便秘解消方法 -原因と対策-
便秘解消方法について
一般に、便通の回数によって便秘であるかないか判断することが多いかと思いますが、
医学的に便秘とは、便通の回数に関わらず、排便後、十分な満足感が得られたかそうでないかということで
判断します。
つまり、便秘というのはとても主観的なものになります。
例えば必ずしも一日一回の排泄があるということではなく、2日に一度でも、苦痛を伴わずに気持ちよく排泄されるのであれば便秘とは言いません。
1日1回排泄があったとしても、その量が極端に少なかったり、あるいは3~4日以上も排便がなく、苦痛や不快感を伴うものであれば便秘といえます。
まずは便秘であれば、どのタイプの便秘であるのかチェックしてみましょう。
その上で自分にあった便秘解消方法をみつけてみてください。
● 便秘の種類
●
< 急性便秘 >
【一過性のもの】
興奮、不安などの精神的影響や、旅行・他人の家に泊まるなど環境の変化によって一時的に起こることがあります。
また、水分摂取量が極端に少なかったり、残渣の少ない食べ物(繊維質などの不消化物質)を摂った場合にも一過性の便秘は起こります。
【症候性便秘】
腸疾患などの病気が原因となって便秘をきたす場合。
腸閉塞の他、胆石症・胆嚢症・急性腹膜炎など腹腔内期間の炎症によっても内臓-内臓反射によって便秘をきたします。
< 慢性便秘 >
【常習性便秘】
長期にわたって持続する便秘で、大腸の機能異常によります。
これには弛緩性便秘とけいれん性便秘の2つがあります。
●弛緩性便秘:いつも排便を我慢していたり、下剤の乱用を続けたりすると、排便反射が麻痺して便秘になります。
けいれん性便秘に比べて自覚症状が少ないことが多いです。
●けいれん性便秘:腸の局所的けいれんによって便秘をきたすもので、精神的ストレスが原因となることが多く、便秘とともに激しい腹痛を伴い、便の形状はウサギの糞様だったりします。下痢・便秘が交互に起こりやすい。
【症候性便秘】
腸疾患が原因になることが多く、手術後の癒着や狭窄、腸管の腫瘍や下垂などによって慢性の便秘をきたします。
その他腹腔内臓器の炎症による癒着、臓器の腫瘍による圧迫、うっ血性心不全、甲状腺・下垂体・副腎の機能低下、神経疾患などによっても起こります。
便秘が長期にわたったり慢性的になると、腹部膨満感・腹痛・吐き気・嘔吐などの消化器症状や、食欲不振、頭痛・不眠・不安など、他の症状を引き起こしてしまうことも多々あります。
また、排泄されるべき有害物質が体内に停滞したり、腸内で異常発酵が起こるために、吹き出物などの肌荒れを起こすこともあります。
女性は美容のためにも便秘を解消・ならないように気をつけたいところですね。
便秘の解消方法
当たり前のような一般的なことも含め、とにかくいろいろな方面からやってみましょう。
自分にあったものが見つかれば、それを実行するだけで便秘が解消されることも多いです。諦めずに頑張りましょう。
< 便秘解消方法 食べ物・食事編 >
●腎臓・心臓疾患以外の方は水分を十分に摂るように心がけましょう
●腸の粘膜に適度の刺激を与える植物性の繊維食品をできるだけ多く摂りましょう
(セロリ、ごぼう、きゃべつなど野菜類)
●消化・吸収の良いものより、できれば便量を増加させるような食品を選びましょう(イモ類、雑穀、野菜、果物など)
●果物、果汁は腸の蠕動運動を高め便秘を解消することに役立つので多く摂るようにしましょう
●炭酸飲料はガスを発生させ、整腸作用を促進し、便秘解消に役立ちます。
●干しプルーン、プルーン100%ジュースは催下作用があるので便秘解消方法に効果のあるものとして役立ちます。
●マグネシウム含有量の多い食品を摂ると排便が促され、便秘解消に効果があります。
にがりですっかり有名になったマグネシウムは、病院などでも便秘の患者さんに処方される成分で便秘解消に効果があります。
(にがりそのものではなく、この場合は重酸化マグネシウムとなります)。
マグネシウム含有量の多い食品には、豆腐を作る際ににがりを使用することから大豆の加工食品に多く、豆腐、厚揚げ、がんもどきなどがあります。意識して多く摂るようにしましょう。
また、硬度の高いミネラルウォーター(コントレックスなど)は同じくマグネシウムの含有量が多く、便秘解消に効果があります。
< 便秘解消方法 生活編 >
●毎日一定時刻に便意がなくても必ずトイレに行くようにするなど、排便の習慣がつくようにする。便意を感じたときは我慢しないように注意しましょう
●朝の起床直後、冷水をコップ一杯飲むのも胃-結腸反射が生じるので便秘解消に効果的です
●下剤の使用や浣腸の使用は習慣性になりやすいので、できれば自然排便ができるよう様々な方面からの工夫を継続していくようにしましょう
●運動や体操、散歩など、体を動かすことは腸運動をも促進し便秘解消に役立ちます。
運動不足すぎると腸の動きも緩慢になりがちで、腹筋力も衰えるために便秘となりやすいです。少しでも運動を心がけましょう。
以下に便秘解消方法として、患者さんによく行うことを挙げてみます。
●腹部をあたためる
手術後などで腹圧のかけられない患者さんをはじめとして、腸運動を促進するために腹部を直接あたためます。
術後の患者さん用には専用の器械もありますが、普通にあたためるということもよくやります。
蒸しタオルを温めたものをビニール袋に入れ、腹部にしばらく置きます。
冷めると効果がなくなるので、電子レンジを利用しておしぼりタオルをつくるような感覚でやってみるといいと思います。レンジ使用の方が冷めにくいです。
●腹部のマッサージ
下腹部全体を、「の」の字を書くようにゆっくりとマッサージします。腸運動が促進され便秘解消に効果的です。
●指圧(ツボ)・姿勢
小腸で消化された便は、大腸を経由して排泄されます。
下腹部の左側の部分(S状結腸といいます)には便がたまりやすいので、この部分を刺激する姿勢や、指圧するなど効果があります。
指圧する場合は、おへそから左にまっすぐ線を引き、ウエストのくびれのと交わる部分です
(ウエストの一番外側でベルトなどのあたる部分)。
ここを、腰に手を置き(背中側に親指がくるように)、ゆっくりもみほぐすようにします。
また、S状結腸が刺激される姿勢として、体の左側を下にして横になり、膝を曲げる姿勢があります。
他にも便秘解消方法はいろいろありますが、大切なのは継続することです。
とくに便秘は慢性化しやすいので、毎日の生活の中で便秘解消方法としてできることを少しずつ重ねていき、
効果的に解消していくように頑張りましょう。