予想に反して
「このまま入院してください」
「エッ」
絶句して、事の重大さに気が付きます。帯子に電話をしたらパニックなったようです。
「どうしてそこの病院なのよ」
文句たらたらです。それも盲目の演歌歌手姉の井上わこが、ここで大腸がんで亡くなっていて、
イメージ悪い。数人が駆けつけて転院を勧めます。
医師の説明は、
「これは命に関わる緊急の事態です」
ますます不安を感じて、広大病院に移りたいとお願いする。
担当医は、すでに恩師に検査データーを送信して、指示を仰いでいた。
「こんな危険な人をなぜ時間をかけるのか、すぐこちらによこせ。すぐ手術する」
そこに人生の彩、救われる方程式があったのでしょうか。
退院手続きに時間がかかり、やっと広大病院に着いたら、受付で
「赤崎さんはまだ来ないか」
「あ、私です」
「すぐ手術室へ。入院手続きは奥さんがしなさい」
まず胆管に詰まった液を抜く手術で、癌細胞だらけで、放置していたら、3日で爆発して
全身に回れば、即死、ベッドの上で安楽死という状態でした。それが3日の命です。
主治医の説明を聞いて、この先生に命を預けようと本気で思いました。
それほど信頼できる先生に巡り合えたことを感謝しました。
「変な民間療法に頼るなよ。医者がどれほど苦労しているかを知ってほしい」
釘を刺されて一時退院となりました。黄疸が消えてから本手術をするためです。
紹介されて、一度、ビタミン剤を大量に点滴投与する病院に行きました。
しかし、患者の姿に、麻薬を吸っている姿と重なり、逃げるように病院をあとにする。