カブトムシダイエット

カブトムシダイエット

朝フルーツで生命エネルギーを大幅にアップ




日本ナチュラル・ハイジーン普及協会会長 
                                         松田 麻美子




まず捨てるべき常識は「バランスの取れた食事」

天寿をまっとうして死んでゆきたいとは誰もが願うことです。しかし、日本の現状は、病気にもならず自然死を迎えられる人はわずか二・三パーセント。事故死のケースもありますが、自らの生活習慣からガンや脳卒中、心筋梗塞といった病気を招き、死んでいく人はほとんどです。

現在、厚生労働省では予防医学の見地から「バランスの取れた食生活」を目指し、少し前までは一日三十品目を摂取するように指導していますが、果たしてそれで予防できるのでしょうか。

考えてみてください。例えば野生で暮らすライオンは、獲物の肉だけではバランスが悪いといって草と一緒に食べたりしません。熊は鮭だけでは栄養が偏るといって、野イチゴと一緒にサンドイッチして食べたりはしないのです。ほとんどが一品主義で、かなり偏った食生活ですが、肥満もなければ、成人病になる動物もいません。

この地球上に生息する生き物の中で体の生理機能・構造上ふさわしくない食べ物を食べているのは人間だけであり、様々な病気に悩まされている動物もまた、唯一人間だけということを知らねばなりません。

そこでまず最初にしなければならないのは、「朝食はしっかりとバランスよく食べる」という常識を捨て去ることです。本来、私たちの体は次のようなサイクルで一日を過ごすようにできています。

午前4時~正午----------排泄

正午~午後8時----------摂取と消化

午後8時~午前4時---吸収と利用

朝は老廃物の排泄を一番活発に行う時間です。この時、一般的にバランスのよいとされる朝食を取るとどうなるでしょうか。

胃の中に入ってきた食物は消化を行わなければ腐ってしまうため、たとえ排泄の時間帯であっても一所懸命消化活動を始めます。消化とは大変なエネルギーを要するもので、一日三食の消化エネルギーはフル・マラソンに匹敵するといわれます。その上、ごはんや卵、魚、肉など、それぞれ消化プロセスが違う食物を同時に食べると胃腸には大変な負担となり、排泄に使うべきエネルギーのほとんどが消化によって消耗されてしまうのです。

 いや、自分はしっかりとバランスよく朝食を食べていても毎朝排泄がある、という方もいるでしょう。しかし、一日三食食べて一回しか排泄がないということは、老廃物を完全に排泄しているとはいえません。中には三日も四日もないという人までいます。老廃物が長く体内に留まっていると、毒素が腸壁から血液中に吸収され、血液循環に乗って体内を巡り、各臓器に蓄積されて蝕まれていきます。

 排泄は私たちの健康に非常に大きな意味を持っています。だからこそ体が排泄モードになっている朝は、なるべく全エネルギーを排泄に注げるよう、消化に負担がかからないものを食べなければならないのです。

 朝フルーツがこんない体にいい理由

 そこで食べるべき食物はフルーツです。これは「ナチュラル・ハイジーン」という健康科学理論に基づいた食事法の一つで、消化に使うエネルギーを最大限節約し、その分のエネルギーを体内の大掃除(浄化作業)に回すという考えです。

 フルーツが消化にエネルギーを必要としないのは、酵素を含んでいるからです。酵素は消化のエネルギーを進める働きがあり、フルーツが熟すと甘くなるのは、消化(炭水化物を糖に変える作業)が済んだからなのです。

 消化済みですから口に入れると胃をトンネルのように通り過ぎて腸へ直行、食べて十分くらいですぐに体内エネルギーへと転換できます。ちなみにごはんは消化してエネルギーになるまで約十二時間、お肉にいたっては約二十四時間かかりますから、実は朝食を食べても午前中のエネルギーにはならないのです。一般的に朝食を食べると午前中元気が出ると感じるのは、体に刺激が与えられたに過ぎません。

 酵素は人間の生命活動全般にかかわる物質で、酵素がなければ、見る・考える・話す・消化するといったことも、エネルギーを作り出すことも、心臓を動かすことさえもできなくなります。

 体内での酵素製造能力は限りがあり、加齢とともに低下していきます。言ってみれば貯金のようなもので、エネルギーや消化力、免疫力などの低下、肥満、疲労感、老け込み、すべて酵素貯金の低下が招いているのです。なるべく酵素が多く含まれた食物を摂取することで体内酵素を節約すると、いつまでも若々しくエネルギッシュでいられるのです。

 お掃除をする時、水と箒(あるいはスポンジや雑巾)を使いますが、体内をきれいにする時も同じです。フルーツの水分はただの水とは異なり、太陽のエネルギーが凝縮されていて、体内を浄化するのにとても役立ちます。また、肥満や病気を完全に追放するには、一日十五~五十グラムの食物繊維が必要ですが、現状では平均十四・三グラム、圧倒的に足りていません。フルーツは食物繊維も豊富で、これが体内をきれいにする箒やスポンジの役目を果たします。だいたい私は毎朝旬のフルーツを中心にリンゴなら二~三個、ミカンなら六~十個が一食分です。生野菜のサラダはボウル一個分を目安に考えてほしいと思います。

 食物の正しい食べ合わせ   

 もともと朝食を取らない方もいるでしょう。そういう方は無理をして食べる必要はありません。お昼にフルーツを食べればいいのです。「breakfast」は日本語で「朝食」と訳されていますが、本来「fast」は断食、「break」は破るの意味。つまり何も食べずに空腹だった状態を破り、最初に食べる食事のことを意味します。このbreakfastのときにフルーツを食べていただきたいのです。

 フルーツを食べると太るとか、血糖値が上がるとか、間違った認識が広まっていることはとても残念です。フルーツは正しく食べている限り、肥満の人が痩せはしても太ることはないし、血糖値も上がりません。既に糖尿病でどうしても血糖値が気になる方は、レタスやセロリ、キュウリ、白菜と一緒に食べるといいでしょう。食物繊維がガードして、血液中への糖の流出をさらに緩やかにします。

 しかし、食べ方を間違えると、せっかくのフルーツの栄養価も台無しです。多くの方はフルーツを食後の口直しとして食べていますが、これが問題です。ご飯やお肉を食べて既に十分過ぎるほどカロリーを摂取した後では、カロリー過剰になってしまうのは当たり前。

 それどころか、ご飯やお肉、お魚、卵などの消化活動が始まっている胃の中に、既に消化が済んで糖になったフルーツが入ってきても、それだけを先に腸に送り出すことはできません。一緒に三十七度の腸に留まり、糖が発酵を始めてしまいます。すると、パンが発酵するとガスが出るように、臭いおならが出るようになるのです。

 食べ合わせという意味では、ご飯やパンを、お肉やお魚といった動物性のたんぱく質と一緒に摂取するのは、肥満や病気の原因の元です。

 ごはんやパン、ジャガイモなどのでんぷん質食品を消化吸収させるのに必要な酵素は、アルカリ性の環境の中で活発に働きます。一方、動物性たんぱく質を消化吸収させる酵素は酸性の環境で活発に働きます。それぞれ性質が違いますから、活発に消化が進まず胃の中に何時間も留まってしまうと、でんぷん質は発酵を始め、動物性たんぱく質は腐敗してしまいます。すると体内の消化器系が真夏の生ゴミバケツのようになって、吐く息も臭くなり、おならや便も臭くなるのです。お肉やお魚を食べる時はごはんやパンではなく、山盛りの生野菜と一緒に食べることが大切です。

 私はこのナチュラル・ハイジーンを知り、食物を正しく摂取するようになってからというもの、おならは出なくなったし、便も臭いません。むしろフルーツの香りがするほどです。おならや便は皆さんの消化器系の臭いであることを知り、正しい食べ合わせを意識していただきたいと思います。

 朝のフルーツで人間の本能が蘇る 

 その昔、古代ギリシャの医師・ヒポクラテスは「汝の食事を薬をし、汝の薬は食事とせよ」と言いましたが、以前の私はそんなことを考えたこともなく、間違った常識から体に負担をかけるような食べ合わせを続けていました。

 子どもの頃は近所に西洋料理の先生が住んでいたこともあり、ケーキを焼いては食べて、丸まると太っていました。海外に留学し、自由になったことをいいことに好きなものは食べ、嫌いなものは食べないというデタラメな食習慣を続けたあげく、子宮筋腫が大きくなって、三十台半ばで子宮を摘出。子どもを生めなくなった悲しみに追い討ちをかけるように始まった早すぎる更年期障害・・・。私がナチュラル・ハイジーンの理論と出合ったのは、そんな時でした。

 以来、体はスリムになり、病気や具合が悪いということがなくなりました。

 本来、ナチュラル・ハイジーンでは昼も夜も植物性食品中心の食事を取るように勧めていますが、朝食をフルーツにするだけでも随分違います。

 何より、もともと人間が持っていた本能が蘇ってくるのか、お肉などの動物性たんぱく質、あるいは嗜好品や刺激の強い食品を欲しなくなるのです。お肉を食べる時も、自然と、ごはんより野菜を欲するようになります。

 逆にたまたまお付き合いなどで、夕食にコースを食べるなど、間違った食べ合わせをしてしまうと、次の日は朝起きるのがつらくなったり、昼にカツ丼を食べると眠くなるとか、体の不調がてきめんに表れます。ですから、「今日は会食があるから、朝はフルーツ、昼は野菜だけにしておこう」と、自分で自然に調整するようになっていくから不思議です。

 以前、あるセミナーで「ちょっと一息をつく時はどんなものを召し上がっていますか」という質問を受けたことがあります。

「私はまったく疲れないので、コーヒーブレイクの習慣はありません」とお答えしたとおり、普段私は論文の執筆やカウンセリングの合間に家事をこなし、十一時には寝るように心掛けていますが、たまに仕事のキリがつかず一時近くになることもあります。それでも翌日は六時に起きて、五キロのランニングをします。しかし消化にエネルギーを取られないため、まったく疲れないのです。

 人生は有限です。この限られた時間を、自分の持てるエネルギーの大半を消化で使い果たし、半病人のように疲れきって終えるのは、あまりにももったいない。最期を迎えるその時まで、仕事や勉強に燃えるエネルギッシュな一生を過ごすため、まずあなたの朝食をフルーツに変えてみてはいかがですか。


                      2006-7致知 第42回 大自然と体心 より 抜粋


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