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清貧一家の哄笑な日々 番外編




​​前回、8歳(いまは12歳)の天才バイオリニストの話を書き、
同い年のときの私は、他人のレンゲ畑に踏み入って、
花の蜜をチューチューしていたと暴露した。

哀しいなぁ…と思いながら、
小学2年生のときのことを思い返してみた。

あった!
私にも、少々自慢させてほしい話が。

寒い日の夕刻。19時を少し回ったくらいだっただろうか。

こたつの温もりが消えた!

安普請の隙間風ピープーの社宅の我が家にある唯一の暖房器具のこたつが壊れた!

母が匂いを嫌うので、石油ストーブがなく、
そのころは、電気ストーブやファンヒーターが
あったかなかったかわからないが、
一般的な暖房器具ではなかったので、
清貧一家に暖房器具として存在していたのはこたつのみだった。

アホの兄は「すぐに買(こ)うてこい!」
と貧乏人にあるまじきことをのたまい、
母は「もう店開いてない」
とあさってのことを言う。
たとえ店が開いていたとて、買う金がないではないか。

私は早速修理に取りかかった。

兄も母も、いつも父に注意されているにもかかわらず、
コネクタを持たず、コードを引っ張ってコンセントからコネクタを抜くクセがある。
きっと、コネクタ内の銅線が切れているのだろうと踏んだ。



※昔のこたつコードはこんな形状。いまと違って修理可能だった。

ドライバーを持ってきて、
コネクタを開ける。
!!!
銅線は切れていない。

これは厄介なことになった。
コネクタ内の問題ではないとしたら、
コードか。
どこが切れているのか
コードをグニグニしながら、
切れているところを探る。

すっと、軽くなるところがあった。
すかさずペンチでそこをざっくりカットした。
「な、なにすんねん!」
と兄が叫ぶ。
『うるさい。修理しとるんや』
と心で返しながらコードを包む布を剥がし、
カバーを切って銅線をむき出しにする。
銅線は数本が二本の束になっていて、
それぞれをつないで絶縁テープを巻く。
二本の束を一つにしてテープを巻き、
布を戻してコネクタをコンセントに入れる。

ついた!
こたつが再びオレンジの光を放ち、温もりを発している。

が、アホの兄もあさっての母も礼も言わず、
当たり前のようにこたつに入ってテレビを観ている。

なんと不義理な家族だろうか。

しかし、絶縁テープの巻き方や処理の仕方が不安で、
父が帰ってくる深夜2時くらいまで起きて待っていた。
父に事の顛末を話したら
父は
「よう直したな。直し方、なんでわかったんや」
と、褒めてくれ、
私は
「お父ちゃんがやってたの見てたから」
と答えた。
父は、私が不安だった絶縁テープを巻き直してくれた。
「よっしゃ、これでいける」
と言って、頭をぽんぽんしてくれた。

8歳の女の子にしては、よくやったと思う。

決して、天才バイオリニストと比較してはいない。

貧乏人にも、できることはあるということだ。

ふん。
それくらいしかできませんよーだ。


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