北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

2004.12.28
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カテゴリ: ビジネス習慣
終身雇用が常識の国なんて、日本くらいのものでしょう。日本が元気だった頃は、よその国でも見習おうとしたようですが、いまでは日本経済衰退の元凶のように言われてしまっています。市場経済導入前のごく一時期、中国でも国営企業は終身雇用が原則だったようですが、いまはもうそんなことを言ってられません。

ウチの会社の場合、社員の平均在社期間は2年弱です。世界的に社員の出入りの激しい「転職天国」の業界とは言え、私が着任した8年前から残っている社員はたった2名、しかも経理部門のスタッフと運転手さんだけです。
中国の人たちの多くは常に「発展の空間」つまり、自己実現ができる環境を求めています。そして、自分の能力を信じ、どんどん成り上がって、いずれは自分の会社を持つ、と考えている若者がたくさんいます。一つの会社に留まったまま、自己実現していくのは難しいので、職場を移ることでステップ・アップしていこうと考えている人が大多数です。大卒で入社した会社でそのまま出世して、いずれその会社の社長になるぞ、といったかつての日本のサラリーマン野心家とはワケが違うのです。

「能力がある」「使える」と思っている社員ほど、突然辞表を提出したりするものです。真っ先に引き止めにかかりたいと思うのでしょうが、待ってください。
辞表を出すくらいですから、彼(彼女)はもう既に別の環境の用意を整えてしまっているハズです。次の職場の目星も立たぬまま辞表を出してくるような輩もいますが、こういう人は論外です。ほとんどの人はもう次の職場から採用の連絡を受けているのです。
引き止める、ということは、待遇や条件を良くしてあげる、ということになります。どうしても留まって欲しい社員には止むを得ないと思うかもしれません。それでも長くて1年で、彼(彼女)がいなくなる覚悟をしておくべきです。ゴネれば待遇が向上することを知った社員はきっとまた足元を見てくるでしょう。或いは同僚が彼(彼女)のゴネ得を知るところになり、冷淡に扱われ孤立していくか、或いは同僚も真似てゴネ始めるかもしれません。いずれにせよ、あまり良い結果は期待できません。
待遇や条件を向上せずとも留まってくれるようでしたら、当人の甘えのパフォーマンスか、自分の当人に対する能力の過剰評価だったと割り切って、その社員には早めに見切りをつけたほうが良いかもしれません。
もちろん、在社中頑張ってくれた社員には、労いの言葉と、次の職場での成功を願う気持ちは忘れずに。

自分の傍に長く居て欲しい社員に辞表を叩きつけられたなら、まず冷静になって後任を探しましょう。
長くて1ヶ月、有給などを行使されると1週間で彼(彼女)は居なくなってしまいます。できる限り滞りなく彼(彼女)の業務を引き継がせることが大切です。
それから、自分自身を責めましょう。彼(彼女)が別の職場に移るのは、過去の待遇や条件や環境が当人にとって満足できるものではなかったからです。そうではない場合もあるかもしれませんが、去り行くものを責めても何ら得はありませんから。業務引継ぎで意地悪されない為にも、まず円満退社を演出してあげるべきです。

中国北方の人たちは元々遊牧民族か騎馬民族です。遊牧民は羊が食む草が無くなれば別のところに移動します。旱魃にも洪水にも耐え、一つの地に留まり豊作を祈願する農耕民族とは、血が違うのです。現代中国では若年層のホワイトカラーほど、先祖の血が騒ぎ始めています。
去る者は追わず。去られたくなければ、常に豊かな草原や飼葉を用意しておく必要があります。

誰がいつ立ち去っても良いように体制を整えておく、というのが肝要ではあります。口で言うほど簡単ではありませんが...。





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Last updated  2004.12.28 16:44:44
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