K/Night

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便利屋 in 篠慶学園3―プロローグ―


テレビ局のある一室、目の前の机にレポートを置き座るニュースキャスター。
<―――××区××町で殺人事件が発生―――被害者は区内の高校に通う女子学生で―――右目が損失―――同じような事件が発生している事から同一犯と考えられ―――>
機械音が発する言葉に雑踏を進む人々は関心さえも見せない。
自分には関係無い―――
その意識から・・・・
「・・・・それが命取りになるのにな」
ビルの壁に凭れ掛かる1人の男。
人々のその考えに心配している口調ではない。
楽しんでいる―――心の底から。
しかしその言葉にも人々は関心を寄せない。
聞こえていない。
誰かの言葉を聞く―――そんな人間はもう殆どいないのだろう。
それがまた、命取り・・・・
男の薄い唇が弧を描く。
少し風が冷たい。
ベージュのロングコートの襟を手繰り寄せる。
「もう10月だ」
言葉は直ぐに存在を消す。
空気に溶ける様に。
「舞台は用意してあげた」
まるで、望む人が其処に在るような言葉。
「さぁ、君達は如何するのかな?」
ニュース番組が終る。
同時にテレビが同じCMを流す。
男は自らの足で体重を支えると、雑踏の中に姿を溶かす。
人々は関心を寄せない。
日々は唯流れていく・・・・

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