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2018.01.22
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カテゴリ: 観照 [再録]
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滋賀県草津市は、昭和29年(1954)10月15日に市制施行されました。
このときに、 一般公募により市章が制定された そうです。冒頭の左の画像がその市章です。草津市のホームページから引用しました。” 「く、さ、つ」を図案化したもので、線の太いものは市勢の力強さを示し、全体を横にすれば本市が日本の中央に位置するということを表しています ”と説明されています (資料1) 。そう言われると、3つの文字「く」「サ」「つ」がうまく統合しているなぁ・・・・と感じます。
右の画像は1枚の写真の中央部分を切り出して、ポジ・ネガを逆転させる画像処理をしてみた写真です。少し斜めになっていますが、この切り出した画像の中央に、草津市の市章が見えます。

これが草津市の道路で撮ったマンホールのふたです。「汚水」という文字はありませんが、たぶんそのふたでしょう。このふたの中央部分が上掲の画像です。

私がウォーキングで歩いた範囲では、このふたを一番多く見かけました。そして、偶然に見つけたのが、

これです。 上掲のふたの中央部分だけを拡大した形の公共下水用ふた です。
市章のまわりを太い線でデザイン化した立方体のキューブが取り囲んでいます。 草津市は草津町と志津・老上・山田・笠縫・常盤の5か村が合併して誕生した のです (資料2) 。サイコロの形をした立方体は6つの面で構成されています。ひょっとしたら、このキュービックデザインの背景には、1町+5村=1都市、という意味の連想につながるのかもしれません。これは私の勝手な連想ですが・・・・。


道路をウォチングして、見つけたのがこの 「仕切弁のふた」
市章の他に 「アオバナ」という文字 が記されています。 彩色されている草花がアオバナなのでしょう
調べてみると、昭和56年1月に 「アオバナ」が「市の花」に制定されています 。アオバナは、正式には「大帽子花」 (オオボウオシバナ) というのを初めて知りました。ツユクサの栽培変種だそうです。

アオバナの花弁の青色色素はアントシアニン系化合物で水溶性。色落ちしやすいという特徴があるため、京友禅、つまり手書き友禅(本友禅)の下絵を描くときの顔料に用いられたと言います。江戸時代の元禄期、京の扇絵師・宮崎友禅斎に由来する友禅という染織技法から京友禅が生み出されました。その京友禅と近江の草津が東海道だけでなくアオバナでもつながっていたのです。
花の青色の汁を美濃紙に塗布し乾燥させるという工程を繰り返し、もとの紙の4倍くらいの厚みにまでした 「青花紙」 を作るそうです。この青花紙を必要に応じ水に溶かして青色の顔料を使ったそうです。7・8月の夏に花を咲かせるころに、青花紙づくりが夏の風物詩として栄えていたのだとか。 (資料3,4,5)

一方、 「市の木」としてキンモクセイ が同時に制定されています。庭木三名木のひとつに数えられるキンモクセイは、「排気ガスなどの公害に敏感で、病中に強く、高木にならないことから、家庭での緑化に適しています」 (資料3) という説明があります。我が家にもキンモクセイがあります。早秋には、橙色の小さな花がだくさん咲き、強い芳香を放っています。
歳時記を繙くと、秋あるいは九月の季語に「木犀」が載っています。中国原産の常緑樹で江戸時代に渡来したといわれています。キンモクセイよりも少し遅れ晩秋にかかって白い花の咲く種類を銀木犀というそうです。他に薄黄木犀もあるとか。歳時記から句を引用しましょう。 (資料6,7)
  木犀の香にあけたての障子かな   高浜虚子
  木犀の匂ふひと日を妻とあり    山本紅園
  木犀の香の浅からぬ小雨かな    日野草城
  木犀をみごもるまでに深く吸ふ   文挟夫佐恵
  夜霧とも木犀の香の行方とも    中村汀女
  金木犀午前の無為のたのしさよ   石田波郷
  土地人もまよふ袋路金木犀     今村青魚

序でに、ちょっと気になって調べてみました。 庭木三名木というのは、モクセイ、モッコウ、モチノキ だそうです。他に、 庭木三香木(クチナシ、ジンチョウゲ、モクセイ) 庭木七名木(ウメ、タケ、タラヨウ、ツゲ、マツ、モッコウ、モクセイ) というのも。 (資料8)


JR草津駅から、町中を通る 旧東海道を歩き、草津宿本陣への途中、道路で目に止まったのがこのふた です。
草津は東海道と中山道の合流点、分岐地点でもありました。街道文化を色濃く残しているまち でもあります。


旧草津川は天井川として有名ですが。その川の傍に、ふたにもデザインされているこの常夜灯を兼ねた道標が立っています 。道標の左側が天井川です。ここが 東海道と中山道の分岐点 だったところです。この道標は市指定文化財になっています。
このあたりが江戸時代には草津宿のほぼ中心地だったようです。ここに高札場も設けられていたのです 。今は、道路を挟んだ反対側の路傍に高札場が再現されていたと思います。

江戸時代の秋里籬島編 『東海道名所図会』 には、こんな絵で 「草津追分」 が描かれています。 (資料9)
道標の上に記された文は
   草津から右へ曲がれば東海道 直 ​(すぐ)​ は岐岨 (きそ) 路に名護屋(なごや)中仙    
       岐岨路=木曽路、名護屋=名古屋、中仙=中山という対応になります。

そして、草津川は「常には仮橋霖雨洪水には歩 (かち) わたり也水源は金勝谷 (こんぜだに) より流れて末は山田にて湖に入る」と説明されています。


常夜灯から少し南西に、こ の歌碑と案内板 があります。 「草津歴史街道」 というタイトルのもとで、この辺りの東海道の地図と東海道の説明文が載っています。上記の絵もこの案内に掲示されています。中央の下の図です。
「草津では、小柿から大路井に入ると、すぐ砂川(旧草津川)を渡り、11町53間半(約1.3km)の草津宿を経て、矢倉・野路・南笠を通過し、勢田に至った。
草津宿には、本陣・脇本陣などが設けられ、常善寺・立木大明神(立木神社)ほか多数の社寺が立ち並び、70軒を越える旅籠をはじめ500軒以上の町家があった
と往時の様子が説明されています。

左の歌碑は 堯孝法師の歌碑 。「覧富士記」という紀行文に所載のようです。
   近江路や 秋の草つは なのみして
              花咲くのべぞ 何処ともなき

「覧富士記」は、室町時代の足利六代将軍義教が富士山見物で関東に下向した折に、随行した常光院堯孝による紀行文だそうです。 (資料10)



現在の草津1丁目に所在する 「史跡草津本陣本陣」の外観 をご紹介しておきます。
詳しくは「史跡草津宿本陣」のサイトをこちらからご覧ください。

上掲の常夜灯(道標)とこの本陣は 「くさつ景観百選」 ​の一つになっています。

このあたりの地図(Mapion)はこちらをご覧ください。

草津の道路に埋め込まれた「ふた」から、草津の歴史の一端が見えて来ます。
ふたは歴史・文化・風土にリンクしていておもしろい!

ご一読ありがとうごいざいます。

参照資料
1) ​ 市章 ​ :「草津市」
2) ​ 草津市のあゆみ(1954年から1974年) ​ :「草津市」
3) ​ 市の木・市の花 ​  :「草津市」
4) ​ オオボウシバナ ​ :ウィキペディア
5) ​ 友禅 ​ :ウィキペディア
6) 『改訂版 ホトトギス新歳時記』 稲畑汀子編  三省堂  p629
7) 『合本 現代俳句歳時記』 角川春樹編  角川春樹事務所 p866
8) ​ 記念樹にはどんな木がよいですか? ​ :「森林研究所」
9) ​ 東海道名所図会. 上冊 秋里籬島 編 ​  :「近代デジタルライブラリー」
      80コマ目の見開き、左ページに載っています。 
10) ​ 「富士紀行」と「覧富士記」 ​ 白井忠功氏 論文

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
草津市 ​ ホームページ
中山道 ​  :ウィキペディア
追分道標 ​  :「滋賀・びわ湖」
草津宿本陣 ​ :「草津ガイド」
草津宿本陣 ​  :「滋賀・びわ湖 観光情報」
古刹を訪ねる ​ おすすめ観光ルート :「草津まるごとガイド」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

マンホールのふた見聞考  ウォッチング掲載記事一覧

こちらもご覧いただけるとうれしいです。草津市域関連でまとめたものです。
探訪 [再録] 滋賀・湖南 鈎の陣と東海道(手原-草津) -3 目川立場・草津追分
歩く&探訪 [再録] 滋賀・草津 JR草津駅からロクハ公園 -1  旧東海道沿いの史跡点描
  2回のシリーズでご紹介しています。
歩く [再録] 滋賀・湖南 JR草津駅から矢橋帰帆島公園を経てJR膳所駅に


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Last updated  2018.09.13 19:02:41
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