October 25, 2008
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カテゴリ: Life*Live*Love




タクシーの中で、

私は、ひとことも言葉にしない。




まだ、今日、一回も、あなたの顔を見ていない。




自分がどれだけ醜いかを解かっているから、

自分がどれだけ穢れてるかを解かっているから、



あなたの顔を、見られない。



窓の外を流れる景色が、ぼんやりと、雨にけぶる。

私の瞳は、まだ、ぼんやりとしか景色を映さない。



涙のしずくと、雨が邪魔をして、

ちゃんと、景色が見えないよ。



あの日みたいだ 、と思った。

大切なものが終わるとき、外は、いつも、雨。





何度も、激しく咳き込む。

だけど、この心の距離は、激しい咳よりも息苦しい。

私は、あなたから、出来るだけの距離を置いて、

タクシーの、後ろの席の、右側の窓に寄りかかった。




初めて逢った日のことも。

好きだと気づいた日のことも。

一緒にランチした日も。

チョコを渡した日のことも。

初めてキスした日のことも。

初めて抱かれた日のことも。

土曜日遊んだ日のことも。

お土産くれた日のことも。

待ち合わせしたカフェも。

一緒に歩いた道も。

お誕生日の日のことも。

メッセンジャーを交わした夜も。

初めて泊まった日の夜も。

初めてご飯を作った夜も。

夜中会いに来てくれた日も。

浴衣姿を見せた日も。

花火の画像を送った夜も。




いつだって、いつだって、私の心の真ん中には、あなただけしかいなかった。




ひとつだけ、願いがかなうなら、

私はきっと、嫌なお願いをしてしまう。



でも、それでも、

たとえ全てを失っても、




きっと、しあわせなような気がするの。




ねぇ、カミサマ、

もしひとつだけ、願いがかなうなら。



かなうなら………………。












タクシーは、私の家の前で止まった。

今夜も、やわらかい間接照明に浮かび上がる、大好きな家。



タクシー代を払おうとしたら。



『いいよ……』



そう言って、あなたが払った。




言葉なんて。

出ないよ。



私は黙って、エントランスのオートロックを開けた。



エレベーターには、乗りたくなかった。

階段を駆け上がって、部屋へ向かった。

あとをついてきたあなたは、ぎゅっと、私の手を握った。



手をつながれた瞬間、ふと、歌を思い出した。





軽はずみな優しさほど 独りの夜がつらくなる

解かり合いたい気持ちほど 不安定な恋に悩む

ねぇ そうだろう……?







解かってた。

ミナミくんが、現れたから、

もう、この想いは、終わらせなきゃいけないんだ。



それは、ミナミくんを好きとか、つきあうとかじゃなく、

ミナミくんの言葉が、尤もだと思ったからだ。



だけど、きっと、ミナミくんが、好きだと言ってくれていても、

たぶん、私は出来ない。




だって。

まだ、あなたがいるんだもの。

心のいちばん真ん中に、あなたがいるんだもの。




家の扉を、開けた。

私は、あなたの側を、無言ですり抜けて、トイレへ向かった。









ひっそり復活。私、変われるのかな…?
どうか、そっと見守ってください…。↓
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最終更新日  October 25, 2008 08:21:25 PM
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