ハマスのイスマイル・ハニヤの泊まっていた部屋に仕掛けられた爆弾で殺されたとニューヨーク・タイムズ紙は伝えた。仕掛けられたのは2カ月前だというのだが、イラン革命防衛隊(IRGC)は約7kgの爆発物を積んだ短距離発射物によると8月3日に発表している。
ハニヤはイランの新大統領マスード・ペゼシュキアンの就任式に出席するためにテヘランを訪れていたのだが、ペゼシュキアンの前任者であるエブラヒム・ライシは5月19日、搭乗していたアメリカ製のベル212ヘリコプターが墜落、死亡している。ハニヤ暗殺はイスラエルの情報機関がアメリカ政府の承認を受けて実行された可能性が高いのだが、ライシが死亡した直後、イスラエルの情報機関は新大統領の就任式にハニヤが出席することを見通し、そして宿泊する部屋を予見して仕掛け、その後発見されなかったというのだろうか?ニューヨーク・タイムズ紙の「報道」に説得力はない。
アメリカはウクライナでも停戦交渉を潰している。2022年に入るとウクライナ軍はドンバスの周辺に部隊を集め、砲撃を激化させていた。ガザと同じようにドンバスへ軍事侵攻して住民を虐殺、ロシア軍を誘い出して要塞線で封じ込めている間に別働隊にクリミアを制圧させる作戦だったと言われているが、その直前にロシア軍はウクライナ軍部隊や軍事基地、生物兵器の開発施設などを攻撃、大きなダメージを与えたと言われている。そこで停戦交渉がすぐに始まった。
交渉の仲介役はイスラエルとトルコ。 イスラエルの首相だったナフタリ・ベネットによると、話し合いでロシアとウクライナは互いに妥協、停戦はほぼ実現した 。ベネットは3月5日にモスクワでウラジミル・プーチンと数時間にわたって話し合い、ウォロディミル・ゼレンスキーを殺害しないという約束をとりつけ、その足でドイツへ向かい、オラフ・シュルツ首相と会っている。
その3月5日、ウクライナの治安機関SBU(事実上、CIAの下部機関)はキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームの主要メンバーだったデニス・キリーエフを射殺 している。その後、4月9日にボリス・ジョンソンはイギリスの首相としてキエフへ乗り込み、交渉を中止して戦闘を継続するように命じた。黒幕が同じだからなのか、パレスチナでの戦闘でも似た展開になっている。
ウクライナでアメリカやイギリスの支配層が目論んだのはドイツ軍が実行したバルバロッサ作戦の再現だろう。ロシアを戦争へ巻き込み、勝てなくても疲弊させてソ連のように消滅させると考えていたのではないだろうか。バルバロッサの始まりはウクライナやベラルーシへの軍事侵攻であり、現在のロシア政府がウクライナ情勢に神経質なのはそのためだ。ネオ・ナチが跋扈するウクライナをロシア政府は許せない。
しかし、パレスチナの場合、シオニストはパレスチナ人の皆殺しを目指している。これは「イスラエル建国」の前からの話だ。
昨年10月にガザで戦闘が始まった直後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ人虐殺を正当化するため、「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、 「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用 している。
「アマレク人」を家畜ともども殺し、その後に「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたと旧約聖書では記述されている。アメリカやイスラエルの傭兵として活動しているダーイッシュ(IS、ISISなどとも表記)が中東の遺跡を破壊した理由もそこにあるかもしれない。
アマレク人は歴史の上で存在が確認されていないが、この民族をイスラエルが敵視している勢力に重ねて見せた。パレスチナ人が生活していた歴史を破壊で消し去るということだろう。
サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ。
ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」としたうえで、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。
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【 Sakurai’s Substack 】