死ぬって?



特殊な事ではない。
子供も大人も、みーんな一緒。
生きてるものは、いつでも死んでしまう可能性がある。

寝ている人があんまり静かにしていると、
すぐ「もしかして死んでるのでは?」と思ってしまう。
確認する為にその人に触れようと伸ばす手が、少し緊張する。
そして生きているのを感じると、シアワセだなぁ、と実感する。
何も望まない、この当たり前の「生きているコト」がシアワセだ。

昔々、当たり前の事はありがたみを忘れやすい、という言葉に出会った時に、
「自分は、ありがたい事はありがたい、と忘れないようにしよう」と思った。

『ドラえもん』に「ありがたみわかり機」という未来道具が出てくる。
空気とか、学校とか、あって当然の存在が消えてしまい、
どんなにありがたいモノだったかがわかる機械なのだ。

ただし、ありがたい事を実感してもそれをどう大事にするかは
なんともいえないのが現実。
でも、なるべく多くの人に当たり前のシアワセを実感していて欲しい、と思う。
…だって、もったいないではないか?
せっかくこんなにシアワセなのに、気付かずにいるなんて?

シンガーソングライターの谷山浩子サンという人が
「原始時代の人になりきって遊ぶ」話をどこかで書いていた。
部屋の電気を見て「おお!コレは何だ?今は昼間か?」と言うのだ。
新鮮な気持ちを忘れないように、オススメしたい(笑)。

大きな歴史が変わろうと、多少寿命が延びようと、
人は亡くなる。
死は、生きている側のモノだ。
親しい人に会えなくなるのは、寂しい。悲しい。つらい。
動いていたものが止まる。
次の動きがなくなる。変化しなくなる。つまらない。
期待できなくなる。失望もできなくなる。
もったいない。
いままであった、その人の、カタチのない才能も消える。
これからもっと出てきたかも知れない何かが、出てこないまま。

母が亡くなった時、思った。人が亡くなるのは本当にもったいない、と。
例えば亡くなったのが現時点の自分だったら、
母が亡くなるよりはもったいなくなかったのではないか、と。
もちろん、これから先の未来や、親兄弟等周りの人は悲しみはあるだろうが、
そんなことは誰が亡くなっても同様だ。
当時16の自分と42の母をむやみに比較するつもりは毛頭ないが、
冷静に、なんとなくそう思ったのだ。

また逆に、良かったと思う事もある。
頭ごなしに不謹慎だと言わないで欲しい、いわゆる「前向き」な捕え方で。
母が亡くならなければ出会わなかったであろう今の母とのつながりや、
いろいろな成長の素になったのだという事。
人の死は、悲しいばかりではない、という事だ。

子供の頃小動物をたくさん飼っていて、その頃の事を父が、
生き物の生死を知ってもらいたかったのだと話していた。
(他にも理由はあるが…)

可愛がっていたモルモットが死んで、公園に埋めに行った。
石を置いてお線香をあげていたが、じきに記憶の片隅へいってしまった。
また、ハムスターの親が、
誕生したての赤ちゃんを人間に見られて、そのコドモを食べてしまった。
捕られるくらいなら、食べて次のコドモの栄養にするのだという。
…理に適っているといえば、適っている。
温厚な性格のハスキーが、
迷い込んだ雀の子を一口で飲み込んでしまったのも衝撃的だった。

でも、ちゃんと生き物は廻っている。それは嬉しい。
体の中で、細胞がどんどん生まれ変わっているのと同じように、
地球全体も、生き物が生まれては死んでいくのを繰り返している。
大きいと思っている地球は、もしかしたら誰かの体の中の
一つの細胞かもしれない。

それにしても、ちゃんと廻っていないのは人間だけだ。
死んでまで、燃やして二酸化炭素を出し切って、栄養を消し去って
石で囲ったオハカのスペースを陣取る。

やっぱり自然葬がいいなぁ。
あのモルモットと同じように、次の栄養になりたい。
しかし、今の環境で育っているカラダじゃ、逆効果だろうか(笑)。
添加物とか合成物質とか、自然の栄養にならないモノが
たくさん含まれちゃってるだろうからな…。

「寿命が後○○日と決まっていたら何をするか?」という質問がある。
何も変わらない日常を過ごすとか、貯金を全部下ろして遊びまくるとか、
そんな回答が出てくる。(心理学かなんかか?)

でも、現実だって実際いつどうなるかわからない。
大事な事だけを、ちゃんと見極めて生きたい。
…とは言っても、
現代の日本で将来があると思えば蓄えも必要だし、
自分が快適に過ごす為に、環境も人間関係も無茶苦茶は出来ない。
アレもしたい、コレも食べたい。
ソレも欲しい、ドレもやりたい。
そうこうしているうちに、
それぞれの寿命がきてしまって去っていくんだろうな…みんな。

せめて、当たり前のありがたみを、
たまには、しっかり思い出していきたいね。


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