BLUE ODYSSEY

BLUE ODYSSEY

小話  屋台その2  VOL.141




さて屋台につれて来てもらったミルキーと由美。
多くの人ゴミをぬけて歩いて行きます。
するとミルキーはまたしても物売りの声を聞きました。

物売り「はい、”ヒヨコ”はいらんかね?かわいい”ヒヨコ”だよ!」

思わずその声に引き寄せられるミルキー。物売りの声のする方に行きます。
売られているのはかわいいヒヨコたちでした。水槽のようなところに入れられてました。
数は100匹ぐらいはゆうにいます。
それがいっせいに「ピヨピヨ」と鳴いています。

ミルキー「わーーーーーーーーー!!!アリスタン!これも欲しいよ!」



ヒヨコ「ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ!!」



ミルキー「かわいいなあ!アリスタン、これ買ってえ!」

アリス「ミルキーさん、お家には”モグモグ”がいるじゃありませんか?
もうヒヨコは飼えませんよ!」

ミルキー「そんなあ!これ、かわいいよ!アリスタン!これ買ってえ!」



ヒヨコ「ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ!!ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ!!」



アリス「ダメですよミルキーさん!ヒヨコばかり飼ってもしかたありません!!
それに飼ったら誰がお世話するんですか?」

ミルキー「ミルキータンだよ」

アリス「本当にお世話しますか?今モグモグのお食事を用意しているのは誰ですか?」

ミルキー「ううう!ミッ、ミルキータンがモグモグの食事を運んでいってるよ!」

アリス「でもそのお食事を毎日用意しているのは誰ですか?」

ミルキー「うううう!」

アリス「ミルキーさん、ペットといいますのは、お世話をしなくちゃいけないものなんですよ!」



ヒヨコ「ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ!!ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ!!」



ミルキー「イヤあ!これ欲しいよお!!ミルキータン、お世話をするから!」

アリス「本当にお世話を続けられますか?ペットは一度買うと死ぬまで面倒見なくてはいけませんよ!」

ミルキー「かわいいから!ミルキータン、めんどう見続けられるよ!!」

アリス「”かわいい”のは赤ちゃんのうちだけです。最初のうちだけなんです!
”モグモグ”もうちに来た時はミルキーさんは”かわいい、かわいい”と言ってましたよ。
最近は聞かなくなりましたが。」

ミルキー「ううう!
モグモグは今でもかわいいと思ってるよ!」

アリス「では”モグモグ”をかわいがってください。
もう”ヒヨコ”はいりません!」

ミルキー「そんなあ!」

アリス「さあ先に進みましょう!どうせ歩いているとまた別の”欲しい物”が出て来るんです。」

そう言ってアリスはミルキーを歩かせました。

ミルキー 「ウエエエエエエ~~~~~ン!!ウエエエエエエ~~~~~ン!!
アリスタンはミルキータンの気持ちがわかってないよ~~~!」

ミルキーはいつものようなセリフを言ってました。




すると、今度は別の屋台で……、
ミルキーはまたしても物売りの声を聞きました。

物売り「はい、”仔猫”はいらんかね?かわいい”仔猫”だよ!」

なんと、”仔猫”が売られていました。



仔猫「ニャ~~~~~~~!!!」



ミルキー「わああああああああああああ!!かわいい~~~~~~!
アリスタン!!これ買ってえ~~~~~!!」

アリス「ミルキーさん、お家には”モグモグ”がいるじゃありませんか?
ペットは一匹だけで充分です!!」

ミルキー「そんなことないよう!ミルキータン、仔猫も欲しいよう!買ってえ!」

アリス「ミルキーさん、”かわいい”のは最初のうちだけすよ!
すぐに成長して大人の猫になります!それでもミルキーさんは”かわいい”って言えますか?」

ミルキー「ウエエエエエエ~~~~~ン!!ウエエエエエエ~~~~~ン!!
かわいいと思えるよお!一生かわいいと思えるよお!」

アリス「信じられません。とにかく歩きましょう!どうせミルキーさんはまた別の”欲しい物”が出て来るんです。」

ミルキー「ウエエエエエエ~~~~~ン!!ウエエエエエエ~~~~~ン!!
そんなことないよお!
ウエエエエエエ~~~~~ン!!ウエエエエエエ~~~~~ン!!




アリスに手を引っぱられ、泣きながら歩いて行くミルキー。
すると、また物売りの声が聞こえて来ました。

物売り「”小人”さんはいらんかね?”小人”さんはいらんかね?」

ミルキー「え?”小人”?」

見ると屋台で身長がたった10センチ程度の”小人”が売られていました。

ミルキー「あああ!アリスタン、”小人”がいるよ!”小人”が!」






小話  屋台その2  VOL.142


その”小人”はまだ赤ちゃんのようです。ぺったりとおすわりしていました。
そして”人間のあかちゃん”みたいなかわいい顔をしていました。

ミルキー「わーーーーーーーーーー!!かわいい!かわいい!
アリスタン、これ、買ってえ!」

本当の赤ちゃんのようです。その動作はとてもぎこちなく、見る者の心をなごませます。

ミルキー「アリスタン、これ、買ってえ!買ってえーーーーーー!!」

アリスも”小人”というのは珍しいし、かわいいとは思いました。
でもお値段のことが気になります。

物売り「お客さんたちは運が良い。こんな時に来るなんて!
”タイムサービス”だ!今だけ”半額”にまけとこう!」

ミルキー「わーーーーーー!アリスタン!”半額”だって!」

「半額」ということに心奪われるアリス。

アリス「でもミルキーさん!本当に自分でお世話出来るんですか?」

ミルキー「できる!できる!」

アリス「お約束できますか?」

ミルキー「する!する!」

アリス「しかたありませんねえ。」




ミルキー「わーーーーーーーーーい!!
やったーーーーーーーーーーーーー!!!」



こうして一匹、オスの”小人”を買って帰りました。

ミルキー「わーーーーーい!わーーーーーーい!」

ミルキーは大はしゃぎです。

アリス「ミルキーさん、”小人”のお世話もいいですが、モグモグのお世話もちゃんとしてくだいね。」

ミルキー「はあ~~~~~い。」

アリス「お返事だけではけませんよ。」

ミルキーはとても喜んでいました。なのでアリスも嬉しくなりました。
ミルキーは”小人”の赤ちゃんを抱いて帰りました。




アリスたちはお家に帰って来ました。
お家の中では仕事から帰ったばかりのウサギさんがいて、上機嫌でニンジンジュースを飲んでいました。




ウサギ「ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク!





ぷはあ~~~~~~~~~!

ああ、うまい!よく冷えているなあ!仕事のあとの一杯はサイコーだ!」

ウサギさんはちょうど帰ってきたアリスたちに気付きました。

ウサギ「やや!今、お帰りですか?」

ミルキー「ウサギタン、ミルキータン、屋台で良い物買ってもらったんだよ」

ミルキーは背中に”小人”を隠していました。

ウサギ「へ~~~~。何をですか?」

ミルキー「”ペット”!」

ウサギ「へ~~~~。どんなペットですか?」

ミルキー「当ててみて!」

ウサギ「”ヒヨコ”ですか?」

すると部屋の中にいたモグモグがそれを聞いてがっかりした顔をしました。

モグモグ「ピ~~~~~~~~~~~~!」

ミルキー「ちがいます。」

ウサギ「じゃあ。”ハムスター”?」

ミルキー「ちがいます!!」

ウサギ「じゃあ、”仔猫”?」

ミルキー「ちがうモン!!」

ウサギ「まいりました。こうさんです。」

ミルキーは背中に隠していた”小人”を床に置きました。

ミルキー「ジャン!」

ウサギ「は?」

ミルキーは”小人”をウサギさんに見せました。するとウサギさんは……、



ウサギ「うっわあああああああああああああああ!!!」



ミルキー「どっ、どうしたの?」

ウサギ「こっ、これは”小人”?」

ミルキー「そう!」

ウサギ「ああああ!」

そう言ってウサギさんは顔に手を当てました。

ミルキー「どうしたの?」

ウサギ「いっ、いえ。あんまりその……、」

ミルキー「え?」

ウサギ「いえ、まあ、別に。」

なにか奥歯に物がはさまったような言い方です。ウサギさんにしてははっきりしない言い方でした。



とにかく、それからのミルキーは”小人”を見るたびに、

ミルキー「かわい~~~!!」

と言ってました。そしてミルキーは”小人”を抱っこしました。

ミルキー「ヨチヨチヨチ!」

その様子をモグモグが離れたところで見ていました。
そしてつまらなさそうに冷ややかな目を向けていました。

モグモグ「……………………。 ( ̄□ ̄)  」

モグモグは丸まって床に座っていました。
そのかっこうはまるで……、”ヒヨコまんじゅう”です。




とにかくアリスたちは”小人”にミルクを与えることにしました。

アリス「えーーーとミルクを飲ませなくてはなりませんね?
”ほ乳瓶”がいります。
さっそく買いにいきませんと。」

ミルキー「そうだよ。いるよ!買いに行こうよ!」

ウサギ「……………………。」

アリス「それと”粉ミルク”もいりますね?買いに行きましょう!」

ミルキー「うん!」

アリス「ではモグモグ、お買い物に行きますので付いて来てください。」

でもモグモグはプイッと顔をそむけました。

アリス「モグモグ?」

モグモグはふつうこんな態度を取りません。

モグモグ「……………………。」

アリス「モグモグ、買い物に行きますよ!ついて来て荷物を運んで下さいな!」

ブイッ!

やはりモグモグは顔を背けました。目が一本線のようになっています。

アリス「ミルキーさん、モグモグについてくるように言って下さい!」

しかし、ミルキーは、

ミルキー「かわいい!小人タン!」

と言って”小人”にほおずりしているだけでした。
それを聞いたモグモグは部屋の隅っこの方に行きました。

アリス「はあ~~~~~~!」

こんな事はあまりないです。ミルキーが”小人”ばかりをかまうのでスネているのでしょう。

アリス「しかたありませんねえ。」

アリスはしかたなくモグモグをおいていくことにしました。



こうしてアリス・ミルキー・由美は出かけました。
アリスはでかけにウサギさんが言った言葉が引っかかっていました。
ウサギさんはこう言ったのです。


***************************************************************************


ウサギ「”小人”にはあまりお金をかけないほうが良いと思いますよ。」


***************************************************************************






小話  屋台その2  VOL.143


それでもほ乳ビンはぜったい必要な物なのでアリスはそれを買いました。

アリス「計量カップやスプーンはお家にありますから。これだけで一応ことたりますね。」

ミルキー「じゃあ、アリスタン、早く帰ろうよ!!」

ミルキーにせかされてアリスたちは急いで自宅に帰りました。




そして、アリスは粉ミルクを使ってミルクを作ります。
ビーカーにお湯を入れ、粉ミルクをかくはんしました。
それをほ乳ビンに入れて”小人”に与えますと……、

小人「ゴクゴクゴクゴク!」

ミルキー「わわわわ!アリスタン!見て見て!飲んでる!飲んでる!」

小人はまだまだ赤ちゃんの体型でした。ですが両手でほ乳ビンをしっかりと持って飲んでいました。

小人「ゴクゴクゴクゴク!」

ミルキー「しっかり飲んで、大きく育つんだよ!」

アリスたちはそのほ乳ビンでミルクを飲む”小人”の姿に癒されていました。

由美「きゃあああああ!!かわいい~~~!」



一方その頃モグモグは……、

モグモグ「……………………。 ( ̄□ ̄)  」

まったくふてくされていました。
そしてすっかり静かになっていました。でもミルキーはそんなモグモグに気づきもしません。

モグモグ「……………………。」

由美も”小人”を気に入っていました。
そこへニセアリスが帰ってきました。
小人が赤ん坊のように見えたのでしょうか?







ニセアリス「うわあああああああああああああああああああ!!
なんだ?なんだ?誰の子だ?」







と、非常に驚いて言いました。
するとミルキーは小人を抱き上げ、

ミルキー「”ミルキータンの”!」

と言って”小人”にほおずりしました。すると、








ニセアリス「ひええええええええええええええええ~~~!!!」








と、再び叫び、床にしりもちを着きました。

ニセアリス「うわあああ!やっぱりオマエはそんな年齢だったのか?
思ってたとおりだ!恐ろしい!
妖怪だ!妖怪ーーーーーーーー!!」

と、ミルキーに言いました。
でもどうやらいつもの悪ふざけではなく、本当に勘違いしているようです。
なので、アリスがすぐに、

アリス「それは屋台で買って来たミルキーさんのペットの”小人”さんです」

と説明しました。
するとニセアリスは

ニセアリス「……………………。なんだ。」

と言い、平静に戻りました。
そしてしばらくしますと、

ニセアリス「そうか!するとこれが新しい”ペット”ってワケか?」

と、言い、ニセアリスはうなずきながら”小人”を見ました。そして、

ニセアリス「じゃあ、こっちの古いペットはもう”用済み”ってわけだ!」

そう言ってニセアリスはゆっくりと首だけを回し、モグモグの方を向きました。

ニセアリス「ニヤリ!」

モグモグ 「ギクッ!  Σ( ̄□ ̄;)  」

ニセアリス「くくくく!
すると、チミはこからどうするのかなあ?
用済みになったペットは処分しなくちゃならないってことだな?」

そう言ってニセアリスはモグモグに迫ろうとします。







モグモグ「ピィーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」







モグモグは逃げました。







ニセアリス「けっへへへへへ!さあ、こっちゃこう!」






そう言ってニセアリスは逃げるモグモグを追いかけ始めました。







バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!








モグモグ 「ピィーーーーーーーーー!」








ニセアリス「けっへへへへへ!
ここにはもうオマエの居場所はないんだ!
唯一居場所があるとすれば、それは……、








アタシの胃袋の中だーーーーーーー!!!」








いつもの行き過ぎた悪ふざけが始まりました。
ニセアリスはモグモグを壁際に追いつめました。
でも誰も助けに来てくれません。
かわいそうにモグモグはこのダブルパンチに泣いていました。

モグモグ「ピーーーーーー!ピーーーーーー!」

ニセアリス「ぐへへへへへへ!」

モグモグのピンチです。その時、いつも助けてくれるハズのミルキーはと言いますと……、

ミルキー「小人タン、かわいい~~~!」

と”小人”をあやしているだけでした。

モグモグ「……………………。 ( ̄□ ̄;)  」

ミルキーの方を見ていたモグモグ。油断していました。




ニセアリス「スキあり!!」




そしてニセアリスはそのモグモグの黄色い羽毛にかじりつきました。







パクッ!






モグモグ「ピィ~~~~~~~~~~!!!」







バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!








ニセアリス「けへへへへへへ!」

でも、モグモグが悲鳴を上げているにもかかわらず、誰もモグモグの方を見ません。

ミルキー「はあ~~~!アリスタン!
小人タンは今、ミルキータンの方を見たよ!」

アリス「ええ、そうですね!」

みんな”小人”を見ていました。








モグモグ「ピピーーー!!」







モグモグに取っては災難です。







それから、1日が経ちました。

小人「うみゃあ!うみゃあ!」

ミルキー「アリスタン、小人タン、なんて言ってんだろ?」

アリス「さあ?まだよく喋れないみたいですよ。」

ミルキー「”ミルキータン”って言おうとしているんだよ!」

アリス「そうだといいんですけどね?」



モグモグ「……………………。」









そして、”小人”を買って来た日から3日経ちました。







小人「みっ、みるき!」


小人が言葉を喋りました。

ミルキー「はわわわわわわ!アリスタン、今の聞いた?
小人タンがミルキータンの名前を呼んだよ!”ミルキー”って言ったよ!!」

アリス「ええ!そうですね!確かにミルキーさんの名前を呼んだ気がします。」

そしてアリスも思わず、

アリス「じゃあ、私は?」

と小人に言いました。すると……、

小人「あっ、ありす!」

アリス「きゃああああああああああああ!!!」

由美「じゃ、じゃあ、私は?」

小人「ゆみ!」

由美「きゃあああああああああああああああああああああああ!!!!

ミルキー・アリス。由美はとても喜びました。
その様子をモグモグが離れた所から見ていました。

モグモグ「……………………。 ( ̄□ ̄)  」






小話  屋台その2  VOL.144


アリスたちは”小人”と遊んでいます。その様子をモグモグはぼうせんと見つめていました。もはやニセアリスの悪ふざけによってグシャグシャになった羽をつくろうこともしません。
それをまたニセアリスがからかいました。
立ち尽くすモグモグの背後からさりげな~~~く、こんなことをつぶやきました。

ニセアリス「まあ、”ペットの運命”とはしょせんそんな物だ。
新しいペットが家にやって来れば、前からいたペットにはもう興味はなくなる。
そんなものさ!それが”ペット”というものだ!あきらめろ!」

モグモグはハッとしました。

ニセアリス「用済みのチミはいずれ”処分”される運命だ!
ここはひとつ、男らしくみずから進んで鍋に入るんだ!せめて最後を飾れ!」

ニセアリスはモグモグの前に大きな鍋を置きました。






デン!






ニセアリス「さあ、入れ!」







モグモグ「ピピ~~~~~~!!」








そして、”小人”を買って来た日から4日が経ちました。






”小人”は小さな子供のように成長していました。
そしてミルキーのおままごとの相手としてつきあえるまでになっていました。
まるでお猿さんのように器用に食器を手にしました。
ミルキーは小人のためにいっしょうけんめいネンドをこねて料理を作りました。

ミルキー「ミルキータンが心を込めて一生けんめい作った”焼きドーナツ”だよ!さあ食べて!」

”小人”はそのネンド細工のドーナツを食べるマネをしました。
それを見てミルキーは大変喜びました。

アリス「まあ、小人さんはやさしいですね。
では今度は本物のドーナツをあげましょうか?」

ミルキー「あ~~~~!ダメダメダメ!それはダメ!」

と、ミルキーは言いました。アリスの作ったドーナツはとてもおいしいので、それを食べた”小人”がアリスのドーナツしか食べなくなるのを恐れたのです。

ミルキー「ダメダメダメ!小人タンのお食事の世話はミルキータンがするんだよ!」

アリス「まあ、いいじゃありませんか?」

ミルキー「ダメダメダメ!!なに言ってるの?!
小人タンはミルキータンがお世話することになってたじゃない?!アリスタンがそう言ったんだよ!だから小人タンにはミルキータンの作った物をあげるんだよ!わかったあ?」

アリス「はいはい、わかりました。」

でも結局おやつの時間になりますと、みんなでアリスの作った本物のドーナツを食べることになりました。
アリスが手でドーナツを”小人”にあげようとしますと、ミルキーが

ミルキー「ダメダメダメダメ!それはミルキータンがあげるんだよ!」

と言ってききません。いちいちミルキーが手渡しでないと”小人”には食べさせないようです。

アリス「はいはい。」

それでミルキーがドーナツを手に取って”小人”に与えました。するとそれを受け取った”小人”はおいしそうにドーナツを食べ始めました。わっかの部分を大きく口を開けてほおばりました。

小人「パクパクパク。」

その仕草・笑顔にミルキーは満足しました。そして由美も、

由美「わーーーーーーーーーーーー!かわいーーーーーー!」

アリスたちはもう”小人”さんに夢中でした。
一方………、

モグモグ「 ( ̄□ ̄)  」

まるでモグモグは「ヒヨコまんじゅう」状態のまま動きませんでした。

ニセアリス「おい!首の後ろにクモの巣がはってるんじゃないか?」

ニセアリスからそう言われても、モグモグはもはや動きませんでした。
そんなニセアリスはモグモグの目の前で「エアー鶏料理」の実演を始めました。

ニセアリス「さてと、おいしい鶏料理の作り方だ!
まずはこれに添える”野菜炒め”を作る!」

ニセアリスはフライパンで野菜炒めを作るマネをしました。







ガタン!ガタン!ガタン!ガタン!







大げさにプライパンで具を返すマネをしました。







ガタッタン!ガタッタン!ガタッタン!ガタッタン!







ニセアリス「さてと。野菜炒めはこれで出来た。
ここでメインの食材の登場だ。
”しめた鶏”をくわえる!」

そう言ってニセアリスはフライパンを置き、モグモグに襲いかかりました。








ニセアリス「がお~~~~~~~~~~~!!!」








モグモグ「ピピィ~~~~~~~~!!!」











そして、”小人”を買って来た日から5日が経ちました。




小人「ミルキータン、ボク、お腹すいた!」

なんと”小人”の容姿は人間の子供ぐらいに成長してました。
そしてもうかなりしゃべれるようになっていました。
食事はアリスが用意しました。
”小人”には子供用の食器が使われました。それは子供が好みそうな絵が描かれていました。そこにアリス自慢の料理が盛られました。

小人「ボク、キュウリは食べられない。」

アリス「いいですよ。ムリに食べなくても。残して下さい。」

小人「ミルクをもう一杯ほしいんだけど。」

アリス「はい、どうぞ!」

ミルキー「ちょっと待ったあああ!!それはミルキータンが渡すんだよ!
そう言ってたじゃない!」

アリス「はいはい。じゃあ、ミルキーさん、小人さんに渡して下さいね。」

みんな”小人”にはやさしいです。






小話  屋台その2  VOL.145


そして……、

アリス「じゃあ、”小人”さん、お食事が終わったら”お皿洗い”を手伝ってくださいな?」

と言いました。

ミルキー「ダメダメダメ!アリスタン、小人タンは今からミルキータンと遊ぶんだよ!」

アリス「そんな、ミルキーさん!お食事を作ってもらったんだから、後片付けのお手伝いするのは当然のことです!」

ミルキー「小人タンはまだ”赤ちゃん”なんだよ!まだお手伝いするのは早いよ~~~!
小人タンはミルキータンと遊ぶんだよ!」

アリス「まーーーーーー!!!」

由美「私が小人さんの代わりにお皿を洗います。」






その様子を離れた場所からモグモグがさめた目で見ていました。

モグモグ「……………………。」


ミルキー「さあ、小人タン!ミルキータンと遊ぼう!」









そして、”小人”を買って来た日から6日が経ちました。







アリス「さあさあ、みなさんお食事ですよ」!

そう言われて、”小人”は床に置かれた背の低いテーブルの所にやって来て、きちっと正座して座りました。

アリス「まあ、”小人”さん、お行儀が良いです。おりこうさんですねえ?」

アリスからそう言われて”小人”はテレました。

アリス「今日は特製のお子様ランチですよ!たっぷり召し上がれ!」

小人「わ~~~~!!」

アリスは料理の腕をふるっていました。
そこにはいろいろな動物の形に切った具材がいっぱい入っていました。
食べるのがもったいないと思えるぐらいきれいです。

アリスからすすめられて、”小人”はお皿の上の料理をフォークで突き刺しました。
それをお口に運びます。









パクッ!









アリス「どうですか?小人さん、お口にあいますか?」

小人「はい!」

アリス「おいしいですか?」

すると”小人”は頬を赤らめ、はずかしそうに小声で、

小人「おいしい。」

と言いました。

アリス「うれしい!」

ミルキー「じゃ、じゃあ、今日はお食事が済んだら、小人タンはミルキータンとままごとしよう!!」

ミルキーが変にアリスに対抗しようとしました。



楽しそうなアリスたち、それに引き替えモグモグにはストレスがかかっていました。

モグモグ「……………………。」

それにニセアリスが追い打ちをかけます。
モグモグの前で”料理本”を広げながら、

ニセアリス「さてと、おいしい唐揚げかフライドチキンの作り方はないかな?
唐揚げはカラッと揚げるのがいいんだよね?カラッと!」

かわいそうにモグモグには全く元気がなくなっていました。
そしてやっとそれにアリスが気付きました。

アリス「まあ、モグモグ、大丈夫ですか?」

アリスは大きなバスケットにモグモグを入れました。
でも、ミルキーはそれに気づきません。

アリス「かわいそうに。
ミルキーさん、もうちょっとモグモグに気を使ってください。
モグモグがさみしがっていますよ。」

しかし、ミルキーはそれを上の空で聞いていました。

ミルキー「ミルキータンは小人タンとおままごとの約束があるんだよ。それが終わったらモグモグのめんどうを見るよ!」

ミルキーがモグモグの方を見ますと……、

ニセアリス「うまそうだな。このまま”生”で食べるのか?」

と、言ってニセアリスがモグモグの身体に噛みつきました。









パクッ!








モグモグ「ピピーーー!!」









バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!バッサッ!








それが、ミルキーの目にはモグモグが元気に遊んでいるように見えました。






小話  屋台その2  VOL.146


そして、”小人”を買って来た日から7日が経ちました。








小人「ねえねえ、ミルキー、テレビゲームやろうよ~~~!」

なんと”小人”はすでにテレビゲームが出来るまでに成長していました。

アリス「ほんとにすごい成長ですね。」

ミルキーやニセアリスがいつもやっているテレビゲーム。それはパソコンでゲームをするものでした。
ミルキーは子供なので普段からけっこうゲームにハマっていますし、ニセアリスも同じくゲームにハマるのですが、ニセアリスは以前「およそミルキーにはやぶれそうにない最高得点をマークしてから」というもの、すっかり勇者気取りでゲームはあまりしなくなっていました。
最近はもっぱらマジメにゲームをしているミルキーをからかうことしかしてません。なので、今はニセアリスはゲームプレイをサボっており、その腕前は落ちているように思えました。



ウサギさんはモグモグのことを心配していました。

ウサギ「やはり、ストレスが原因でしょう!
もっとモグモグを大切にしませんと!」

しかし、ウサギさんがミルキーの方に目を移しますと、
ミルキーは”小人”と遊んでいました。

ミルキー「まだまだミルキータンの腕にはかなわない!」

小人「くやしいなあ!」

ミルキー「わははははははは!」

アリスは食事の用意などがありますので一日中モグモグのそばにいることはできません。
それにウサギさんは仕事に出かけて行きました。
なので今はモグモグは1人です。
ミルキーにかまって欲しいのにそのミルキーときたら……。

ミルキー「きゃははははははは!小人タンやるう~~~!」


モグモグ「……………………。 ( ̄□ ̄)  」

モグモグはすっかり元気をなくしていました。
するとニセアリスが大きな虫取り網のような物を持って、ソロリソロリとモグモグの背後から近づいて来ました。




ソロリ、ソロリ……、




そして……、
大きな網をモグモグの身体にすっぽりと被せました。





ズボッ!





ニセアリス「くへへへへへへへへへへ!つ・か・ま・え・た・あ~~~~~!!」





これは”追い打ち”です!”追い打ち”以外の何者でもありません!





ニセアリス「もはやチミはどこへも逃げられないぞおおおおお!!!
くはははははははははは!」

ニセアリスはおもしろがってモグモグをからかい続けました。
しかしモグモグにはもうニセアリスの相手をする気力も残っていませんでした。  
モグモグ「……………………。」

ニセアリス「ひひひひひひひひひひ!」

モグモグにとってニセアリスはまったくおもしろくない存在でした。
ニセアリスがやって来ても「それは誰かがモグモグのことをかまっている」ことにはなりません。
モグモグは寂しい思いをしていました。
アリスはずっとキッチンに行っており、その姿は見えません。
キッチンからはアリスの料理をする音が聞こえていました。








そして、”小人”を買って来た日から8日が経ちました。






ミルキー「わあ~~~~~~!
ついにこれまでのミルキータンの最高得点20万6000点が抜かされよ~~~~!」

ミルキー・由美・”小人”はまたまたゲームに興じていました。

由美「小人さんはすごいですね?」

”小人”はミルキーのこれまでの記録をあっさりと抜き去りました。
それはミルキーが何度も何度も練習してやっとの思いでたたき出した記録でした。

ミルキー「やっぱり小人タンは持ってる!」

ミルキーは今流行りの言葉を使って”小人”の腕前をほめたたえました。

すると、それを聞いたニセアリスが、

ニセアリス「なに?『アンデッドモンスターハンテイング』の点数が抜かされた?
ははは!おこちゃまの20万程度の点数なんてすぐに抜かされて当然だ!

だが……、
アタシの”40万飛んで20点”は永遠に抜かれる事はない。」

しかし、その後も”小人”はモニターの前に座ってゲームを続けました。

アリス「そろそろ”お昼”ですよ!さあ、みなさんご飯にしましょう!」

すでに由美も”小人”のしているプレイを魅入っていました。
”小人”は小さいながら床に置かれたジョイステックを巧みに操り、まったくといっていいほどミスをせずにプレイを続けていました。

アリス「食べないと身体に毒ですよ!」

小人「すみません、アリスさん。
もう少しこのゲームに集中していたいんです!」

”小人”は画面の方に集中しながらアリスにそう言いました。






小話  屋台その2  VOL.147


アリス「いけません!ゲームはいったん置いといて、食事の方を先にしてください!!」

ミルキー「アリスタン!今いいとこなんだから!」

そう言ってミルキーも由美も食べようとしません。

アリス「……………………。」





夜になってウサギさんが仕事から帰って来ました。
そしてモニターの前に張り付いているミルキーたちを見ました。
ミルキー、由美、そしてその背後からニセアリスさえもモニターをのぞき込んでいました。
いったいなんだろうと思ってウサギさんが見てみますと……、

なんとその奥で”小人”がゲームをプレイしてました。

ウサギ「(はああああああああ!!!)」

しかも、子供が”ゲームで遊んでいる”ようにはまった見えません。もはや子供がゲームをしている感覚ではなかったのです。それは明らかに「何かに挑戦している姿」でした。
その熱気がウサギさんの所まで流れて来ます。

ウサギ「ううっ、これはいったい…?」

アリスがウサギさんの為にニンジジュースをいれて来ました。

アリス「はい、小人さんはゲームが得意のようで、なんでも今……、」

ミルキー「すごいよ!小人タン、すごい!
これはゾーキンの出した最高得点を抜くかもね?!」

それを聞いてニセアリスがあわててモニター画面をのぞき込ました。
そしてニセアリスは無言になりました。

ニセアリス「……………………。」

ミルキー「がんばって!小人タン!」

ウサギ「……………………。」

ミルキー「ゾーキンの出した得点なんか今日中に抜いてしまうよ!」

ニセアリス「アタシの出した得点は”神の領域”に近づいた者のみが出せる得点だ!
一般人にそんなに簡単に出せるモンじゃない!」

ミルキー「小人タンはその辺のプレイヤーとはワケが違うんだよ!」

ニセアリス「そんなワケはない!あの記録がやぶれるワケがない!」




誰も食事を取らずに2時間経ちました。
そしてついに!

ミルキー「わーーーー!すごい!
ねえ、ねえ、見てアリスタン、
小人タンがついに『アンデッドモンスターハンテイング』で最高得点をマークしたよ!
ゾーキンの出した最高得点を抜いたんだよ!」








ニセアリス「あちゃあああああ~~~~~~~~~~~~~!!!」








ニセアリスは頭を抱え込んでその場に崩れ落ちました。
ニセアリスのこんな姿を見ることは普通できません。

ミルキー「ホントすごいよ!小人タンはすごい!
いままで”サボリ屋”のゾーキンの記録がなかなか抜けなくて、イライラしてたんだよ!
今日は気分ソーカイ!!」

ニセアリス「誰が”サボリ屋”だ?!ゴラア!!」




その様子をウサギさんは複雑な表情で見つめていました。




アリス「ニセアリスさんの点数を小人さんが抜いたのですか?」

小人「こんなのかるいです!」

アリス「すごいですねえ!”天才”です!」



モグモグ「……………………。 ( ̄□ ̄)  」

あいかわらず調子の悪いモグモグ。離れた場所でその会話を聞いていました。
もはやアリスさえ、みんなの輪の中に入って”小人”のゲームの腕前をほめていました。



小人「アリスさん、お食事をいただけますか?」

”小人”がやっと食事をするようです。
もうお昼をかなり過ぎていました。
すると、これまで食事を取らなかったみんなもテーブルにつきました。








© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: