2021.07.04
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2021年6月に数か月ぶりに帰国した。この時点で海外から帰国する日本人はざっと次のような水際対策を経験することになる。

まずアメリカで、出発前72時間以内の陰性証明を取得しなければならない。日米間でワクチン・パスポートの相互乗り入れができるようになればいいのだが、現状ではワクチンを接種済みであろうとなかろうと関係なく必要になる。日本政府の指定する検査方法と様式を満たす陰性証明書を発行してもらうためには1人につき2万円前後かかる。アメリカに戻るときにも必要なので、往復1人当たり4万円。

アメリカ出発前に厚労省の指定するスマホアプリ(後述)を3つインストールしておかなければならない。もうひとつ、日本政府のサイトで個人情報と入国日などを登録してQRコードを取得し、スマホに保存しておかなければならない。前回の帰国の時は、この登録制度について知らされていなかったので、アメリカ出発時に航空会社職員の人に登録・QRコード取得について教えてもらった。これら出発前のアプリや登録はアメリカで済ませておかないと、入国時に余計に時間がかかることになる。

次に日本の空港(成田、羽田)から滞在先までのハイヤーの事前予約が必要。厚労省のルールで、空港から滞在場所までの移動には公共交通機関(タクシーを含む)を使用できないので、僕のように迎えに来てくれる人のいない入国者は、予約のできるハイヤーを使うしかない。半年前まではこの料金が2万円前後だったが、現在は1万2千円まで下がった(成田か羽田か、また滞在場所の地域によって値段は異なる)。

いよいよ日本の空港に到着してからが以前にもまして大変だった。正確な数は覚えてないが、少なくとも6か所のチェックポイントで(おそらく)厚労省の職員による審査を受けなければならなかった。唾液検体の提出、事前登録で受け取ったQRコードの提示、健康に関するアンケートの提出、そして3つのアプリのインストールの確認と設定、これらをひとつひとつ別の検問所でチェックされる。スマホを持っていない人は、スマホをレンタルすることを強制される。

この審査の方法は入国者にとっては必要以上の負担だと思う。多くの人がいるのでその流れを促すためにいくつもの検問所を設けて処理しているのだろうか。あるいは幾人もの職員がチェックすることで見落としを少なくしようとしているのか。時に数10メートル歩き、時に列で待ち、書類とパスポートとスマホを抱えていくつもの検問所に行かせられるのは、あまり効率的とは思えない。たとえば、入国した順に、あるいは検体を提出した順でもいい、整理番号を渡し、その番号順にひとりひとり(あるいは一家族ずつ)ひとつの検問で全てを済ませてくれる方がいいと思う。自分の番が来るまで入国者は一か所で待つことができるので、ずっと楽だし書類や持ち物を失くす可能性も低くなるはずだ。

書類とアプリのチェックが終わるころには検査結果が出る。陰性とわかればようやく荷物を受け取ることができる。ここまでおよそ3時間。予約していたハイヤーは飛行機着陸の2時間後に来る予定になっていたので、1時間余分に待ってもらったことになる。

到着の翌日から14日間は自主隔離である。その間、前述した3つのうちの2つのアプリで<監視>される。アプリは「位置情報確認アプリ(OEL、Overseas Entrance Locator)」とビデオ通話アプリ(MySOS)。1日に2から3回、OELアプリが位置情報ボタンを押すように通知してくる。これで入国者が現在どこにいるのか確認される。(空港でチェックの際、職員が位置情報通知の許可を設定してある。)もうひとつのアプリMySOSを使って、入国者健康管理センターがビデオ通話を入れてくる。これは1日最低1回のはずだが、僕たちの場合最初の4日はかからなかった。着信履歴は2度あったが、着信音はしなかった。アプリの機能障害、スマホの低性能、あるいは管理センターの発信の不具合?どれが原因かはわからない。これに加えて、毎朝11時ごろ「健康状態確認のお願い」という電子メールが届き、家族と本人に「37.5度以上の発熱をしている人はいるか」、「せき、のどの痛み、強いだるさなどある人はいるか」という二つの質問についてウェッブで回答することが求められる。

ところで、「自主隔離」というのが完全な外出禁止なのか不要不急の外出を控えることなのか、どこにもはっきり書かれていない。入国の時にもらった厚労省のパンフレットには、「14日間、宿泊場所又は自宅で待機し、他者との接触を行わないでください」、さらに続けて「14日間、公共交通機関を使用しないでください」と書いてある。つまり「公共交通機関を使わなければ外出してもいい」、という含意があるように読めるのだがどうなのだろう。

「自主隔離のルール 2021最新版」(2021年2月末日)というのがあるサイトにリンクされていたので、ダウンロードした。これによると、自主隔離の要件の一つに「不要不急の外出はしない」と書いてあるし「健康維持の為に、外に散歩に出かけることは禁止されていません」ともある。ということは、自主隔離とは完全な外出禁止ではないようなのだ。ただし、この文書は政府の正式な文書ではなく、厚労省のガイドラインをまとめたものとある。これが「自主隔離」の公式な定義だとは断定できない。





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最終更新日  2021.07.04 08:52:01
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