雑記~愛息と過ごす日々の戯れ言~

雑記~愛息と過ごす日々の戯れ言~

エッセイ講座・課題用(提出分)



 白血病と献血

 息子が緊急入院して、数日後、検査結果が揃った。夫とともに説明を聞いた。
「急性リンパ性白血病に間違いありません。息子さんの場合、比較的治りやすいタイプで、入院期間は十カ月。三ランクある治療プログラムの一番軽い化学療法(SR)になります。退院後は、二年間維持療法といって、薬の服用があります。トータル三年の治療です。再発の確率は十人に一人です。」
 中心静脈カテーテルというものを、心臓近くの血管に埋め込み、そこから薬剤を入れて治療する。採血もそこからできるので、痛い思いをせずにすむ。しかし経口薬も欠かせず、ずいぶん苦労して飲ませた。
 手術のとき、ナースステーションで麻酔が効いてから手術室に向かう。私にしがみついて離れない息子。前日まで「おうちに帰りたい」と言っていたのに「お部屋に帰る。大変なことになっちゃう」と泣いた。幼い彼なりに、家には帰れないことを理解していた。多めに麻酔をして、ようやく手術室へ。このときの声は、今も耳に残っている。
 治療をすると、骨髄抑制が起こり、正常な血液が造られなくなるため、頻繁に、赤血球、血小板の輸血をした。献血してくださった方への感謝を強く思った。
 輸血というと、事故や災害で使われるイメージが強いが、もっとも多く使われるのはがんの治療。子供の場合、その四割が白血病である。
 それまで献血をしたことが無かった自分を恥じ、時間を作って、献血ルームへ行くようになった。
 退院後は、二年間、毎晩白血球をコントロールする薬と、肺炎予防薬を飲み続けた。週に一度、抗がん剤も飲んでいた。
 幼稚園は、退院翌年の十一月から通うことができた。至福の時だった。たくさんの思い出ができた。
 無事小学校に入学し、維持療法の薬も終わって約二カ月、まさかの再発。今度は一番強い治療をすると説明された。辛い宣告だった。


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