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物欲☆あんず雨
幸村憤死
[幸村憤死]
幸村と治作との連絡役をしながら、引き続き青子捜索を続ける才蔵。
間者だったことを才蔵に打ち明け、何の屈託も無く隠岐殿に仕える事が出来るようになったお国。
幸村の屋敷を獅子配下の雷が見張っていたりして、不穏な空気。
小助が、徳川方が豊臣家に大坂城立ち退きや牢人追放を要求して来たことを伝え、来るべき最後の戦が近い事が感じられます。
和議の条項をことごとく無にするような徳川方の要求に激怒する大蔵卿局。修理以下、豊臣家首脳陣は徳川家への対応を巡って鳩首談合。けれども、大坂方の命運を決めるその席に、幸村を始めとする牢人衆は招じられません…。
治作に、武器弾薬の購入依頼をする幸村。才蔵の力を借りて何とかしたい、と引き受ける治作。
深夜の大坂城。武器庫に爆薬を仕掛ける獅子王院と鬼三。まんまと大爆発。
今の大坂城には武器は無いはず…と、呼びつけた修理をネチネチ責めるダーク板倉。さらに、大坂滞在を続ける多くの牢人達を取り締まるために手を貸すという名目で、板倉は牢人狩りを断行します。
嵐の海。堺屋へ武器を運ぶらしい船に乗っている治作(未だ堺屋の大番頭を装っている感じ)。そこへ才蔵とお国が乗り込み(どこから!?)、海賊よろしく船ごと武器を奪います。(治作さんも立ち回り!)
堺屋が発注した徳川方への武器を奪ったということなのでござりましょうが、これを幸村さまに売るとは、治作さん、なかなかどうしてイイ商売を…。
ちなみに、嵐に揉まれる船の映像、「黄金の日日」からの流用っぽいような。
須磨。青子、寝召しに着替えながら(衝立ての上からナマ肩もあらわな青姫!)獅子に、なぜ徳川方に就いたのか尋ねます。世に出るために侍になりたいと答える獅子。
忍びのままでも、才蔵は誇り高く生きている、と言う青子。けれども獅子は、才蔵は伊賀でも良い家柄の出、飢えを知らないような者なら誇りも持てよう…と言います。
青子は『飢え』という言葉で、名古屋での道中に獅子が語った、飢えて亡くなった彼の妹の話を思い起こします。『死ぬほどの飢え』ということが、どういう事かわからないまでも、「哀れじゃな…」と深く同情する青子。
悲しい思いから発した獅子の願い…。「どうすれば侍になれる?」問う青子。今の務めを果たして、主人(板倉)に認められたら…と答える獅子。
「青子が江戸へ行けば、そなた、侍になれるのか?」
家康が駿府を発って進軍を始めた頃…。才蔵の元へ、大納言家から主馬が、青姫を迎えにやって来ます。
徳川の勝利はもはや揺るぎないもの。とうとう大納言も、青子を江戸へ上臈に送るしかないと諦めてしまったとのこと…。
怒る才蔵ですが、主馬も本心は青子を江戸へ下行させたくないと泣きます。才蔵、姫が獅子に連れ去られたことを打ち明け、今は居所がわからないから(今すぐには江戸へ)連れて行かなくて済む、と謎な慰め方をします…。(破綻しているプラス思考)
桜吹雪の須磨。引きこもって出て来ない青子に、桜が散ってしまうから…と声を掛ける庭先の獅子王院。
青子は、近いうちに外へは出られなくなるのだから、もう世の中に『外の世界』や『海』があるとは思わないようにしたい、と答えます。(貝殻入りの箱に敷き詰めた砂に、指で『うみ』と書いて、すぐに消してしまうしぐさが何とも切ないです…)
彼女はもう、一生出られぬ江戸城大奥へ上臈として行く覚悟を決めているのです。
江戸行きがいつになるのかを問うても答えない獅子に、ついには障子を開けて庭へ出る青子。
彼女自身が江戸へ行く覚悟を決めているというのに(士分取り立てが叶うのに)悲しそうな顔をする獅子に、青子は次々疑問をぶつけます。なぜいつも自分に逆らわず、わがままを聞き、こうまで尽してくれるのか…と。
青子の強い問いかけに、獅子は、必死に言葉を探すようにして答えようとします。
「私は…姫を…姫を……。姫は、まるで…」
そこへ鬼三が。(仕事熱心なあまり、場の雰囲気は読まないらしい)(仕事の鬼)
言葉半ばで去る獅子王院。ひとり残され、散り行く桜を見る青子。
鬼三、最近の武器強奪が治作の仕業と突き止めております。(治作さん、朴訥な商人に見えて、他にも盗賊まがいのことをやらかしてるらしい?)即刻、治作抹殺指令を下す獅子王院。
さっきまで、愛に苦悩していた青年・獅子王院、数分後には冷酷な顔で「殺せ!」といふセリフを…。(その流れを自然に見せてしまえる磯部さんの力技に瞠目です…)
大坂の街中、信乃と共に歩く治作。鬼三と雷の尾行に気付いた治作、信乃に才蔵を呼びにやらせます。
幸村に武器を納めるついでに、屋敷まで鬼三らをおびき寄せて来た治作(すごいよ治作さん…)、才蔵らに捕らえさせます。しかし、鬼三には逃げられ、雷は黒幕の名を明かす前に舌を噛み切ってしまいます。
豊臣家に、最後の大坂城立ち退き要求をする徳川家。むろん聞き入れるわけもなく、事実上の宣戦布告に。
修理、幸村や後藤又兵衛、明石掃部らを集めて軍議。徳川軍を生駒山あたりで迎撃するという又兵衛の策が入れられます。
出撃前夜、又兵衛の陣を訪ねる才蔵。才蔵に茶をすすめながら、自分の片腕になって欲しかったが、忍びは戦には出ないだろうから…、と少し残念そうに言う又兵衛。豪放磊落な又兵衛、才蔵のことを相当気に入っていたのでしょう。
待ち合わせ場所のそこに、まだ姿を見せないお国を『嫁御』呼ばわりする又兵衛に「嫁って、そんな…」と照れまくる才蔵クンが可愛いです。
ようやくやって来たお国、大坂城内での妙な出来事を伝えます。なんと、又兵衛が発案した戦略を、修理自身が考え付いたかのように秀頼に報告したというのです。(浅ましすぎるぞ、修理…)
翌未明、修理のやり口に憤るかのように、独断で前線に出る又兵衛。幸村の援軍も間に合わず、銃弾に打ち抜かれ壮絶な討ち死をしてしまう又兵衛…。
又兵衛の悲壮な最期を知り、城内大野屋敷の外から、こんな豊臣家になぞ尽し甲斐が無いから、お国、城を出ろ!と大声で喚く才蔵。
真田屋敷。一人しみじみと爪を切る幸村の(苦悩に満ちた)後ろ姿を見る才蔵。
明石掃部と幸村との、家康の陣を直接叩くという作戦が練られます。真田隊らが東軍前線を叩き、明石騎馬隊が家康の首のみを狙って攻撃する…というもの。
修理が約束してくれたという、秀頼出馬の旗印を合図に明石隊に出て欲しいと言う幸村。
『家康の首』と聞いて、明石隊に加えてもらいたいと申し出る才蔵。
家康の首を取るのは元々自分の仕事、それを為遂げて、にっこり笑ってもらいたい人がいる…と、才蔵は幸村に語り掛けます。
自分の力を欲してくれたのに、又兵衛を一人で死なせてしまった才蔵の思い。せめて幸村の為に…。もう、忍びは戦には出ない云々とは言ってられない才蔵なのでしょう。
決戦前夜、幸村の元に隠岐殿が訪ねて来ます。
屋敷の井戸端、戦が終わったら甲賀へ戻る佐助について行くと言う梅が枝。
桂木に、嫁に来て欲しいと頼んでいる入道。
お国は、前日「城を出ろ」と叫ばれたことを楯に、才蔵に迫っています。
城を出ても寄る辺無い身…というお国。「何とかなるだろ…」この期に及んで、適当な事を言って逃れようとする才蔵。「誰かのところへ行くとか…」「どなたの?」ひたと才蔵を見据えて放さないお国。
そこへ佐助が…。二人を見て、「あ…。こりゃ、失礼…」と去ろうとしたところ、良い助け船とばかりに引き止める才蔵。
月明かりの屋根に寝そべる才蔵と佐助。(まだ二人が東西に別れていたころ、同じように屋根で語らった夕暮れがありました…)
これまでの、丸2年を振り返る二人。伊賀と甲賀という違いを超えて、共に戦い、友情を築いた仲…。
佐助の目から流れ落ちる涙。「おぬしと知り合えて良かったぞ…」
幸村に、大坂へ呼んでしまった事を悔いるかのような言葉を漏らす隠岐殿。
生きた証を残せると満足気に言う幸村。そして、2年前の九度山での花見を懐かしみます。
お互いの胸の奥底に秘めた真の想いは一言も口にせず、唯一、お互いが共有する美しい桜の思い出…。
「あの桜…今年も咲いて……。散って…」つぶやく隠岐殿。(あの~、出陣前夜に『散る』はマズイのでは…)
同じその夜、須磨。就寝前の青子。戸越しに声を掛ける獅子王院、戦の状況を見て、数日うちに青子を京へ帰すつもりだと言います。
青子は獅子に、先日彼が言いかけたことを尋ねます。あの時、「私のことを、まるで…何と申すつもりでいた?」
沈黙の獅子。ややあって、「花のようなお人だと思うておりました…」
青子「なんの花じゃ?」震える声。
振り絞るような声で答える獅子。「すべての花でございます!」
思わず戸を開ける青子。
「ここを発つ前に、私を海に連れて行っておくれ…」
まもなく江戸へ向かう青子には、『すべての花』とまで言ってくれた獅子の心に応えてあげられる言葉は無いのです…。
翌朝、幸村の出陣。小助、入道にも別れを告げる才蔵。力強い声で別れの挨拶を交わす幸村と才蔵。
巧みな進軍で、徳川本陣にまで迫る勢いの真田勢。家康は何度も退却させられる羽目になり、一時は切腹を覚悟するほど…。
好機逃してはならじと、幸村は佐助に秀頼出陣の要請に行かせます。
じりじりと秀頼出馬を待つ明石掃部。
大坂方がぐずぐずしているうちに、体勢を立て直し猛反撃に出る徳川軍。
佐助の懇願空しく、秀頼出馬は取り止められてしまいます。
仕方なく作戦外の突進をする明石隊も、ただ兵を失うばかり…。このまま戦っても待っているのは玉砕。
空しい玉砕は自害と同じ。キリシタンの自分は自害は出来ぬ、と戦線離脱を決める明石掃部。
逃げ出す、という卑屈さがまったく感じられない、颯爽とした印象すらある撤兵です。
才蔵は、明石隊と別れ佐助と合流、幸村が居るという茶臼山の北を目指します。
安居天神の境内で休む、傷付いた幸村。供回りは小助と入道だけになってしまっています。
突如鉄砲隊が襲い、その二人も幸村を守り倒れます。見開いた二人の目蓋を閉じてやり、これから自分を討とうとしている敵将の名を問う幸村。
敵将に背を向けて座りながら静かな声で「お手柄でござる…」と言い、幸村は目を閉じます…。
才蔵、佐助、安居天神に走り込みます。もはや静かな境内に、入道、小助の遺骸を見つける二人。
幸村を探す佐助に、ころがった兜と幸村の『身体』を指す才蔵。
「首、首、首、首、首~~~!!」連呼、絶叫しながら幸村の首を探す佐助…。
幸村の死を知り、二人見た九度山の桜を、再び思い起こす隠岐殿。
名だたる武将のほとんどを失い、巨大な城一つを残して、滅びの時を待つ豊臣家…。
△ ▼ △
このドラマの雰囲気では、『憤死』したのは幸村ではなくて、又兵衛だよな~と思うてしもうたり。
敵将に「お手柄でござる…」と言う竹脇・幸村さまのご最期があまりにカッコ良く、印象深かったので、後年「真田太平記」で草刈・幸村さまが似た感じのセリフを発せられた時「あ、『風神の門』の真似してる…」とまで思うてしまいました~。
でも、敵将どの…。『兜』は置いてっちゃダメでしょ、『兜』は…。
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