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第31回札幌マラソン
第31回札幌マラソン
2006年10月1日(日)
『北海道最大の大会』
この大会の盛大で盛況なことといったらとにかくすごい。去年比-130人とはいえ合計参加人数は10,403人。洞爺湖マラソン、千歳JAL国際マラソン、北海道マラソン、そしてこの札幌マラソンは北海道4大大会と表しても良いことでしょう。
フルは2日、ハーフは前日を休肝日としている私。今回の大会はハーフに参加なので前日肝臓を休めます。夜の給水(酒)を絶った夜はそう簡単に寝付けるものじゃありませんが、逆に寝付いてしまえば良質の睡眠を摂れると耳にしたことがあります。大会当日の朝は7時までグッスリ。気持ちの良い目覚めです。
会場である真駒内公園周辺で例年駐車スペースの確保に苦労しつつもどうにか救われています。それが油断となりこの日自宅を出発したのは9時15分。約30分のドライブの末真駒内公園へ到着。しかし時すでに遅しで豊平川河川敷の臨時駐車スペースは満杯。道路を挟んだ大型店舗の駐車場には(札幌マラソン参加者の駐車を阻止すべし)との命題を与えられた警備員が鬼のような顔で仁王立ち。隣りのパチンコ店駐車場も同様。ほんの一瞬札幌マラソン参加辞退が頭を過ぎりますが気を取り直して更に隣りの大型店舗へ。ここでようやく駐車スペースを確保できホッと一息・・・・・つく暇はありません。なにせ時刻はもう10時過ぎ。ここから走友会の集合場所へは少なく見て15分は歩かないといけないでしょう。かなりの早歩きで集合場所へ到着した10時30分はハーフスタート時刻の1時間20分前。汗かきの私のTシャツと額は汗だく。思いも寄らぬアップが出走前にできたわけです。
今回の大会は2つ試してみようと思っていたことがあります。1つはいつも女房手作りのおにぎりと団子をエネルギー兼完走のおまじないとして出走前に食す私がおにぎりを食べないこと。そしてもう1つが前日軽くジョグすること。1万人超と盛大この上ない大会の片隅に陣取った我が走友会。青いシートに荷物を広げようやく一息つき団子を2本食べます。その合間にアミノバリューをチビリチビリと。着替えを済ませてアップを少々。程よく汗も掻き上々の仕上りのはずでした。
その間走友との再会が度々。ウルトラランナーのYさん。トライアスリートのSさん。名門北海道マラソンクラブのYさん。前週開催の豊平川サーモン駅伝で見事な走りをしたHさん。そして私が最も敬愛する大先輩ランナーMさん。ハーフ集合地点へ着きウロウロしていると一般ランナーとしては最高峰の50番台を身に着けた快速ランナーKさん。膝の故障から立ち直りつつあるKさんetc。皆充実した表情です。
同じユニフォームに身を包んだ走友会のメンバーが周りにいてくれるのはとても心強いもの。それもあってか緊張感は皆無。むしろダラけているのではと思えるほど。普通にいつもどおりイレ込まず、この大会を楽しむことだけ考えています。年に2度、札幌駅前通りを交通規制して走らせてもらえる大会の1つを楽しむことだけ。タイムを狙うつもりは毛頭なし。
号砲一発。
『人格豹変』
ダメです。やはり北海道マラソンとこの札幌マラソンだけはアドレナリンが噴出してしまいます。ロスタイムは自己計時で19秒。周りの人と接触して転倒せぬようさせぬよう、これだけを考えてジグザグダッシュです。4車線の道が左折して3車線になるところでスタッフが大声で「道幅が狭くなりまーす」と叫んでいます。下り坂で勢いをつけペースアップ。体感では4分ちょっとといったところか。1kmの表示を見逃し2kmで時計に目をやると(8分40秒)と表示されています。体感どおり。走友会のベテランランナーに追いつき、一声かけて追い越します。
ふと左側に目を向けると先輩走友のHさんの姿が。北海道マラソン前後から腰の故障で走るのもままならないHさんですが、今日は応援に駆けつけてくれたようです。私がHさんの立場だったら同じ行動をできたかどうか自信がありません。軽く手を振りその温情に応えます。
左折後中の島通りへ。快調ですが後ろから射し込む強い陽射しが気になり、街路樹の木陰ばかりを選んで走っています。今年のレースは暑くなりそう。この直線の終わり頃、生協の店舗がある辺りで母が今年も応援してくれているはず。昨日まで紀伊半島方面に夫婦で旅行に行っていた父は今日また別の集いがあって定山渓温泉泊。忙しい人です。母の応援を受け軽く右にカーブしたところが最初のチェックポイント。
5km地点通過:21分06秒(4分13秒/km)
左折して幌平橋の上へ。この上りが意外と堪えます。右の沿道には(お父さん、頑張って)と印刷したプラカードを持った女の子の姿が。己へのエールと理解する参加者は多いのでしょう。右折後豊平川左岸通りへ。軽い向かい風を感じます。きっとこの風が後半は後押ししてくれることでしょう。左折して南9条通りへ。ここで去年と同様先頭ランナーとすれ違いました。先頭集団のペースは例年ほぼ同じようなラップを刻むはずなので、自分がどこで彼等とすれ違うかで今年の調子を占うことができます。毎年参加する出身大学の選手は今年不参加で残念です。
最初の給水ポイント通過。最初のテーブルにコップの姿はありません。ここは焦らずに次のテーブルを待ちましょう。次で上手い具合に2つコップを手にすることができましたが、私にとってはハイペースの展開。ほとんど喉に流し込むことはできず大半を首筋へ。ここでペースを落としてでもしっかりと給水をすべきだったと痛感したのはこのあとの河川敷でした・・・。
高速ランナーのKさん、美唄市の大会でお逢いした同じく高速ランナーAさん、高名な整形外科の先生、元同僚で先般シドニーマラソンに参加してきたHさん。先行ランナーで気が付いた人はわずかにこの人たちぐらい。良く言うと前だけを見て集中して走っていたのでしょう。
折り返して間もなくの左側には女房の姿が。何かを手にしていますが受け取れず。ペットボトルの水を私のために用意してくれていたそう。あとのことを考えるとやはりスピードを緩めてでも受け取っておくべきだった・・・。 「頑張ってよ~」「おう!1人か?」「うん、1人」 こんな短い会話の後もう一度振り返り手を振りました。
延々と続く後続ランナー。人に酔ってめまいがしそうなのでまっすぐ前だけを向いて走ります。気が付いたのは私がこの走友会に入会するに当たって橋渡しをしてくれたOさんのみ。以外は全く気付きませんでした。
後方から豊平川サーモン駅伝で目覚しい活躍をしたHさんが抜き去っていきます。「やっと追いつきましたよ」「先に行って下さい」「わかりました」こんな短い会話を残して。
左折後南9条大橋へと向かう軽い上り。ここでようやく感づきました。それはオーバーペースです。どうにも気持ちが乗ってこないのです。まだ10km手前だというのに。南9条大橋の上では右から吹き付ける強い風を感じます。これはもしや河川敷に入ってからの向かい風を意味するのじゃ・・・。
10km地点通過:43分06秒。この5kmのラップ:22分00秒(4分24秒/km)
河川敷に降りて左折を2度。豊平川上流に向けて軽い上りのスタートです。ここで私はなんともいえない苦痛を感じ始めました。太腿の疲労感です。苦しい頭で昨日までの行動パターンを省みるとこうなってしまったことに思い当たる節があります。それは北海道マラソン後すっかりサボってしまている筋トレと前日の軽いジョグ。おそらくや試験的に行ってみた後者が完全に疲労感となって残ってしまっているのでしょう。やはり人間は不慣れなことをすべきじゃありません。また喉にも猛烈な渇きを覚えます。北海道マラソンと異なり気温が低いと予想し途中で尿意を覚えることを避けるあまりに前日と出走前のウォーターローディングが不足していたのかも。
『著しいペースダウン』
ここから先の記憶はほとんどありません。ただただ身体が重く太腿がキツく惰性で足を前に出しているのみ。南19条大橋の下で母から「○○、頑張れ!」と声をかけられてハッと我に帰る有り様です。その後も豊平川サーモン駅伝スタート地点付近で有名女性ランナーのOさん(旧姓Tさん)が芝生に腰を下ろして靴の中をいじっている姿の記憶があるだけ。ミュンヘン大橋付近で腰の故障によりDNSの先輩走友Hさんの姿が見えたとき私は叫んでしまいました。「シンドいです~」
その瞬間なんとかここまで保ってきた精神力がプツンと音を立てて崩れ去ったのを知ります。更にペースダウン。
15km地点通過:1時間07分25秒。この5kmのラップ:24分19秒(4分52秒/km)
(水はまだか) (早く水をくれ) (喉が乾いた) (口と首筋を冷やしたい) (こんなつらいレース初めてだ) (昨日ジョグッたのが失敗だった) (リタイヤしたい) (腹が減った) (やっぱり俺にはおにぎりが必須なんだ)
愚痴とボヤキと反省とが頭の中をグルグル回ります。ようやく給水ポイントがあり、2つそれを手にして喉と首筋へ。通過してすぐに思ったことが(太腿も水をかけて冷やすべきだった・・・)
河川敷から堤防へと上る道はいつも以上の地獄。ジョギングと変わらないペースだったことでしょう。楽走旭川のSさんと千歳在住のMさんが軽快に追い抜いていきますが離されないようにしようとする精神力がもうないのです。
太陽の広場をグルッと1周したところに先週も美唄でお逢いしたHさんが愛娘と応援してくれています。こちらから手を振り「キツいっす~!」実に無様で自虐的な姿。
五輪通りをくぐって軽い上りを経て左折。競技場側にトライアスリートのSさんがいたのをうっすらと記憶しています。
中央橋を越えて右折。ここいらで限界が近づいたことを悟ります。上りを含む残り3kmと少々を走破する気力が完全に失われてしまいました。そして給水所が見えたところで遂にストップ。ハーフで立ち止まったのはハーフ2度目の参戦だった3年前のアコムさっぽろ祭りマラソン以来のこと。コップに4杯の水を飲み後方を振り返ります。走友会の男性メンバーが抜き去っていきました。この時には(リタイヤします)の声が喉元まで出掛かっていましたがなんとか気力を振り絞りゆっくりと再スタート。後方からは荒い息遣いのランナー達が懸命に真駒内公園逆周り地獄に臨んでいます。それに比べて俺はいったいどうなってんだ!情けないっ!
しかしいったん切れてしまった精神力を再度紡ぐのは至難の業。首を横に振りつつ300mほど歩いていると先程の有名女性ランナーOさんも歩いてしまっています。この人ほどのレベルでも歩きを余儀なくされる今大会。近年稀に見る過酷な大会なのですね。
「アザラシさん」 走友のKさんです。慢性的な足底筋の故障に苦しみつつ栗山町の100km遠足と支笏湖ウルトラチャレンジ70kmをも完走した強い精神力の持ち主Kさんはヒタヒタと着実に前へ進んでいきます。敬愛する大先輩ランナーMさんからも「アザラシさん、どうしたの?!」と声をかけられます。私はその力強い後ろ姿に引き寄せられるように再度走り出しました。
ようやく長い長い上りが終わり下り坂へ。ここは残り2km地点。せめてラストだけは元気に走りたい。
20km地点通過:1時間35分11秒。この5kmのラップ:27分46秒(5分33秒/km)
「○○さん頑張って~っ!」走友会の女性から強烈な檄が飛びます。「シンドいっす~!」 Kさんにようやく追いつき追い越す際、私は「Kさんありがとう」とお礼を言いました。この人の頑張る姿を目の当たりにしなかったら私は後半歩き通していたことでしょうから。トライアスリートのSさんの姿も見えます。新しくお目見えのランシャツランパンで苦しい姿を見せてしまいました。
ようやく真駒内競技場内へ。一瞬時計に目をやると(1時間39分と数秒)と記されています。右手のスタンドでは在校生全員参加の高校生達が帰り支度を始めています。そんな状況下、ラストだけは懸命の走り。最後の直線を走っているとデジタル電光掲示板は1時間39分50数秒を表示。52秒、53秒、54秒・・・59秒。懸命の走りですが最低目標の100分切りは泡と消えました。
(前日軽くジョグする)(当日のおにぎりを控える) この試みが両方凶と出た大失敗レース。そしてなによりも気持ちが切れてしまうとレースにならないことを改めて知らしめられた貴重なレースでした。
~5km:21分06秒。
5km~10km:43分06秒(22分00秒)
10km~15km:1時間07分25秒(24分19秒)
15km~20km:1時間35分11秒(27分46秒)
20km~フィニッシュ:1時間40分09秒(4分58秒)
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