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(4)蝉の抜け殻…
プロフィール(4)-「蝉の抜け殻の様になった私は…」
10月10日(祝日)
私は経済的苦境を乗り越える為に車を一台廃車にしました。
車検期日がくれば費用に7万以上かかります。
任意保険は1年に一度の更新で、毎月数千円掛け続けることになります。
ガソリン代は、家(うち)では月約1万円です。
税金は7000円でしたっけ?軽自動車…
これらと決別すれば、少しは家計が助かる事はいうまでもありません。
でもそれと同時に不自由な日々を過ごすようになります。
それを乗り越えさえすれば、問題ないのです。
家にはもう一台普通車があります。
これでまかなう事にすればいいのです。
ですから、1台を夫婦で使えば問題はありません。
都会に住む人にすれば、車はそんなに必要ではないかも知れません…
地下鉄が早くて便利で経済的ですから。
しかし田舎に住む人は車がないと不便です。
鉄道駅に近い方は便利ですが、家のような山間部では車は必須です。
ですから、悩みましたが、何か大きなものを削らない限り、家計は成り立たないので、思い切って廃車にしたのです…軽(自動車)を一台。
今では、新しい恵みを受けることが出来るようになりました。
その事によってです。
それを少し伸べてみたいと思うのです…
前置きが長くなりました。
私が住む街には数人の方が同じ会社に勤めているのです。
それで、帰宅する折、一緒に載せて頂ける方がおられれば、お願いして同乗させて頂く事にしたのです。
最初は、女房に電話をかけて迎えに来て貰っていたのですが、そのうちコースが帰路同じ人に便乗する事を思い付きました。
昔でしたら 昭和30年代は、当り前でした。
むしろ自動車を所有した喜びを他人と共に喜びたい、または自慢したいということで横の席に誘われたものでした。また、近所の人たちを誘って遊びに行ったものでした。これは車が少ない時代の事です。
TVも同じでした。
TVのあるお宅にお邪魔して見せて頂く事が無いものがする行為だったのです。
「お邪魔」と書きましたが、最初はそうでは無かったと思います。
自慢したい側とそれを賛美する間柄だったのです。
また、経済的にゆとりのある家庭が無い家庭にたいする公徳的行為に過ぎませんでした…多分。
でも、そのうち家だって負けずにと思い、お金を貯めてTVを買ったのです。
それは、高度成長期だけに、頑張れば経済的に恵まれる時期だったのです。
今は違いますが。
また、TVがある無いということで、上下関係ができてしまい、子供の間で馬鹿にする、馬鹿にされるという関係ができたりして、「道徳」という学校の授業でも取り上げられて、差別してはいけないと教えるまでに至るようにもなりました。
しかし、そんなマイナスなように事を捉えたのでは長続きはしませんし、自分にとっても損です。ものは「捉(とら)え様(よう)」です。
…いや、でした。
私はこの歳になって、こんなに貧乏して他人の助けを借りようなどと、二十代や三十代では想像しなかったことでした。
がしかし、現実は現実、生きるためには法律に引っ掛からないければ、たいてい何でもありです。
いやいや、法律などには全くかすりさえしません。
問題は自分のプライドが許せるかどうかでした。
私の場合には、関係ありませんでした。
むしろ、このことによって、精神的にも実は充実させて頂いたのです。
といいますのは、私は元来人間関係の希薄な世界で生きてきたのです。
ですが、このことにより、私はそうでは無くなりつつあり、とても精神的に満たされつつあり、生きている喜びさえ感じ始めているのです。
つまり、会社の人々、つまり後輩、先輩、同僚…これらの車に同乗する事により、私は彼らの弟子の様になります。僕(しもべ)のようになります。
私の主張はあっても彼らの主張が一番にならないと、以後お付き合いできない世界がそこに形成されるわけです。
車中は、車長が社長の様に我儘なものです。
車長とは運転手、つまりドライバーです。
(社長にかかえられた運転手…という関係とは別個の世界ですからお間違いなく)
そうして、その方の本当の人生観を車中の会話の中から少しずつ理解できるようになるのです。今まで、余りにも知らなさすぎたということでしょうか。
車中とは、余りにも狭い個室です。
その中で、人間の本音というものが、実は出やすいものである性質上、人間関係をその後、良質に形成させてくれました。
いうまでもなく、他人でありながら家族に匹敵するくらい、私と車長の関係は大事な間柄に変貌しつつありました。
そして「感謝する」事を一杯することで私という人間は幸せになりつつありました。
それは恩を頂く事で、恩を返さねばならない状態になりますが、それは私にとって求めていた事でした。
幸福を得るには、私が人生を振り返った時、足りなかった内容でした。
「感謝する場面」を多く持たないと、人間は幸せにはなれません。
感謝することで、マイナスが多く出来ると錯覚していたのがこれまでの自分でした。ある程度歳をとったものがペコペコ頭を下げる事には抵抗があったのです。
それは間違いであると思ったのです。
ですから、私は進んで感謝する場面をたくさん沢山持とうと努力しはじめました。
その意欲があるので、便乗する恥ずかしさは微塵もありませんでした。
まわりでは、笑うものもありましたし、心配して帰る方向が違うにもかかわらず、連れて帰ってあげようと声を掛けてくれる人も出てきました。
しかしそこまでの迷惑はかけられません。
出来るのは、同じ帰路途上にある人々にお願いする事だけでした。
勿論、私を嫌いな人には頼みませんでした。
頼めば、喜んで受け入れてくださる方だけです。
私は、女房の田舎から送ってきたメロンを一つずつ袋に入れて、帰路、足になって下さった方々の家を訪問して感謝の気持ちを伝えて来ました。
ある宅では、上半身裸でした。
彼は今50代ですが、この数年前に車の営業の世界から、リストラされて私達の会社にやってきました。聞くところによると20代のときに、誤解されて職場を追われて退職した過去を持っていました。
今は、地域の卓球クラブの理事をしながら青少年を健全な社会人へと導いておられるのです。
またある宅は、私の様に幼い子供を抱えながら、将来を心配するといった家庭でした。
また、ある家庭では、家のローンをあと1000万円かかえていました。65歳を越えておられるのに。死んだら保険が降りるので、生きて返せれば良いし、返せなければ、保険があると、胸を張って笑う先輩でした。
朝、仕事始めには昨日のお礼にホットコーヒーをカップベンダーで買って来て飲んでもらいお礼を述べました。
そんな恩返しが、また、私を幸せにしてくれました。
生きている実感を得る事が出来たのです…
私は、経済的苦境に陥ることで、こんな素敵な経験を積む事が出来ました。
ん?どんな事ですか??
あーすいません…詳しさが足りませんでした…
私はそれまで精神的にも空白、空洞状態でした。
人間的パワーがゼロ状態で、生命力を感じさせられない、「死人」状態ではなかったでしょうか。
それは、仕事で売り上げを延ばす為に、寝ることを極端に抑えて4時間睡眠まで合理的な成功手段に手を伸ばし、年甲斐もなく、仕事に没頭したあげくの事でした。
口も開かず、ただただ仕事に没頭して、頭の中は「真っ白」でした。
実はろれつが回らないくらい、脳の中を流れる血液は狭苦しくなった血管を右往左往していたのです。
肝臓も時折、ピクピク、チクリチクリと針で刺すような感触を受けていたのです。
気が付くと、病魔が目の前まで来ていました。
それ以上すると、体を壊し、努力さえ出来ない壊れたプラモデルの如く、価値の無いものとなり…それ以上に、家族の手助けなしには生きていけない人間になっていたかも知れなかったのです。
今の年齢では、家族の為に頑張るのが当り前の年齢です。
それが、そうではなくなったら、とっても情けないでしょう。
私は、「空白」でした。
精も魂も尽きていました!
死んでいるとある者は、私を表現していました。
私もそう思いました。
でも、周りの方々により、生命を蘇えらす事が出来ました。
私は人生での長距離走者の孤独を感じることもなく、満たされた心で、貧乏な人生をどう克服しようか、思案する事が出来ます。
確かに人生の敗者に位置していながらも、冷静にどう対処しようかと考えられる心の余裕を取り戻せたのです…蝉の抜け殻のような自分に命がそそがれるようになりました…
余裕が無ければ、何も手につかないのが人間です。
私は一台の車を手放すことで、貴重な幸福を得る事が出来たのです。
(他にも実は、2台の携帯を解約しました…)
★私に元気を与えてくれた参考本
(「超人脈力」などの著者 堀紘一の本)
抜粋文…「人に感謝し、感謝される生き方をすると、自然に良き人間関係が築けます」
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