12年前。しこジャパンで賑わい夜中に試合を見る。
睡眠不足のままで講演に行き、寝ようかと、
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階に上がり、庭を見たらゴーヤが黄色い。
2メートルぐらいの脚立のてっぺんに立ってゴーヤを取る。夢か何かで、亡き妻嘉津子から
「あなた何をしているのよ。早く起きなさい」
とビンタを叩かれて目が覚める。剪定鋏を持って隣のコンクリートの駐車場に落下していた。
立ち上がると、帯子が駐車場の外から叫んでいる。
ふらふら歩いけば、セキュリティーのカギが
嘉津子の指示か。右の頭から血が出ている。右手が使えない。
検査では、右側硬膜下血腫で、3時間後に手術する、と宣言される。驚きながらも睡魔に襲われ、
爆睡。目が覚めての再びの検査を受ける。
右手は使えず、一生車椅子になるのか、と覚悟はして医師を見る。怪訝そうな顔で、
「おかしい。前の写真と全く違う。こんなことがあるのか」
全く不思議にことが起きていた。血がいつの間にか、消えている。体内に吸収されているでは
ないか。それにあの時、なぜ選定ハサミが身体に突き刺さらなかったのか。
天井の蛍光灯を代えようとして落ちて亡くなった友人もいたのに。
この落下事故は、この奇跡の回復力に止まらなかった。