《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2014.01.11
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 日本のファシズム化を加速させ、原子力発電を推進しているのは安倍晋三政権にほかならない。2012年12月の衆議院議員選挙、13年7月の参議院議員選挙で自民党を勝利させた段階でこうした流れは決まった。

 その流れを作る上でマスコミが果たした役割は大きい。そのマスコミが「都知事候補」として大きく取り上げる人物が碌でもないことは明白だ。石原慎太郎や猪瀬直樹を支えていたのも、そうしたマスコミだった。

 東京都は東京電力の顧客であり、同社の大株主でもある。昨年9月30日現在で東電が発行した株式の1.20%を所有、原子力損害賠償支援機構(54.69%)、東京電力従業員持株会(1.33%)、クレディ・スイス・セキュリティーズ(USA)(1.23%)に次ぐ大株主だが、株数からいって発言権は限定的。

 東京都が原発問題と無縁だとは言わないが、それ以外にも大きな問題を抱えていることも事実だ。原発の問題については、あくまで政府と東電を相手にすべきだろう。東京都が抱えている最大の問題は臨海副都心開発の破綻である。

 この開発は鈴木俊一知事の置き土産。鈴木知事は都庁の移転など「箱物行政」を推進、1989年に臨海副都心の開発を始め、破綻した。2001年には「臨海副都心事業会計」を帳簿の上で改善するために黒字の「埋立事業会計」「羽田沖埋立事業会計」と統合、赤字と借金の一部を帳消しにしているが、それでも2013年から20年度までに約2465億円を返済しなければならないという。

 その一方で福祉政策を切り捨て、学校や図書館などの予算は削り、職員の給与を引き下げている。思想統制にも熱心で、学校では「君が代」や「日の丸」を強制するなど、統制を強めている。旧日本軍は思考力を奪うために理不尽なことを兵士に強制し、屈服させて非人間的なことでもできる人間を作り上げようとした。今、同じようなことが学校で行われている。最初のターゲットは生徒。調教道具のひとつが内申書だった。

 内申書の問題を象徴する出来事といえば、千代田区立麹町中学校の生徒だった保坂展人を原告とする裁判を挙げることができる。「校内において麹町中全共闘を名乗り、機関紙『砦』を発行した。学校文化祭の際、文化祭粉砕を叫んで他校生徒とともに校内に乱入し、ビラ撒きを行った。大学生ML派の集会に参加している。学校側の指導説得を聞かずに、ビラを配り,落書をした」というようなことが内申書には書かれていたという。

 それに対し、最高裁は内申書を「思想、信条そのものを記載したものでないことは明らか」と強弁し、保坂の訴えを認めなかった。言うまでもなく、思想や信条とは心の問題であり、そうしたものを他人が直接、見聞きすることはできず、その人物の言動から推し量るしかない。その言動を記載しているということは、思想や信条を判断する材料を提供しているわけで、有り体に言えば、最高裁は思想の自由を否定し、信条による差別を肯定したのである。

 内申書とは教師を代理人とする権力者の監視システムに外ならず、生徒に従順であることを強要する仕組みの一部だと言うこともできる。その目論みは成功しているようだ。そして今、生徒を統制する手先になってきた教師が次のターゲットになっている。これまで以上に従順な教師を作り上げようとしているのだろう。

 従順な生徒と教師で満ちあふれる学校で、支配者を盲従する人間を作りだそうとしているのが安倍政権、あるいは背後にいる勢力。最近、前面に出て活動しているのは「自由主義史観研究会」のようだが、以前は関西の「新教育懇話会」と関東の「東京教育懇話会」が教科書攻撃の拠点になっていた。それぞれ、さかのぼると戦前の皇国史観を支えていた京都学派と東大朱光会に行き着く。

 そうした勢力が攻勢をかけている場所がある。沖縄県八重山地区だ。「自由主義史観研究会」の流れをくんでいる育鵬社の教科書を使うように安倍政権が強要、 ニューヨーク/タイムズも安倍首相らの靖国神社参拝や特定秘密保護法案などと絡めた記事にしている

 東京都の教育委員会も一種の「踏み絵」として「日の丸」や「君が代」を利用しているが、それだけでなく、実教出版の高校日本史教科書を選ばないように各校の選定に干渉するということも行っている。所詮、教科書は権力者に都合良く書かれたものだという意見もあるだろうが、小さい頃の刷り込みはなかなか抜けないのも事実。それがわかっているからこそ、権力者は「教育」に熱心なわけだ。この問題を軽く扱うことはできない。

 臨海副都心開発や教育のほか、オリンピックを利用した監視システムの強化(東京の監獄化)、あるいは労働環境の悪化、貧困の拡大、金融/投機の規制といった問題もある。マスコミが恐れているのは、こうした問題に取り組んできた気骨ある人物が知事になることだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.01.12 12:42:35


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: