80年代の “いかにもアメリカン・ロック”というアルバムと言えば、ブルース・スプリングスティーンの『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』を思い浮かべる人も多いかもしれない。大セールスを記録したお化けアルバム『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』は確かにその一例ではあるが、ストレートなサウンドでアメリカン・ロック然とした名作はこれと前後する時期に複数生まれている。ジョン・メレンキャンプ(当時はジョン・クーガー・メレンキャンプ)の『スケアクロウ』もそうだし、ヒューイ・ルイス&ザ・ニューズの『スポーツ』や『FORE!』もそれに該当する。こうした80年代アメリカン・ロックの流れの中で数えられる名盤の一つが、1986年にリリースされたボブ・シーガー&ザ・シルバー・ブレット・バンド(Bob Seger & The Silver Bullet Band)の『ライク・ア・ロック(Like A Rock)』である。