October 25, 2008
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カテゴリ: Life*Live*Love




やっぱり、生理は来ない。



でも、もしも、もしもね、もしものことがあったらね、

ひとりででも、育てるよ。



まだ判らないけど、怖いけど、

風邪薬飲んじゃったし、タバコも吸ってしまったけれど、




大好きな人の、子供だから。



だけど、りぃちゃんと、たっくんは、知らなくていい。

知らないほうが、いい。



ねぇ、りぃちゃん、たっくん、

あなたたちのおとうさんは、すてきなひとだね。

だからね、あんずちゃんね、

あなたたちのおとうさんが、だいすきだよ。

ごめんね。ごめんね。

あなたたちのおかあさんが、しぬほどだいきらいだよ。

ごめんね。ごめんね。



だけどね、

おとうさんはね、

りぃちゃんとたっくんが、だいすきなんだよ。

だから、すてきなおとなになってね。


こんなすてきなおとうさんにあいされているから、きっとだいじょうぶ。


いつかきっと、すてきなおとなになってね。




トイレから出ると、あなたが、部屋で立ち尽くしてた。


『…座って、ください…』


かすれた声で、そういうのが精一杯だった。




言葉にならないよ。

だけど。

言いたいことは、罵倒でも、悪口でも、意地悪でもないの。



そんなもの、捨ててしまえ。



憎しみや、怒りや、恨みは、

しあわせな日々を壊すだけ……………。

そんなもの、本当はなかった。

ただ、いつも我慢していたことだけ、伝えたかった。

苦しかったの。

大好きになっていくほど、嫌な気持ちも重くのしかかって、苦しかったの。




落ち着いて、話しなよ。




胸の奥で、少女のまま、時間を止めた私が言った。




本当は、大好きだよって、ちゃんと言いなよ。




そしたら、きっと、全てが解けるよ。

呪いみたいな、過去の後悔も。

胸を病んできた、過去の悲しみも。




もう、永遠の場所は、すぐそこに見えてるよ。



がんばって。

ほら。




『………ごめんね。』



嫌なことばかり言って、ごめんね。

どんなに罵っても、本当に言いたいことじゃないんだ。

ただ、ずっとね、嫌な気持ちも生まれてしまって、どうしようもなくて。


だけど、意地悪な気持ちを口にするたびに、

どうしてこんなこと、言わなきゃいけないの…って、悲しくしかならなかったの。


捨てられるって思わなきゃ、悲しすぎる気がしたの。

ドラマみたいに、グラスの水ぶっかけたり、

平手打ちしたり出来ればいいのかもしれないけど、

そんなのやだ。



…………そんな終わり方するために、しあわせだったわけじゃないよ…………





淡々と、自分が話しだしたことに、何よりも驚いた。

心の中がクリアで、透き通って、やわらかくて、ほっとした。



胸の奥。

どろどろした嫉妬と悲しみに、飲み込まれずに佇んでいた、

『良心』っていう名前の、透き通って、硬い結晶。



そっと触れた瞬間、あんなに熱くて、おどろおどろしい感情が、

すうっと、凍りついた。



凍りついたのに、冷たくなかった。



それどころか、優しい気持ちになって、

ただ私は、淡々と話し続けた。





……私の前に、錆びついて、開けようとしなかった扉がある。



あの日 に閉ざしたまま、開けなかった扉の近くまで、私、もう来てる。





あの人を傷つけようと手にした短剣は、もう私に必要なかった。

まるで、ゲームか何かのような、稚拙な表現だけれど、

私の胸の中、そんな感じだった。



私、手にしていた短剣を、捨てた。



『良心』が、まばゆく瞬いて、

ただ、忘れかけてた、あったかい想いが、胸の中を駆け抜けた。




もうすぐ、私の心を縛っていた、苦しみが解ける…!




読んだことなんてないけど、

まるで『 ブレイブ・ストーリー 』の、主人公になったような、

妙な気分になった。






『本当に言いたいことはね、嫌な言葉じゃないの。

 本当はどうすればいいかなんて、心の奥ではずっと解かってたの。

 だから、最後の手は下さなかった。

 下せなかった。

 お家と、電話番号知ってるから、そんなこと、簡単だったかもしれないけど、

 それじゃ、やっぱり嫌なんだ。


 そんなことしたら、私がされた嫌なことと、一緒になっちゃうよ。

 そんなのやだよ………


 だから、1%の可能性に賭けたの。

 99%、今夜みたいな未来なんて、解かってた。


 だけど、もしかしたら、

 やるだけのことをやったら、私を選んでもらえるかもしれない。


 でもそれには、過酷な覚悟が必要だったの。』



あなたは。

ベッドに腰掛けて、淡々と語る私の側に、そっと腰掛けた。


私の震える手に、そっと、自分の手を重ねた。





あったかいよ。





生きてるの?





生きてるの。





大好きなの。





大切なの。












どうか、そっと見守ってください…。↓
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最終更新日  October 26, 2008 02:00:55 PM
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