小さな宝物

小さな宝物

2007年09月29日
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カテゴリ: 愛読書


129. 少女七竃と七人の可愛そうな大人

鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。親友の雪風との静かで完成された世界。だが可愛そうな大人たちの騒ぎはだんだんと七竈を巻き込んで――。

遺憾ながら美しく育ってしまった川村七竈、17歳。
舞台は旭川。
何だかとっても不思議なお話。
現代であるはずなのにどこまでもレトロなまるで大正時代のような言葉遣いの七竈。
美しさを持て余し、静かに生きることだけを願いながら
その生まれの由縁故にそれを許されず、田舎の町で浮いた存在として生きる。
美しい少女が鉄子というのも何だか不思議だけど。
親友雪風との微妙な距離感が何とも切ない。
父親の解らない七竈と、年を追うごとに似てしまう二人。

無機質な中に色がとても鮮やかに描かれている。
七竈の赤、雪の白、鉄道の黒。
色がとても生きています。

そして装丁がとっても素敵。
かなり私好みです。
この装丁だけで絶対手に取ってしまいたくなる一冊です。
さりげなく線路が沢山描かれていて凝ってますね~。

七竈って北海道では全然珍しくない木です。
時期的にももう真っ赤な実がなっています。
(忘れなかったら今度画像撮っておきますね)
そんな珍しくないあの赤が何だかとても特別に思えてきました。

そしてこのお話ははかない恋だけではなくて
母と子の関係、父と子の関係、女同志の関係も上手く描かれてます。
あと、ビショップって犬の視点から描かれてる章があるのですが
それがまた良かったですね~。

桜庭一樹さんの文体がとても好きです。
ライトノベルって敬遠してた部分があったのですが
(若い時はコバルト文庫とか読んでたんですけどね)
最近は境界がないですね~。

あと全然関係ないんだけど桜庭一樹さんが女性だって解ってほっとしました(^^ゞ
最初男性だと思ってて「ええ~?!これを男性が書ける?あり得ない~」って
思ってたんで女性と知ってそうだよね、そうだよね、やっぱりそうだよね~と思いました。
この方の世界観、かなり好きではまりそうです。





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最終更新日  2007年10月01日 15時36分05秒
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