ラッ君からの手紙




「幸運」と呼ばれたぼく
虹の橋のラッ君mixi繋がりのまきたんさん作



ママ
ママ、ぼくが分かるか?
ラッキーやで!ここにいるの、分かるやろ?

ママ、堪忍なあ
ママの思いに、なーんも応えんとこっちへ来てしもたなあ

けど、おおきになあ、ほんまにありがとうなあ
ぼくがママの家に来て、長い長いこと、ほんまに毎日楽しいて、うれしいて…

幸せやったよ…ほんまに…
おおきに…おおきに、ありがとう

最期の時間を家族の中で過ごせたことも、うれしかった
ほんまは、誰にも気付いてもらわんと逝くつもりやったんやけどなあ(^^;)
後になって、「眠っている間に逝ったんやね」と言われるつもりやったんやで

ここ数日の間、ぼくは調子が悪かった
食べたものも全部戻してしもうて…

一番最近の写真しんどい時
ぼくはもうじき自分の身体の寿命やて分かってたから、
そりゃしゃあないなぁなんて思てたけど、
ママの心配ぶりを見てると、やっぱり食べなあかんかなあなんてね

最期の日は朝から、もう立てへんかった
それ位しんどかったんかと言うたらちょっと違うねんなあ

ハアハア荒い息をしたり、戻したりしているのは、ぼくの身体であってぼくとはちゃう
ぼくは身体から抜け出して、出発する準備をしていたんや

ママは「ラッ君、ラッ君。しんどいんか?しっかりしてや。
またお散歩行かなあかんやろ?」って励ましてくれる
ママは、ぼくが良うなって、また散歩出来る日が来ると思っているみたいやった

最期の時、ぼくは静かできれいな音楽が聞こえてくるのが分かった
ぼくはちょうど脱いだ服をたたむみたいに、自分の身体のスイッチを切ろうとしてた

「おい、ラッ君息してないんとちゃうか!」
パパの声
ママが口元に顔を近づける
次に聴診器を当てる
「動いてる 動いてる、微かやけど…聞こえるやん ほら!」

ぼくはたたんだ服をもう一度着るみたいに、大急ぎで身体に入った
ぼくは、ママがもう一度戻ってこいと言うんやないかと思った

家族は代わる代わる聴診器の音を聴き合っていた
ちょっとだけ、くすぐったかった
パパとママは、全てを理解してどうやら、このまま僕を旅立たせてくれるみたいや…

「ラッ君、ようがんばったねえ。えらいなあ(T_T)」
「えらいぞ、ラッ君」
「お母さん、私にももう一度聴診器貸して…(T_T)」

するとぼくの頭の中には今までの事が、映画を見るみたいに映し出され始めた

ぼくはペットショップのケージに入っていた
毎日僕は何度かお客さんに抱っこされたけど、
いつも「この人とちゃう」って感じがあって、
なかなか買い手がつかへんかった

ある日、家族連れできた男の子がぼくを抱っこした
ぼくは「これや!」って思った
その男の子こそ、この家のお兄ちゃんだった
ぼくは思いきり頑張って『かわいいでしょオーラ』を出した
あっという間にぼくはママの家族になった…

僕とお兄ちゃん

ぼくは、人見知り犬見知りであんまりよその人に懐いたりしいひんかった
小心者やったんや
視界にママが入っていいひんと不安でたまらんかった

ペットショップでぼくを見つけてくれたお兄ちゃんとお姉ちゃんはいつの間にか大人になった
2人が子供から大人になる間に、ぼくは子供から老人になってしもた

でもぼくのほんまの人生は老人になってから始まったんやなあ…ママ
ありがとう…、おおきになあ、ママ

大きな手術を受けるぼく
その向こう側でママが心配そうにそわそわしたり、涙を流したりしてる

知らんかった…
しんどいのは自分だけやと思ってた

手術を終えて再会したぼくら
ママが目尻をハンカチで押さえながら病院の人にぺこぺこ頭を下げてる

その頃ママは楽天にブログを開いた
ページの名前は「ラッキー君のお部屋」ブログ名はのほほんラッキー君のママの日記
いかにもママらしい名前やな(^^)

でも、ブログを開いた頃から ママはのほほんとなんかしていられへんかったね
ごめんね…

ちょっとしたショックでぼくはパニックを起こしてしまい、
けいれん発作を起こしてしまうようになった
悪いことは重なるもので、この頃から後ろ足が動かしにくくなって来た

ママは良いと聞けば、遠くのお医者さんにも連れて行ってくれた
初めの頃はママもぼくも、まさか歩けへんようになるとまでは思ってへんかった

やがてぼくはママの探してきてくれたベビーカーで散歩するようになった
ママ、うれしかったよ…
ここまでしてまで、散歩に連れてってくれるなんてね
毎日毎日、ありがとうね

元々ママは友達が多かったけど、ブログを始めてから一気に増えた
そういった人達と、うれしいことも辛いことも共有するようになった
初代の犬太くんが事故で亡くなった時はぼくも辛かった
でも、仲間達がみんなで母を助けて励まし合い、
母がだんだん元気になっていったことはほんまにうれしいことやったわ

ほんまによかった、よかったねママ!

静岡のモモちゃんが亡くなった時は、ママはぼくをももちゃんちまで連れてってくれた
あんな長距離の旅行は最後やったけど…うれしかったよ、ありがとう、おおきにね、ママ

静岡モモちゃん宅

同じ京都に住んでいるすまーふと、smatiさん
すまーふは1日のほとんどを眠って過ごしていた
smatiさんは、すまーふを元気な時と同じように
色んな場所に連れて行って時間をともに過ごしてはった

smatiさんは、すまーふをつれてよく家に来てくれた
ぼくはわんこは 苦手やったけど、すまーふにだけは違った
眠っているからぼくも安心して側に行くことが出来た

すると誰からともなしに、すまーふはラッ君のお嫁さんや って言わはる(^^;)
初めのうちは、冷やかされるのが嫌やったけど、
あるときその話の最中にすまーふに顔を近づけてみたら……笑ってはる

すまーふの方から声が聞こえる
「私とラッ君が結婚?ほんまやったらええと思わへん?」
それからぼくはすまーふに会うのが楽しみで仕方なかった

去年の初めにすまーふが亡くなった時は、悲しかったけど、
いつかぼくが死んだらきっと結婚出来るんやって信じてたから、
自分が死ぬことは何にも怖くはなかったよ
ママ、smatiさん、ぼくをすまーふに会わせてくれて、ありがとう


大文字山送り火
ママが倒れたのは、去年の夏、大文字の送り火の夜やった
きっとぼくの世話で無理が積もっていたんやと思う
ごめんやで、ママ

ママが入院している間中ぼくはママが早う帰ってきてくれることだけを考えてた
「ラッ君良かったなあ。明日ママ退院やで(^o^)」
お姉ちゃんが教えてくれた

その晩の夢にすまーふが出てきた
「ラッ君、ええか?ママさんに会えたから言うてわがまま言うたり、
はしゃいだりしたらあかんのんえ?ママさん暫くはおとなしゅうしとかな身体に障るんやから、
ラッ君はちょっとの間は知らんぷりしとくくらいがええんよ。分かった?」

ママは無事に帰って来てくれた
ママ、僕のところに帰って来てくれてありがとうね
それに、知らんぷりしたんは、そんな訳やから、気ぃ悪うせんといてや
ほんまに元気になってくれて、ありがとう
もう、無理したらあかんで…

それから1年…
今度はぼくがお別れを言う番になりました
ママ…、おおきにね、ありがとうね…、……、ごめんね、…ごめん、ありがとうね…

「ラッ君、頑張ったねえ、えらかったねえ」「もう頑張らなくてええんよ」
聴診器を聴きながらママがぼくに心の声で言ってる
「ありがとう、ママ…」
ぼくがいいひんようになっても(いなくなっても)、悲しまんといて!
ママが悲しんだら、ぼくも泣いてしまう
パパ、お姉ちゃん、ありがとう
ママを…ママをよろしくお願いします……

「ラッ君…、ラッ君?…、……、ラッ君…」

すると次の瞬間、ぼくはママの肩の上に乗って、死んでいくぼくを見ていました
初めて見る自分の顔でした
きれいで、安らかな、うれしそうな顔でした
ママの方を見ていました

ぼくはぼくの最期を看取ってくれたママ、パパ、お姉ちゃんの1人1人にキスをした
すると、2階のベランダの向こうにきれいな花のゲートが出来ているのが見えた

ゲートをくぐるとそこには、きれいな虹色の橋が架かっていた

橋に乗るとまるでエスカレーターのように進み、どこかの屋上に着いた
屋上はテラスになっていて、
真ん中に光で出来た小さなチャペルがあり、その前にはベンチが並んでいます

ホテルグランビア屋上

橋から一歩降りると、ベンチに座っていた人達が一斉に
こちらを振り向き拍手を始めました
その中には、犬太くんやモモちゃん、ラブさんなど知っている人がたくさんいてはる
すると星空からパイプオルガンの音色が聞こえてきた

「ラッ君、ご機嫌さん。めいです。ちょっとあそこ見とぉみ?(見てご覧なさい)」
めいちゃんの指さす方を見てみると、
ウエディングドレスを着た人がゆっくりとこっちを振り返りました

「すまーふ!!」
すまーふは、ちょっと恥ずかしそうに下を向いてはる

「ラッ君、おめでとう」
「あっ、シェフとラブさん!!」

「君たちの結婚式の仲人をすることになったんや!」

ぼくとすまーふは祭壇の前に進んだ

ラッキー、ラッキー
「光さんですか?」
光さんは何も言わず、ぼくにウインクしました
ぼくはすまーふのベールを上げてキスをしました

すまーふ♪チュッ 

そこに人間の男女がやってきました
「なあ、お父さん、あそこで今誰かが結婚式してるような気がしいひん?」
「する、する!!」
ええっ、あれってさくらパパとさくらママやん?どうしよう?

…大丈夫ですよ。後からあの2人の記憶は消しておきます(*^_^*)
…ラッキー、長旅お疲れさま。ここは光の国の入口、悲しみの終着点であり、
愛と喜びの出発点です、今あなたとすまーふは晴れて夫婦になりました。おめでとう

…ここで、スペシャルゲストを紹介するわね
すると、男の人が野球のユニホーム姿でバットとボールを持って現れた

…こちらの人は、「コーチ」という名前です。
少年野球のコーチとして子供達に夢を与え続けてきた人でもちろん
楽天仲間と関係のある人ですよ。
コーチはこちらの世界から世界中の少年達に夢を送り続けています。
こちらでお元気にされていることを、この手紙でどうか伝えて欲しいのです

「ラッ君、よく来たな!君たちへのお祝いと、
ぼくの愛する家族への思いを込めたプレゼントをするから、見ててくれよな!」
コーチはお尻のポケットがボールを取り出し、片手でバットを構えて、思いっ切りノックをした
ジャストミートしたボールは夜空にピューーッという音とともにあがっていき、
やがて大きな打ち上げ花火として花開きました
コーチは何度も何度もそれを繰り返しました
そうか、打ち上げ花火を見ると元気が出てくるのは、
コーチがノックした花火やったからなんやね!ありがとう

ねねパパのノックの花火

光さんは言った
…ラッキー、一生懸命生きましたね、精一杯がんばりましたね。
不自由な身体で、いいえ、不自由な身体だからこそできる愛を周りに届けましたね。
何より生まれて行った使命を十分にはたしました
…立派でしたよ

「光さん…、でもぼくはママにずいぶんお世話をかけてしもうて、
恩返しもしぃひんと、死んでしまいました」

…大丈夫ですよ。あれをご覧なさい

光さんの指さすスクリーンには、ママを囲んで泣いたり喋ったり、
挙げ句の果てに大笑いしている大勢の人達が映っている

DSCN0227


…あれが、あなたの遺したプレゼントです。そこらの人間が真似しようったって出来ないでしょ。
そのプレゼントが、どんなに大きなものであるかママは分かっているし、もっともっと分かる時が来ます

いっぱいのお花と折り鶴に埋もれるラッ君

「光さん、ぼく、もう一度ママにきちんとお礼を言いたいな」

…思う存分言いなさい

ママ、大事に大事に育ててくれたね。ほんまにありがとうね。
ぼくは幸せや…、ほんまに世界で一番幸せやで!
こっちですまーふと約束どおり結婚しました…ありがとう、ありがとう(;_;)
smatiさん、すまーふのことはぼくに任せて下さい

ママ、今度はママが幸せになって欲しいなあ
身体を大事にして欲しい
いつかママがこっちに来る日までぼくはいつもそばで、ママを守ってるよ

いつか、何でこんなにうまくいくんやろ、なんて感じることがあったら、それはぼくのいたずらかもね
ぼくの姿が見たい時は、晴れた日に空を見上げて下さい
ぼくが光さんからいただいた乗り物は、もちろん一昨日まで乗っていたあの「ラッ君号」や!
ラッ君号に翼が生えてるんやで!
それに両側にママの友達が折ってくれた折り鶴がたくさん付いていて、
飛ぶ時は鶴も羽を広げて羽ばたくんよ、
千代紙で作ってくれた「ラッ君」の大きなエンブレムも付いている
すまーふと一緒の時は2台つなぐことも出来るんやで

これで毎日ママの頭の上にひこうき雲を描きます
あっ、それとお兄ちゃんにお礼を言うのを忘れてた。
お兄ちゃん、ぼくを見つけてくれてありがとうね

じゃあママ、もっともっと幸せになってや!
いつもいつも祈っています

rirariraさんより戴きました

さようなら、ありがとう…、ありがとう……。
さようなら…(^^)/~~~



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