《櫻井ジャーナル》

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2015.07.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 西側の支配層はメディアを使ってEU信仰、西側幻想を広げ、人びとの感情に訴えて自分たちの強欲な、往々にして違法な政策を正当化してきた。ウクライナやギリシャの国民もそうした政策の犠牲者だ。

 そうした状況を理解したギリシャ人びとは国民投票でIMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)、EC(欧州委員会)、いわゆるトロイカが要求してきた緊縮財政を拒否する意思を示し、その後も怒りは納まっていない。その一方、トロイカ側も硬直した姿勢は崩していない。

 以前にも書いたように、ギリシャが財政危機に陥った大きな理由はふたつ。ひとつはアメリカの巨大金融機関、ゴールドマン・サックスがギリシャで行ったいかがわしいビジネスで、もうひとつは第2次世界世界大戦でドイツが行った略奪やアメリカを後ろ盾とする軍事クーデターによる国の破壊。メディアが盛んに宣伝していた年金の話は事実に反している。

ゴールドマン・サックスは2001年、ギリシャが通貨をユーロに切り替えた際に財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませた ことが事態を悪化させた理由のひとつ。ちなみに、2002年から05年にかけて同銀行の副会長を務めていたマリオ・ドラギは2011年、ECBの総裁に就任し、今でもその職にある。

 2004年にはアテネ・オリンピックというカネのかかるイベントがあり、軍事費も重くのしかかっていたが、ギリシャの債務が急増したのは2006年頃から。この頃、国内で開発がブームになっていた。中には、建設が許可されていない場所で、違法な融資によって開発しようとして中止が命令されていたケースもあり、このブームで業者と手を組んだ役人の中には賄賂を手にしたものが少なくなかったと言われている。

 結局、違法開発も含めてIMFはギリシャ政府に返済を迫り、金融機関を救済する。ウクライナの場合と同じで、IMFは相手政府への融資で金融機関の債権を肩代わりし、取り立て屋になるわけだ。

 その結果、ギリシャでは年金や賃金が減らされ、社会保障の水準は低下、失業者は大きく増えた。GDP(国内総生産)は2010年から−4.9%、−7.1%、−7.0%、−4.2%と下がり続け、失業率は12.6%、17.7%、24.3%、27.3%。若年層の失業率は60%に達すると言われている。しかも、借金の返済は不可能。こんな状態でトロイカの要求に賛成した人が39%弱もいたことが驚きだ。

 アメリカの支配層に逆らう国では指導者が暗殺されたり、クーデターで体制が倒されたりしてきた。NATO加盟国であるギリシャには政府がコントロールできない秘密部隊が存在している。イタリアではグラディオ、ギリシャでは特殊部隊のLOKだ。左派勢力が優勢だと言われた1967年5月の総選挙の前月、ギリシャで軍事クーデターがあったが、今回は銀行が攻撃の主体になるとする噂もある。

 今回の国民投票ではトロイカ側の傲慢な姿勢が結果に表れたという見方がある。ギリシャを食い物にしようとする姿勢を変えないなら、ロシアと中国へ接近させることになる。すでにパイプラインの建設やBRICSへの参加などをロシア政府は働きかけているようだ。もしギリシャの離反が不可避になったなら、マケドニアを含め、この地域をカオス状態にしようとするかもしれない。





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最終更新日  2015.07.09 12:33:54


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