2024/09/16
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★忘備忘却録/きょう(狂)の過去帳
◆ 海のかなたに夜逃げするためメイフラワー号がイギリスを後にする(1620年)。 ◆ メートル法強制一辺倒だった日本政府が、渋々ながら尺貫法の使用を認めざるを得なくなる(1977年)。即ち、曲尺・鯨尺の製造販売を許可。 ◆ 日本国有鉄道がようやく日本一のお荷物路線=美幸線=をスクラップ(1985年)。
【 彷徨癖者/如水の愛犬 “ハクとココ”が悲嘆・感嘆 / 令和5年09月16日】

「家電王国ニッポン」はどこへ? =後節=
欧州最大の家電見本市から消える日本メーカー、業界リーダーの盛衰 
=Wedge_Online 【Wedge REPORT】 2024年9月13日
関口和一( MM総研 代表取締役所長)



トルコのベステルが 日本ブランドを代わりに展開 
 さらにもうひとつ注目されるのが会場東に巨大ブースを構えるトルコのベステルだ。もともとドイツや日本の家電メーカーの受託製造を担っていたOEMメーカーだったが、自社ブランドの「Vestel」で商品展開するようになり、さらにはドイツや日本、韓国などのメーカーからブランド使用権を取得し、様々なブランドで製品を販売している。ベステルのブースを除くと、「TOSHIBA」や「SHARP」、韓国の「DAEWOO(大宇)」、ドイツの老舗メーカー「Telefunken(テレフンケン)」といったブランドの商品が隣り合わせで並んでおり、下請けメーカーが発注元のブランドを取り込んでしまった格好だ。

 英調査会社インフォーマテックのハイテク調査部門「OMDIA(オムディア)」の調査部長を務めるポール・グレイ氏は長年、IFAを取材してきたというが、100年の欧州家電の歴史をこう分析する。「最初は日本メーカーがドイツのメーカーを追い落とし、次はその日本メーカーを韓国メーカーが追い上げ、今度はトルコや中国のメーカーが主役に立とうとしている。その意味ではドイツの家電メーカーが消えていったように、今度は日本のメーカーが消えていく、残念ながらそういった輪廻なのかもしれない」という。

 中国やトルコなど新興メーカーの台頭を受け、ブランド使用権を最も分散してしまったのが経営危機に瀕した東芝やシャープだ。東芝は欧州でのテレビのブランド使用権をベステルに供与しただけでなく、テレビ事業自体を中国のハイセンスに売却し、白物家電は中国の美的集団(Midea)に譲渡してしまった。会場を歩くとあちこちに「TOSHIBA」ブランドの商品コーナーがバラバラにあるのは何とも異様な感じだった。

 シャープは会社自体を台湾の鴻海精密工業に売却してしまったが、それ以前の経営が苦しい時期に白物家電のブランドはベステルに供与し、北米のテレビ事業はハイセンスに売却、欧州のテレビ事業はスロバキアの新興メーカー、UMCに売却してしまった。ところが鴻海の傘下に入ったことでUMCを会社ごと買い戻すことができた。IFAに設けた商談ブースがクローズドだったのは、そういった事情からテレビなど一部の商品ラインナップしかなかったということも理由だったという。現地のオーディオビジュアル(AV)事業を任されている現地法人の金森恒明副社長は「今後はできれば手放したブランド使用権をすべて取り戻し、以前のような幅広い商品展開ができるようにしたい」と語る。



「AI」と「サステナビリティ」が 今回の2大展示テーマに
 欧州の家電市場における日本メーカーの凋落はこれまで説明した通りだが、今回のIFAに展示された家電製品についていえば「AI(人工知能)」と「サステナビリティ」の2つが大きなテーマだった。2022年11月に米オープンAIが生成AIの「ChatGPT」を発表して以来、テキストや音声でAIを操る動きが加速している。家電分野では以前からアマゾン・ドット・コムの「Alexa(アレクサ)」やグーグルの音声認識技術などを導入する動きが進んでいたが、そこに生成AIを取り込もうという動きだ。さらに家電同士をネットワークでつなぎ、AIで制御しようという試みも加速している。

 そうした取り組みをリードしているのが韓国のサムスン電子やLG電子で、サムスンは独自の音声認識技術「Bixby(ビックスビー)」にAIを活用して家の中の家電製品をすべて音声で操れるようにした。また見張り機能や映像表示機能を持ち自動で動き回れるペットロボットの「Ballie(ボーリー)」を投入する一方、家庭内の電気製品をネットワークでつなぐ「SmartThings(スマートシングス)」の普及に力を入れようとしている。これまでのスマートフォン中心の家電の進化に加え、白物家電が生成AIの登場によって新たに生まれ変わろうとしている。

「修理する権利」が 欧州家電の目指すべき新しい方向に
 サステナビリティに関していえば、欧州で今、注目されているのが「Right to Repair(修理する権利)」の法制化の流れだ。家電製品を使い捨てにせず、修理することで長く使おうという動きで、それに敏感に反応したドイツの老舗メーカー、ミーレ(Miele)はネジを一本も使わずに組み上げた掃除機を発表、壊れた部品を簡単に取り換えられるようにした。創業者一族出身のラインハード・ジンカン代表取締役は「モノを大事に使えるようにするサステナビリティ戦略こそがメーカーの信頼につながる」と強調する。



 環境対応に熱心な日本のパナソニックも「カーボンニュートラリティ」と「サーキュラーエコノミー」を経営課題に掲げ、新たに「プロダクト・アズ・ア・サービス(PaaS)」という戦略を打ち出した。壊れた製品をメーカーが引き取り、必要な修理をして消費者に戻し、新たな保証をつけるという内容だ。パナソニック・マーケティング・ヨーロッパの片山英樹社長は「ウクライナやパレスチナの問題を受け、欧州ではエネルギーやサプライチェーンのコストが上がっており、人々の間に家電製品を大事に使おうという流れが広がっている」と述べ、そうした戦略を導入した背景を解説する。

 修理する権利については主催者であるIFAマネジメントのリントナーCEOも「家電業界全体が取り組まねばならない大きな課題だ」と指摘する。しかし、容易に修理できるようにするには製造コストが上がるし、勝手に修理されれば安全性の問題も生じることから「ポリティカル(政治的)な要素も見過ごしてはならない」という。欧州全体が一気にその方向に向かうかどうかはわかないが「IFAとしても真剣に取り組んでいく」と語った。

 今回は欧州の家電市場における日本メーカーの復権を期待しつつ会場に足を運んだが、そうしたシナリオはもはや遠のいたというのが残念ながら現地取材から得られた感想だ。ソニーは家電見本市のIFAへの出展はとりやめたが、IFAが閉幕した3日後にオランダのアムスデルダムで開かれる国際放送機器展の「IBC2024」には出展するという。

もはや一般消費者向けの家電製品は韓国や中国、トルコのメーカーに任せ、自らはプロフェッショナルな分野に専念していくというメッセージともとれるが、かつて「家電王国ニッポン」の名をほしいままにした時代を知る筆者としては、そうした時代の変遷にいくばくかの残念さと寂しさを禁じ得なかった。



・・・・・・・完・・・・・・・・
○◎ ○◎    ◎ ◎ ◎   ◎○ ◎○ ◎○ 
古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。
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Last updated  2024/09/16 05:08:08 AM
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