プロローグ


“ソレ”は行なわれた。
ただ扉が欲するがままに喰らうために。



―――『おめでとう』



『今回の優勝者は、君だ――』




『――ナットくん』




『望みどおり、死んだ君の仲間を生き返らせてあげよう』



『それと、次は二年後だ…覚えておきたまえ』



『では、また…二年後、会える事を願っているよ。絆の勇者くん―――ブツッ』


「……くそっ…やっと、やっと救ったのに…なんで、また……」


青年-ナット-は、跪き。
涙を流しながら、地面に拳を叩きつけて。

「なんで―――また、仲間を殺さなきゃならないんだ!」

ただ、何も無い真っ白な部屋で叫んだ。

彼はただ、何もせず跪いて泣いていた。

その後、青年は泣きながら金色の輪に包まれて消えていった。







―――それから、二年後。



-【駆け巡る 荒れ果てた 荒野】-

一人の少年が荒れ果てた荒野の大地を駆ける。
両手には、手元まで届く丸みを帯びた長い刃の短槍。

「……【ピピッ】…蒼からメールか」

少年――長い黒髪に赤い瞳。黒いロングコートを羽織、中には闇の紋様が描かれたシャツを着ている――は立ち止まり、届いたメールを開く。



[差出人:蒼]
[件名:イベントの件]

 聖、イベントの方…頑張ってる?

 今日は、イベントに参加できなくてごめんよ…(_人_)ペコリ

 姉さんの魔の手からは、逃れられなかったんだよorz

 …今度、埋め合わせはするからさ。

 今回は一人で頑張って(;´・ω・)ゝ

 言いだしっぺなのにいけなくてゴメンよ~



少年は、メールを閉じた後。
両手に握っている、二つの槍を握り直し、再び駆け出す。

「さて、こいつを狩れば…良いんだよな」

少年は立ち止まり、目の前に居る巨大な赤と青の龍を見上げる。


「まあ、少しは……楽しめそうだな。少しは蒼に感謝するかな」


その黒く長い髪を靡かせて双龍に立ち向かう。
少年――オラクルは、双つの槍を構えて走り出した。



「少しは俺を楽しませろよ、雑魚共っ!」







.hack//Tribute~それぞれの証~









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