北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2005.09.12
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OECD(経済強力開発機構)のレポートによると、中国ではびこる贈収賄はGDP(国民総生産の)の3-5%規模らしい( NIKKEI NET )。去年の名目GDPが13兆6,500億RMBですから、約7,000億RMB(日本円だと9兆円)がワイロという計算です。
ただ、この数字が公務員を対象とした純粋なワイロなのか、民間を含めたキックバックやリベートも含むのかは定かではありません。中国の大企業には国家が台株主の国有企業が多いわけですから、企業活動向けに差し出された工作資金とお役人のワイロとの境は曖昧です。

中国はキックバック天国で、民間企業同士の取引きにも付き物です。いわゆるグローバル・スタンダードの企業統治の倫理からすると当然「イケナイコト」なのですが、この商習慣を根絶やしにするには、まだ相当な時間が必要です。言うなれば"文化"なのですから。
つまり、一つの"お礼"の仕方なのです。日本のお中元やお歳暮の"付け届け"と本質的には同じなんだと思います。この季節(中秋節、十五夜ですね)ですと、月餅をプレゼントするという習慣があるのですが、ホントの"菓子折り"だけではうまくコトが進まないなのが、いまの中国です。"お礼"も歩合制でないと不公平なので、発注金額に応じたキックバックこそが、ホントの"お礼のしるし"と言う感じです。
そもそも、平等・公平と言うコンセプトが失われた共産国家ですから、現代中国には"稼ぎに応じて報酬を得る"という考え方が浸透しています。成果主義は当たり前です。営業マンから飲み屋の女の子に至るまで、稼ぎに応じた"歩合制"です。発注する側が、歩合でお礼を受けるのも論理的にはおかしくないのでしょう。

お役人、公務員、国有企業の社員がキックバックを受けるのは犯罪で、民間企業や外資系企業の社員がキックバックを受けるのは良い、なんてコトにはならないのですが、現実的には"取引きのあるところにキックバックが存在する"と考えたほうが良いでしょう。

中国で働く日本人管理者の対応は、フツー次のうちのどれかでしょう。

  1. 知らないふりをする --故意に見過ごす場合と、ウチの社員に限ってそんな悪さはしないと信じ切る場合と、まったく無頓着な場合があります

  2. 徹底的に糾弾する --キックバックの禁止、発覚したら処分といったやり方

  3. 最大限把握して認める --社員が受ける側なら比較的容易なのですが、会社としてキックバックを渡す側であると事情は複雑になります


日系企業が独自の販売網を作った場合、買い手に対するキックバック(良く言えばリベート)を中国流にアレンジしたり、会計上処理したりすることが困難なため販売成績が上がらない場合が多い、と言われます。日系企業にとって、キックバックを渡す側になることは、いまのコーポレイト・ガバナンスに照らし合わすなら限りなく不可能なことです。相手先が国有企業の方なら贈賄という犯罪になりかねませんし、何せキックバックを受け取って正式な領収書を出してくれる人はまず居ませんから...
ただ私の知る限り、日本の大手総合商社や電機メーカーあたりですら、かつては平気でキックバックを渡す側を演じていました。コンプライアンスとか企業統治とか声高に言われている現在はどうしているのでしょうか.....

ウチの会社の商いである広告業界も、中国では例に漏れずキックバックがいわば日常化しています。私としては、ここ数年どちらかと言うと上述3.の方向で対応してきました。仲介業みたいなものですから、受ける側にも渡す側にもなってしまいます。
もちろん日系の取引先に対しては、どちらも一切認めないようにしていますが、日本人マネージャーにゴルフや日本食でご接待することを考えると、形は変えても似たようなものだなぁ、などと思ってしまいます。まだ小さなお仕事しかいただいていないクライアントの方にまで、大きな取引先との接待と同じくらいお金がかかることも多いので、"歩合制"のキックバックのほうが合理的かもしれない、なんて思うことすらあります。

さて、こちらでは"ホエコウ"(回<手偏に口>=リベート)などとキレイに呼ばれたりするキックバックですが、私の8年近い中国経験からして、取引額の3-5%というのが相場なのだなぁ、と感じていました。そう考えると、このOECDのレポート、中国当局の協力が得られただけあって、かなり現実を捉えた内容になっているのかもしれません。





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Last updated  2005.09.13 00:07:10
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