むんくの冒険日記

むんくの冒険日記

第6話【混乱】





イヌクとスジョンが顔を出した。
ジェミンは扉を叩く手が止まり
スジョンとイヌクも驚いた表情をした。
イヌクが缶ビールを握っているのを見たジェミンは
呆れた表情で「同棲か?」と二人に嫌味をいった。
外は冷えていてジェミンの息がとても白い。

スジョンは目を真ん丸くして
「いいえ 私は隣でここはイヌクさんの部屋です」
「前から知り合いだったのか?」
「いいえ そうでは無くて偶然隣同士になりまして」
ジェミンとスジョンの会話に
イヌクが「チーフは何の御用ですか?」と口を挟んだ。
ジェミンはおでこをかいて「俺か このお嬢さんに用があって」
「ひさしぶり」というジェミンに
スジョンは驚き「ええ  こんばんは」と答えた。
ジェミンは「金を受け取ったら電話くらいしろよ!夜中押しかけてきたくせに!」
スジョンは後ろに立っているイヌクの表情を心配そうに振り返った。
「電話しようと思ったのですが忙しくて」
「忙しいって事は就職できたんだな?駄目か?元金まで焦げ付きそうだな!」
「それは無いわ。お金には、きちんとしてるの」
スジョンは向きになって答えた。
数秒沈黙が続いた。
イヌクはジェミンに「お茶でも?」と誘ったが
ジェミンは「邪魔をするつもりは無い」
「明日出社しろ!金を返してもらうには、それしかない」と
スジョンに命令口調で言った。
ジェミンは二人の前から立去る際
「いい景色だな。こんな街があったとは!」
と二人に聞こえるように大声で言った。

スジョンは体裁が悪くイヌクの顔を見ることが出来なかった。
イヌクは「酒は今度にしよう」と言い自分の部屋へ帰って行った。
イヌクは手に握っていた缶ビールを飲み干し。
缶を握りつぶして床へ放り投げた。

昔、ヨンジュと付き合っていた頃に撮った写真を見つめ
ヨンジュの言葉を思い出していたが
写真をちぎり床に捨てた。


スジョンは布団に入り「住所教えたっけな?」と独り言をつぶやいた。
ジェミンは秘書の運転する車の中で自分の頭をガンガンと窓へ叩きつけた。
「いてぇ」「何であんな事いったんだろう。俺ってバカ」と頭をかいた。

翌朝イヌクは雪道をランニングしていた。
スジョンはゴミを出しに外へ出た。
スジョンは「おはようございます」とイヌクに声をかけ
ゴミ箱へ行こうとすると


「早いね。出社するの?来いと言ってるんだから」
スジョンは「あの人とは何の関係も無いのに世話になりすぎたわ」と答えたが
イヌクは「せっかくだから行きなよ。」と言い部屋へ戻っていった。
スジョンがゴミを置こうとすると
イヌクが昨晩ちぎったヨンジュとの写真がゴミとして出ていた。

スジョンはパクスグループ(P財閥)の会社にやってきた。
エレベーターを降りると、丁度イヌクが居た
「おはようございます。あなたの言う通りだと思いまして。行かないのも変かと。。。」
とイヌクに笑顔で話しているとジェミンが歩いてきた。


ジェミンはイヌクを背後から睨みながら
スジョンに「来たか?」と話しかけた。
スジョンはジェミンの目線から顔を背けると
ジェミンはニヤっと微笑み立去って行った。

スジョンは秘書に履歴書を渡し
「採用されたんですか?どこの部署ですか?どんな仕事をするんですか?」
と問うと秘書は「社員じゃなくて契約社員だ」と冷たく答えた。
秘書が総務部の社員にスジョンを「語学が堪能で。。。。」と紹介するが
皆の視線は冷たかった。

スジョンは総務部の先輩から仕事を教わる事になった。
「受付の就業規則と役員の顔写真付き書類。内線番号一覧よ!」と口を尖らせて言うと
書類をスジョンのテーブルに投げ落とし
「今日中に覚えて」と部屋から出ようとすると
スジョンは「内線番号は覚えなくても」と言うと
「つべこべ言わず覚えな!」と部屋を後にした。

ジェミンの兄は今回のスジョンを採用の件やイヌクとスジョンの関係などを
ジェミンの秘書から逐一報告させていた。
そこへジェミンが大声で「ヒョン!(お兄さん)」と入ってきた
兄は驚いき「どうしたんだ?」
ばり
ジェミンは秘書に「何故ここに?」と問いただすが
兄は咄嗟に「渡すものがあって」と繕い、秘書を部屋から退席させた。
兄はジェミンに「悩みか?」
ジェミンはタメラッテいたが
「頼みを聞いてくれるか?ヨンジュとは終わった。父さんには兄さんから話してくれ。」
兄は何とか話してみようと答えるとジェミンは兄に近づき
「恩に着るよ。お礼に美人の姉ちゃん紹介するよ」と兄の手を握っている。
兄は任せておけ。ジェミンは「ありがとう」と兄の部屋を後にした。
兄は「礼を言うのは、こっちの方さ」と不適な笑みを浮かべた。
2005-07-12 12:04:44
ジェミンは机に足を乗せながら友人に電話をしている。
兄貴に紹介する女性はいないか頼んでいる。
外は深深と雪が降っている。
そこへジェミンの父がノックもせずに現れ
ジェミンを蹴りつけた。
ジェミンは涙目に成りながら起き上がった。
「親の顔に泥を塗りやがって。結婚するまで実家に戻っていろ!」と怒鳴った
ジェミンは「出来ません」「何だと?」「あいつとは無理です」
「女のせいにして!」
「怒られても、どうしようもないです。もっといい女を捜しますから」

とジェミンは歯を食いしばりながら父に言い部屋から出て行った。
ジェミンが車で出ていこうとするが部屋に鍵を忘れてきてしまった
(部屋に戻れば親父に怒鳴られる、部屋に戻れず会議室にいる)
ジェミンは会議テーブルで眠りについてしまった。
一方スジョンも、暗記しろと言われた書類を前に居眠りをしてしまった。

ジェミンが目を覚まし廊下を歩いていると、
部屋から出てきたスジョンとぶつかってしまう。
「何してる?」 「研修を受けていて眠たくなっちゃって」
「初日から居眠りか?なってないぞ!」
ジェミンは廊下を歩き始めた。


スジョンはジェミンの歩幅に合わせ小走りにジェミンの後を歩いている。
「気に入ったか?」「えっ!ええ」
「お金を借りた上に就職までお世話になりました。
一度食事をご馳走させてください」
ジェミンの足が止まり怖い顔をしたので
スジョンは「2度にしますか?(ご馳走するのを)」
スジョンは食事に誘ったが、まさかこのまま食事に行くとは思わず
「他の日では駄目でしょうか?」「何か予定でも?」
「そうじゃなくて。」 「ああ 社交辞令だったのか?」
「違います。」というスジョンに「行こう」とスジョンを助手席に乗せた。

店に着くとジェミンは「赤ピーマンと牡蠣のグラタン、ブルゴーニュ風モッツアレラチーズサラダ。。。」
スジョンの心配そうな顔を横目にジェミンは次々とオーダーした。
スジョンはテーブルの下で自分の財布の中身を確認した。


ジェミンは「何にする?」とスジョンのオーダーを聞いてきた
スジョンはメニューの金額を隈なく確認し7200ウォンのクラムチャウダーに決めた。
「スープだが?」「分かってます。これが食べたいの。こう見えても小食なの」と答えた。
「そうか。じゃあクラムチャウダーを」とジェミンは店員にオーダーした。
ジェミンは水を口に含みナプキンを膝へ置きながら


「就職祝いにご馳走するけど?」ジェミンがというと
スジョンは店員の方を振り向き「メニュー下さい」と元気に言った。
その様子を見てジェミンは又グラスの水を口にし優しい眼をして微笑んだ。
美味しそうな料理がテーブル一杯に並んだ。
ジェミンは「金を持ち逃げした男の話だが」
「チョサンペのことですか?探させてます」
「探してやろうか?俺たちの業界も情報が命なんだ」と言った。
二人はバリでの事を思い出して微笑んだ。

「イヌクとはどうして隣同士なんだ?」
「それが不思議なんです。バリでも私の下宿の隣に泊まってたの
 帰国するときも同じ飛行機で、それも隣の席で」
ジェミンは急に機嫌が悪くなった。「こっちでも隣同士に?」
「ええ それも友達の家に居候してるのに」とスジョンは笑顔で言った。
「大した縁だな」とジェミンはふて腐れて言った。
「本当に妙な縁でしょ?きっと運命だわ」とスジョンは微笑んだ。
ジェミンはナプキンで口を拭くとシャンパンを一気飲みし
「腹いっぱいだ。出ようか」と席を立った。


スジョンは未だ食事中で合ったがジェミンの後を追いかけた。
ジェミンは「じゃあな」と車に乗り込み走り去っていった。

イヌクはジェミンの兄に呼び出されていた。

ジェミンの事を奥歯に物がはさっまったような表現で語り始めた。
そして意味深に「ジェミンの先は長くない」と言った。
イヌクは単刀直入に聞いた「何をお望みですか?」
「私達は野心家同士だ。分け合うなんて性に合わん。たとえ兄弟でも。
 人生は賭博だ。どちらが賭けるかが勝負だ。
イヌクは「能力は有りません。こんな私でも?」と言った。
はははと笑い声を上げたジェミンの兄は
「我々の未来の為に乾杯」と笑いながら酒を口にした。

ヨンジュが(イヌクの家の前で)イヌクの帰りを待っていた。
そこへジェミンと別れてトボトボ歩いて帰宅したスジョンが
ヨンジュに「覚えてませんか?バリでガイドを」と声をかけた。
「イヌクさんに会いに?」「ええ。あなたは?」「隣の部屋に」
「お茶でも飲みながらお待ちになっては?」
とスジョンはヨンジュを部屋に誘った。
スジョンはヨンジュの毛皮のコートをハンンガーにかけた。
スジョンはヨンジュにインスタントコーヒーを作り始めた。
ミヒはヨンジュに敵対心を露にしてイヌクとの関係を探るが
ヨンジュは馬鹿にしたように笑うだけで何も答えない

ミヒがヨンジュに色々話しかけるが
ヨンジュはミヒの存在を完全無視し
スジョンに「何時帰国したの?仕事は何を?」と探り始めた。


ミヒは「パクスグループ(P財閥)に就職したの。ご存知ですよね?」
続けてざまに「スジョンがそこの御曹司とお近づきになっちゃって
私も何度かお話したの。」と自慢げに言った。
スジョンは「ミヒ」と言って話を止めさせようとしたが
ミヒは続けて「家を行き来する仲とでも言いましょうか。昨日もここに」
スジョンは慌てて「そんな仲では。。。」と言ったが後の言葉が見当たらなかった。
ヨンジュは悔しそうに「あなたって怖い人ね」と言い
スジョンがハンガーのコートを取ると、
そこには以前ヨンジュがイヌクにプレゼントした紺色のセーターがあった。

ヨンジュはイヌクとの幸せな時を思い出した。
ヨンジュはスジョンを思い切り睨み部屋から出て行った。

イヌクはジェミンの兄と酒を飲みホテルでそのまま眠ってしまった。
そこへ電話が鳴る。

ジェミンの兄から起されロービーへ降りていくと
「行くぞ」とパクスグループ(P財閥)の店舗へと連れ出された。
ジェミンの兄は「頂点に立つものには、それなりの品格が要る。」といい
イヌクのスーツを見立て始めた。

翌朝スジョンは寝坊した。ミヒの起されたのは9時
慌てて出社すると運悪くジェミンと出くわしてしまった。

エレベーターの中でジェミンは呆れて「今 出社を?」
「昨日も研修中に寝ていただろ?会社勤め出きるのか?」
と言いエレベーターを降りていった。

ジェミンは秘書にスジョンを受付に置いた事を怒鳴りつけた。
秘書は外国語も堪能ですし容姿も申し分ないので」というと
ジェミンは「ふざけるな!」とどなり
そのまま会議へ向かった。「イヌクさんは?」と社員に尋ねると
ちょうど、そこへイヌクが遅れて入ってきた。
ジェミンはイヌクの余りの変わりように足の先から頭のてっぺんまで見上げた。

イヌクは「遅くなりました申し訳ありません」と頭を下げた。
女子社員たちはイヌクに目が釘付けになり笑顔になった。
ジェミンは「イヌクさんも遅刻するんだね」と嫌味を言った。
会議でイヌクのプレゼンを聞く女子社員たちは皆、笑顔だ。

ただジェミンだけはイヌクをじっと見つめていた。

一方のヨンジュはジェミンの母に喫茶店に呼び出されていた。
ジェミンの母はヨンジュの素行調査をさせていた。
先日のイヌクと車でのキスシーンを盗撮されていたのだ。
「こうみえても心は広いの結婚前のことにとやかく言いたくないわ
 あなたが迷うのはジェミンのせいかと思ったわ。。。
 こんな事で破談になったらご両親も世間に顔向けできないわ
 バリでも彼にあったんですって?その上ジェミンの部下ですってね?
 ジェミンも知ってるの?知ってるから自分が言い出したように繕ったのね。
 あの子くらい優しい子は居ないわ。知ったからには黙っていられないわ。」
ヨンジュは「どういうことですか?」と不安げに聞いた
「その男(イヌク)に破談の責任を」
「彼を巻き込むのは止めてください。」
「お黙りなさい。ジェミンを傷つけた罰はうけてもらうわ。
 どんな手を使っても、あの男を社会から葬り去ってやるわ」

スジョンは新しい制服に身を包んでいた。
働ける嬉しさで笑顔が溢れていた。
大きな箱を持ち廊下を歩いていたスジョンが箱を落としてしまった。
書類が散乱した、そこへイヌクが会議部屋から出てきて
一緒に書類を拾ってくれた。

スジョンはイヌクに「昨日おんなの人が待ってましたよ。会えましたか?」
「バリで一緒だった人」といってもイヌクは黙ったままだった。

2005-07-10 23:37:53
その二人の姿を見たジェミンは、するどい目つきで睨んだ。
イヌクはわざとジェミンの前でスジョンに
「残業?一緒に帰ろう」と微笑んだ。

ジェミンは自分の部屋へ戻るなり書類を机に叩きつけた。
イライラしていると秘書がやってきて
会長(父)とお母様がお呼びです。と伝えに来た。
ジェミンは両親の待つ会長室へ向かった。


そこへはヨンジュの姿もあった。
「何の用です?」とジェミンが聞くと「座れ!」と会長は怒鳴った。
「大声出さないで、あの子が緊張するじゃない」と母はジェミンをかばった。
ジェミンが席に着くと母は「ヨンジュが許してくれたわ」と笑顔で言った。
ジェミンは驚いて目を真ん丸くした。
母は「今日は仲直りのデートでも楽しみなさい」と助言した。
二人は渋々「行ってきます」と会長室を後にした。
二人はエレベーターに乗った。


ジェミンは20階を押し、ヨンジュは1階を押した。
ジェミンは怒りを堪えて「何が合った?忙しいんだ今言え!」
ヨンジュは「考え直したの、あなたの提案も悪くないわ結婚してもお互い気ままに暮らすって」
「何だと!」
「合理的だわ私も損をしないし」
ジェミンは鼻息を荒くして「ふざけているのか?」と言った
「あなたの望みどおりにしてあげるだけよ」
「イヌクが愛人で良いと言ったのか?そうなのか?」
「関係ないでしょ」とヨンジュが言ったところでエレバーターが停まった

イヌクが扉の前で待っていた。
ジェミンはイヌクを思い切り睨み付けた
イヌクはヨンジュの姿に気づいたが下を向きエレバーターに乗った。
ジェミンは目を大きく見開き
「お前には   ほとほと愛想が尽きた! 」と大声を上げた。

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