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ハナちゃんといっしょ
イングランド
KLMオランダ航空
●ヨーロッパ乗り継ぎ、初体験●
クリスマス・シーズン一歩手前の航空券が高くなる直前にヨーロッパへ飛ぶ。目的はロンドン、アイルランド、スペインの友だちを訪ねることだったので、安くて、乗り継ぎの便利なオランダ航空(KLM)を利用する。アムステルダムの空港はバカでかく、時に迷いもしたが、4週間のヨーロッパの旅はここから始まった。
行きの飛行機は利用客も少なく、快適そのものだった。さすがオランダ航空、機内食には必ずチーズがつく。おいしかった!また、上から眺めるシベリア平原、美しかった。
●ロンドン到着●
ロンドンには高校時代からの友だちアユミちゃんが住んでいる。彼女はロンドン生まれのアイリシュの夫と子ども2人と今もロンドンに暮らしている。私が訪ねたときは、まだ上の息子しかいなかった。時々日本へは帰ってきているので、そんなに久しぶりに会うというわけではなかった。
さて、アユミちゃんに会うためには、ヒースロー空港から地下鉄に乗って、グロースター・ロードという駅で降りなければならなかった。そこの駅に着くと、アユミちゃんが待っていた。
「ほんとに来たのね、チカちゃん・・・」
約1年ぶりの再会だった。駅前で彼女の夫リーが車で迎えに来てくれていた。後部座席には、2歳のコナーくんがすやすや眠っていた。そして、彼女たちの住むブリックストンへ向かう。途中、道路を走るダブルデッカーに感動する。
彼女たちは、ブリックストンの地下鉄の駅のすぐ近くのフラットに住んでいた。エレベーターが故障していて、階段をひたすら昇っていく。動かないエレベーターの前はゴミダメ。ちょっと日本じゃありえない。アユミちゃんが言うには、この地区はアフリカンが多く、彼らはゴミを所定位置に捨てないばかりか、窓の外から放り投げると言っていた。それは、朝明るくなってわかることだが、確かに向かいのフラットや住宅街の外はゴミでいっぱいだ。リーが初めて日本へ来たとき、
「この国は何でゴミがないんだ」
と驚いたんだそうだ。今なら納得。
その夜は疲れていたが、私が時差ボケにならないようにいろいろと話しに付き合ってもらった。
●ジャンキーな町、ブリックストン●
ヨーロッパにいながらアフリカを楽しめる町だった。住人のほとんどが黒人で、アジア系はあまり見かけなかった気がする。治安はどうかというと、町のど真ん中に警察署のビルが建っているので、比較的安全だ。昼間は馬に乗った警官がパトロールしている姿も見られた。しかし、夜はあまりで歩くような町ではない。クラブやバーが多く、ドラッグの売買もされている。しかし、昼間歩くと、とても楽しい。特に、休日はマーケットなんかしていて、見て歩くだけでもおもしろいところだ。
ある日、ブリックストンに戻ろうとビクトリア駅から地下鉄に乗った。すると、黒人のお兄さんが
「これはブリックストン行きの電車かい?」
と尋ねてきた。そうだと答えると、お礼を言ってホームに下りて行った。いや、私に聞くより、他の黒人の皆さんに聞いたほうが早いんじゃ・・・。しかも、私の乗った車両は私以外みんな黒人。なんだか楽しくて仕方がなかった。
ブリックストンの駅前には、とても怪しい白人のおっさんがいつも立っていた。別に何をするわけでもない、ただ突っ立って何かを一所懸命語っているのだ。たぶんホームレスだろう。怖いのでじろじろ見ずに素通り。
一応広間は安全なブリックストンでも、一度だけ怖いことがあった。ホームレスらしき黒人の初老男性が杖を振り回して15,6歳くらいの白人の少年を追いかけてぶっていたのである。大方、その少年が男性をからかったのだろう。しかし、男性の怒りは収まらず、車道だろうがなんだろうがかまわず少年を追い掛け回していた。車も止まり、町を歩く人たちも立ち止まって遠巻きに彼らを見ていた。数人の女性が悲鳴をあげていた。すぐに警察が来て、男性は連れて行かれたが少年は逃げたようだった。海外でこういう場面に遭遇するのは初めてのことだった。
●ロンドンの町並み●
主にビクトリア駅の周辺をよく歩いたが、あまりきれいではない。特に、テムズ川の岸辺なんてゴミだらけだ。所変われば全てが変わるので特に気にはしなかったが、私の持つイメージのロンドンではなかったことは確かだ。それでも、クリスマス前だったので、飾りやイルミネーションの明かりはとてもきれいだった。大英博物館の辺りの町並はきれいだなと思った。汚いとはいえども、新しいものと古いものが混在する町並みはやっぱり素敵だ。
ロンドンはコスモポリタンだ。いろいろな人種、国籍の人が歩いている。ロンドン中心部に本当のイギリス人はいないというが、あながち嘘ではないだろう。私はこういう町が大好きだ。旅行中の私はとても普通の日本人観光客に見えない。だから、いろんな人が時間を聞いてきたり、道を聞いてきたりしてきた。時間を教えることはできても、道はちょっとね。
驚いたのは、ホームレスの多さ。ビクトリア駅からウェストミンスター寺院まで行く大通りは、5m~10mおきくらいにホームレスの人たちが新聞紙を敷いて座っているのだ。でも、私がその前を歩いても、物乞いをするわけでもないし、いったいどうやって生計を立てているんだろう。アユミちゃんが言うには、子どもを連れた母親や10代の若いカップルのホームレスもよく見かけるのだそうだ。
感心したのは、地下鉄の駅や町を掃除している蛍光色の黄色い人たち、市の職員だという。朝早くても、週末でもお掃除をしている。これぞ公務員の新の姿では???田舎の市役所や役場で、仕事もろくにできないのにやたらと威張っている公務員!彼らを見習いなさい!!!!!
天気はというと、さすが霧の都、ロンドン。晴れたのは1日だけ!あとはずっと曇り、または小雨の日々だった。寒かった!
●悪名高きは・・・●
イギリスの食事だ。でも、友だちがいつも作ってくれたし、外食はイタリアン食べ放題だとかタイレストラン。問題なかった。カフェでいただくサンドウィッチやキッシュもおいしかった。
ただ、リーが夕飯に買ってきたフィッシュ・アンド・チップス、これはどうかと思った。油がねっとり。1年間住んだニュージーランドで、おいしいフィッシュ・アンド・チップスをいつも食べていたので、まずいなと思ってしまった。
それから、マクドナルドでもバーガーキングでも、値段が高い!日本の倍だ。
●ロンドン観光●
*ウエストミンスター大聖堂*
カトリック教会で、すぐ近くにあるウエストミンスター寺院とは関係がないと思う。レンガ作りで美しい建物。信者さんが静かに祈っていたのが印象的だった。クリスマスに向けて、少年聖歌隊が歌の練習もしていた。厳かな雰囲気、素敵だった。
*ウエストミンスター寺院*
世界遺産にも登録され、故ダイアナ元皇太子妃の結婚式、争議の行われた有名な寺院。代々の王の戴冠式もここで執り行われてきたらしい。私の訪れた日は信者さんしか中に入れなかった。残念!歴代の王のお墓など、見たかったのに。
*聖マーガレット教会*
ウエストミンスター寺院に隣接する教会。どの教会もきれいだ。でも、名前がいかん!マーガレットという名の友人がいるが、彼女はとんでもないお下品女。ごめん、ぶたないで~!
*ビッグ・ベンと国会議事堂、テムズ川*
いわずと知れたロンドンのランド・マーク。元は宮殿だったそうだ。15分おきになる鐘の音を聞いたときは感激。建物はきれい、しかし周りは汚い。テムズ川に沿って散歩しようと思ったが、ゴミだらけなのでやめた。でも、周辺を歩くのは楽しかった。世界中からの観光客と(不法労働者に見える)露店の人たち。金がないのでロンドン・愛には乗らずじまい。
*大英博物館*
ここで1日費やした。本当に見事!今までテレビや本でしか見たことのないものがたくさんだった。日本史専門で、世界史をよく知らない私でも。ちょっとミイラは怖かったけど。でも、しっかり写真に収めた。
館内でサンドウィッチとコーヒーの軽いランチを取るが、そこで展示物よりもすごいものを発見!!!ガングロ、厚底ブーツの日本人を初めて見たのだ・・・。田舎に住んでいるのでお目にかかることはなかったが、まさかロンドンで見ようとは!変なメイクはしていなかったものの、つい見とれてしまった。さすが大英博物館!?
*ロンドン塔*
イギリス王室の東国、拷問、処刑の歴史の舞台となった血で汚れたロンドン塔。エドワード5世、アン・ブーリン、レディ・ジェーン・グレイ(あの映画の・・・)らが処刑され、エリザベス1世が投獄されていたことで有名。幽霊なんかも出るらしいが、こんなに観光客がいちゃ、遠慮もするわねぇ。イギリスの歴史に興味がわいた。
*タワー・ブリッジ*
現在では1日に2,3回しか上がらないというはね橋だが、過去は多いときで50回だったそうだ。
*ロンドン橋*
たまたま歩いていた橋の名前を見るとロンドン橋。あのマザー・グースの歌の、「ロンドン橋おちる、ぐらぐらだ、ぐらぐらだ」のロンドン橋。普通の橋だったけど。
*聖ポール大聖堂*
ゴシック様式とルネッサンス様式が美しく調和した世界最大級の大聖堂。ここからの眺めはいいらしいが、時間外だったので中に入れなかった。大きさにただびっくり。
*マダム・タッソーろう人形館*
マダム・タッソーがフランス革命から逃れ、1835年に創設したろう人形館。遊園地のようで、なかなかおもしろかったが、とにかく人が多い。入場まで30分並んで待った。ある程度以上の人数は、団体として早めに入場できるので、その辺にいた人たちとにわかグループを作り、入場に成功!
●ルーニー家の人々●
今回は、友だちのアユミちゃんを訪ねるという目的で、滞在中はお世話になった。あゆみちゃん一家は2ベッドルームフラットに親子3人で暮らしていたが、子どもがまだ小さいので、子ども部屋には下宿人がいたので、リビングに寝させていただいた。もちろん、快適。そこでこの一家について少し。
*リーとコナーくん*
アユミちゃんのご主人と息子さん。リーは普通の会社員で、朝早く家を出て、夕方帰ってくる。アユミちゃんも働いていたので、昼間はリーのご両親にコナーくんを預けていた。このコナーくん、顔は天使だが超わんぱく。しかも、なぜかいつも裸だった。おもしろかったのは、テレビやラジオでB Boysの歌、Who Let The Dogs Outが流れ始めると、狂ったように踊り始める。私たちが笑うと、さらに踊ってくれた。クリスマスには、ものすごい量のプレゼントを抱えてご機嫌だった。
*リーのご両親*
2人ともアイルランド人で、優しくていい人たちだった。お父さんは、わざわざ私のために、日本に関する新聞記事を切り取ってくれた。クリスマスもいっしょにディナーをするはずだったが、コナーくんを預ける日にお2人は泥酔してしまっていて、アユミちゃんの怒りを買い、それぞれの家庭でクリスマスを過ごすことに。お母さんは、私のためにプレゼントを用意してくれていたらしい。ちょっとかわいそうだったと、後日アユミちゃん談。
*謎の下宿人*
アユミちゃんところの下宿人は不思議な人だった。昼間寝て、夜に行動をする人なので、10日間ほどいて2,3回しか姿を見たことがない。夜中にトイレに起きると、彼の部屋からボソボソ話し声がし多野で、初日はとても驚いた。日本人で、高校生の頃からイギリスに住んでいるらしく、当時は大学生。日本人の彼女が泊まりっきりで、アユミちゃんは少し怒っていた。なんか、「おじゃまんが山田くん」に登場するような感じの人だったので、私は勝手に「ヤマダ」と呼んでいたけど。
このカップル、なんだか暗い感じで、ふたりとも黒髪の長髪。アユミちゃんがジョン・レノンとオノ・ヨーコみたいだと言っていたのに笑ってしまった・・・
●ヨークへ小旅行●
10日間だけの滞在だし、別にロンドンだけでもよかったのだけど、日本に住むイギリス人の友だちがヨークの出身で、ぜひ行ってと言うので、1泊2日で行くことにした。前日にチケットを購入し、ヨーク行きのバスに乗る。電車のほうが速いのだけど、バスのほうが安いからだ。片道5時間、ひょえ~!でも、イギリスの田舎の景色はすごくきれいだ。ずっと眺めていても飽きないのだ。時々バス停に停まるが、そこで見たおじいさんは、おとぎばなしに出てくるような真っ白いひげを生やしていた。
ランチタイムのときに、近くの席に座っていた女性が話しかけてきた。彼女はオーストラリアからヨークにいる友だちを訪ねてイギリスへ来たといっていた。彼女には日本人の友人がいるので、私を見てすぐに日本人だとわかったという。ヨークに付くまで彼女と少し話したり、退屈はしなかった。
そしてヨークに着く。北に来ただけあって、とても寒い。まずは、ロンドンのインフォメーションセンターに予約をしてもらったホテルを探す。駅裏のほうにあり、地図で簡単に見つけることができた。1泊朝食つき45ポンド、悪くない。おまけにきれい。ガイドブックには乗っていないホテルだ。部屋に備え付けの飲み物もコーヒー、紅茶、ホットチョコレートと充実。ただ、シャワーからお湯が出ない。朝食はおいしかった。私は典型的なイングリッシュ・ブレックファーストが大好きだ。
冬は日が暮れるのがとても早いので、その日はちょっと外を歩き回ってすぐにホテルに戻った。
●ヨーク観光
*ヨークの町並み*
ヨークは古い町だ。市内中心部を囲むように、随所に城砦が残っている。その上を歩くこともできた。町の中は、ロンドン以上に古いものが残っていた。クリスマスシーズンだったので、飾りつけもきれいだし、たくさんのサンタクロースも古い町並みを歩いていた。印象的だったのは、古い教会の前で男性が電子ピアノを弾いていた。とても雰囲気にマッチしていて素敵だった。
*ヨークシャー博物館*
展示品のほとんどが恐竜に関するものだった。映像のロケ先は、そう見てもニュージーランド。プナカイキのパンケーキ・ロックスが映っていた。ロケ先をNZに選ぶ理由、よくわかる。
*ヨークキャッスル博物館*
ヨークの過去、現在が見ることができた。展示品も充実。「ゆりかごから墓場まで」のエキシビション、とてもおもしろかった。
*クリフォード・タワー*
古い城塞のひとつ。城塞の上まで昇れるが、小雨が降っていて石段は滑りやすいし、上まで昇ると、石壁も柵も低くて、膝がガクガク震えた。でも、ここからの眺めは、霧がかかってはいたけどきれいだった。
*シャンブルズ*
中世の古い町並みだが、今はほとんどがお土産物屋さん。日本でいうと、飛騨高山ってところ?
*ヨーク・ミンスター*
ヨークのランド・マーク。13世紀の初めの頃に始まり、1472年に完成したイギリス最大のゴシック建築の教会である。写真で見るよりも、実物はとても大きくて、圧巻!内部は広々としていて、ステンドグラスがとてもきれいだった。とても落ち着く場所だった。
●オックスフォード・ウォーキング・ツアー●
イギリスに数年住みつつ、オックスフォードに行ったことのないアユミちゃんといっしょに行く。ロンドンから快速電車に乗ると便利だ。
オックスフォードに着いたものの、まず何から見ようか迷ってしまう。ツーリスト・インフォメーションへ行くと、2,3時間程度のウォーキング・ツアーがあった。現地のガイドの説明月だ。値段も一人4.5ポンドとお得。早速申し込む。
時間になって待ち合わせの場所に行くと、何人かの人たちがもうすでに待っていた。そこへガイドさんが登場。初老の女性だった。自己紹介を聞くと、スイス人で、イギリスに住んで13年という。アユミちゃんが、
「日本に住んで13年の中国人が京都を案内するみたいなモンね」
確かに・・・。私もイギリスに13年住めばガイドになれるってこと?
さすが学園都市、オックスフォード、町中のいたるところにカレッジが立ち並ぶ。ガイドさんは歴史に縁のある見所を次々と案内してくれる。たとえば、カーファックス・タワー、シェイクスピアが住んでいたうち、博物館(中には入らなかったが)、モードリン・カレッジ、オール・ソーズ・カレッジ、ルイス・キャロル縁の場所などなど・・・。しかし、私はイギリス英語がとても苦手、聞き取るのに一苦労だった。もう、話を聞くのを止め、ひたすら景色と建築物を見ることを楽しんだ。
カレッジの授業が終った頃だろうか、構内から学生がぞろぞろ出てくる。なんだ、この美少年の集団は・・・というくらい、きれいな男の子ばかりなのだ。まるで、本当に「モーリス」とか「アナザー・カントリー」の世界。見とれているとアユミちゃん、
「ほとんどゲイなんじゃない?」
そんなぁ・・・。お持ち帰りしたかった。
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