌ててやって来た佐助&入道と合流。
隠岐殿を奪われた責任を取って切腹すると言い張る佐助らをなだめ、冷静に隠岐殿奪還を説く才蔵。(なおも切腹したがる入道へ、『坊主のくせに、死ぬとか斬るとか煩悩が多過ぎる!第一、おぬしが死んだら誰が経をあげるんだ!』という才蔵さまの説得にウケました~♪)

しかし、才蔵が拉致先と睨んだ黒屋敷にも所司代にも居ない隠岐殿…。
知らせを聞いたらしい幸村は数人の甲賀者を佐助の元に派遣。
青子、梅が枝から隠岐殿拉致の件を聞き、「獅子は人をかどわかすような人物ではないと思うていた」と憮然。(第1話で誰に誘拐されそうになったんだっけ?)

探索の甲斐なく、杳として知れない隠岐殿の所在…。治作さんの店で悩む才蔵ら一同。
菊亭大納言から噂を聞き出そうとする才蔵。(大納言さま、『事情通』と見込まれているらしい?)
はかばかしい答えは得られず、逆に才蔵は大納言から、徳川方に席巻されている京に青子を置くのは心配…と相談されます。心配されている当の青子は梅が枝と遊んでばかり…。(前のシーンでは『にらめっこ』今回は首に回した紐を引っ張り合う『力比べ』。負けた方が墨で顔に印を付けられますが…。意外に強い青子)

隠岐殿探索に奔走する甲賀者らを見張る、獅子配下の鬼三。(名古屋城下の時と同じ『作男』スタイル。キミには『放下師』よりそれが似合う!)
救出どころか未だ居所さえ判らぬ隠岐殿を思い煩悶の佐助。才蔵は、隠岐殿へ寄せる佐助の純粋な思慕がとても深い事を悟ります。(獅子が青子へ寄せる想いと同種の純情やも知れませぬ…)

さて、今回も菊千代に賃上げ要求の耳次。まったく取り合わない菊千代。
分銅屋に才蔵を尋ねて来たお国、彼の不在に隠岐殿探索の行き詰まりを感じたのか、黒屋敷に向かいます。
そこには俊岳は居らず、獅子王院が。お国のことを完全に大坂方と見ている獅子は、当分黒屋敷に近付くなと言った俊岳の言葉を楯に、お国を冷たく追い返します。

自分たちや、少ない甲賀者だけの情報収集に限界を感じた才蔵、『市(いち)』(伊賀者の情報交換システム)を利用することにします。(早く『市』開けばいいのに~~と、思いつつ、開催自体にもお金がかかるのかしらん…)伊賀者らに、全国レベルの隠岐殿一斉捜索を頼む才蔵。

一方、鬼三の知らせで伊賀者が動いている事を知る獅子王院。(鬼三、仕事熱心)(名古屋では『青子キャラ』に翻弄され逃げられたものの、実は相当使える忍び??)
才蔵らへの対抗手段を考えはじめる獅子。今回、鬼三のおかげで仕事らしい仕事をしている獅子王院…という気が。(青子のところへも油を売りに行かないし~)(視聴者はちと残念)

少ない給金で残業するいわれはない!と分銅屋に耳次を迎えに来る、鬼嫁・お雪。
帰途、河原。お雪は、山での贅沢暮しを懐かしみ、耳次に盗賊に戻れと訴えます。お雪と別れたくない耳次、煩悶。そこへ、二人の話を聞いていたらしい獅子王院が…。
大金をちらつかせお雪の心を掴み、嫌がる耳次を手先にしてしまう獅子王院。

『市』のおかげで、隠岐殿は藤堂家の宿陣となっている建仁寺内の牢に居ることが判ります。
早速、隠岐殿奪還の手だてを講じる才蔵ら。
しかし、藤堂家宿陣の守りは堅く、手勢も多数。少ない甲賀者だけでは心もとない佐助、才蔵に伊賀者を動かして欲しいと頼みますが、『金』でのみ動く伊賀者に『命令』は出来ないと言う才蔵。元手の少ないらしい佐助…。
そこへ、治作さんの頼もしいお言葉が!「わかりました!お望み通り出しましょう。…お任せなさい!!」(いよっ!治作さん、太っ腹!!)
(ああ~、耳次~~、あんた治作さんの店で働かせてもらえば良かったんだよぉ~~)

話は決まり、分銅屋に伊賀者・甲賀者が集まり隠岐殿奪還計画の細部が練られます。
すぐの力攻めではなく、伊賀者が城攻めの時に使うという『霞の陣』を実行し、兵らを弱らせてから隠岐殿を救出するという才蔵。(3種の薬を徐々に井戸へ仕込み、段階的に兵を弱らせる…という説明を興味深げに頷きながら聞く、甲賀者たちの『後ろアタマ』が可愛いです)

牢の隠岐殿の元へ、俊岳があらわれます。大坂方徳川方それぞれの、隠密工作の指揮者同士の初会見。
隠岐殿の、才蔵・佐助らを指示し動かす隠密工作手腕、加え、幸村を高く評価した炯眼ぶりを讃える俊岳。(敵への賛辞を惜しまない俊岳さまの度量の広さが素敵です♪)
とは申せ、敵は敵。処刑は明後日…と言いおいて隠岐殿の元を去る俊岳。

あざみと菊千代、井戸に薬を入れ、隠岐殿には非常食を渡し(出された食事は摂らないように…と)、着々と準備を進めます。
そして決行当日、分銅屋を出ようとする才蔵に何ごとか言いたげな耳次。お雪からは、既に獅子から金を貰っているのだから、才蔵を裏切れと言い渡されています…。
手伝いたいというお国と共に才蔵が出かけたあと、信乃から伊賀者の集まる場所を聞き出し、それを獅子王院に教えてしまう耳次。

建仁寺。兵たちに薬の効き目があらわれる決行時間を待つ才蔵ら。ところが、隠岐殿の刑執行が早まるとの知らせ。
たらいに張った水に顔を付けて溺死させるという刑法、まさに隠岐殿の顔が水面に達しようとした瞬間、才蔵と佐助が飛び込み、救出。ところが、庭へ出た3人を待ち受ける、弓・鉄砲を構えた大勢の兵。
あわやというところを一斉攻撃する伊賀者たちや入道ら。乱闘が始まった直後、ようやく薬が効いて力が抜け始める藤堂家の兵たち。あとの脱出はたやすかったようです。

隠岐殿を奪い返された事を知った俊岳、獅子王院に(才蔵らを)潰せ、と指示。
(隠岐殿奪還の成功直後、才蔵サイドの気が弛んでいるであろうことを見越した指示なのでござりましょうな)
耳次を使って信乃を分銅屋の外に出し、店に細工をする鬼三。(どさくさに紛れて金目のものを持ち出しているらしい耳次&お雪)
その間、伊賀者の集まる廃寺を襲撃する獅子王院。折にふれ、よく才蔵を手伝ってくれていた女忍び・あざみも斬り殺されてしまいます…。

不審に思って分銅屋に信乃が戻った直後、鬼三の仕掛けたらしい爆弾、大爆発。
伊賀者たちへの礼金を届けに行って、廃寺での惨状に呆然とする才蔵と菊千代…。あざみの死体をかき抱いて泣く菊千代。口喧嘩したりしておりましたが、お互い憎からず思っていた仲だったのかも知れません…。
佐助の知らせで分銅屋での爆発を知り、急ぎ戻って信乃の名を呼ぶ才蔵ら。
幸いにも信乃は、からくりになっている火鉢の下、とっさに床下に逃れていたらしく無事でした。

雪の山道、耳次・お雪の逃避行。その前に立ちふさがる才蔵と菊千代。
お雪を先に行かせ、自分だけが悪いと言い張る耳次。あざみの仇とばかりに、激情に任せて斬ろうとする菊千代を才蔵は押しとどめます。
しかし、精一杯の虚勢を張って悪者ぶりながら逃げようとする耳次を袈裟がけに斬ったのは才蔵…。お雪の名を呼びながら痛みにのたうち回る耳次。悲惨なシーンです…。
斬られるなら才蔵に斬られたかった…と言い残し、こと切れる耳次。
駆け戻って来たお雪は才蔵を叩きながら、「あんたとなんか知り合わなければよかった」と繰り返します…。涙を流しながら、黙ってお雪の非難を受ける才蔵。

また一人、自分と関わったばかりに命を落とす人間が…。しかも、今回は自身の手でその命を断ってしまった才蔵。
大坂冬の陣・開戦直前…。実際の戦が始まる前から、才蔵に次々と訪れる悲しい別れ…。

      ◇        ◆        ◇

いったん菊千代を押しとどめておきながら、ほどなく耳次を斬ってしまう才蔵への非難、以前からあれこれ耳にしておりましたし、私め的にも少々推察しかねる心情があったのでござりまするが、今回一連のシーンを改めて観て、納得出来るものがござりました。
才蔵の心情として…。あのまま耳次を逃がしてやっても、気の小さい耳次のこと、生涯悔やみ続ける日々を送ってしまうかも知れない。(『実は俺は大変な悪党なんだぞ』と虚勢を張る耳次を、つらそうに見る才蔵の表情…)
そして菊千代の恨みをそのままにしておいたら、彼が生涯耳次に恨みを抱き続け、苦しむかも知れない…。
と申して、菊千代に耳次を斬らせたら、お雪に生涯恨まれるのは菊千代になってしまう…。(ドラマ序盤の頃、女に恨まれるのを異様に怖がっていた菊千代のセリフを思い出します)(だいたい人を斬り慣れていない感じですし)

才蔵は、自分がすべての泥をかぶってでも、恨みの連鎖を生むまいと思ったのではないでしょうか。自分一人、生涯お雪の恨みを身に受ける覚悟で…。
ただやはり、痛がりながら妻の名を呼び、死んでいった耳次は哀れです。どれほどの悔恨の生涯でも、やはり生かしてあげて欲しかったです。

叫ぶ耳次の口の中に見える、銀をかぶせた虫歯治療あと。「これはドラマなんだよね…」という救いに思えて、安堵感をおぼえてしまった私めです…。

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